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■首相公邸で“略奪行為”
首都ダッカ。人々は街に出て喜びをあらわにしていました。
デモ参加者
「政権崩壊に誰もが歓喜し祝福しています。歴史に残る1日です」
市民が歓喜した首相の辞任。本人はヘリで隣国インドに逃れたと伝えられています。街ではハシナ前首相の父親であり“建国の父”と呼ばれたラーマン初代大統領の像が引き倒されました。
主不在となった首相公邸には群衆がなだれ込みました。
男性
「我々はこの場で宣言する。きょう独裁政権は倒れた。我々の勝利を確信している」
建物の中にも入り込み、破壊と略奪の限りを尽くします。映像を見ると若者が多いようです。彼らの鬱積した不満が首相を辞任に追い込みました。
■“強権”ハシナ政権の陰と陽
先月始まったバングラデシュ政府への大規模抗議デモ。治安当局がこれを武力で弾圧したことから、デモはさらに拡大し大きなうねりとなっていました。440人もの犠牲者が出た末の首相辞任です。
“世界の最貧国”かつてそう呼ばれながれも、近年、各国から投資を呼び込み経済発展を遂げてきたバングラデシュ。それはこの15年権力をふるったハシナ前首相の功績といえるものです。
しかし、その光の陰で強権統治を強めてきました。今年初めに行われた総選挙前には野党の幹部らを大量に逮捕。野党は選挙をボイコットし、与党圧勝という結果に終わりました。
バングラデシュ ハシナ首相(当時)
「批判するのは自由です。私なりの善悪の考えがあります。私のやり方は正しかったと自負していますし、自由で公正な選挙でした」
抑圧的な体制に加え、人々の怒りに火がつくきっかけとなった政策があります。インドの支援を受けながらパキスタンと戦い、独立を手にしたバングラデシュ。この戦争に従事した兵士の家族を公務員の採用で優遇するというものです。
経済発展の一方で格差は拡大し、若者の約4割が仕事にも学業にもついていない、いわゆる“ニート”。不平等な政策に不満が渦巻きました。
男性
「(政府が)最初から公正な判断を下し、条件を受け入れていれば、こんな状況にはならなかったはず。つらい制圧でもう身動きがとれない」
「子どもたちの運動に賛同します。彼らは命を犠牲にしてまで戦っているので我々も参加します。自由に発言や活動ができる国を期待します」
■“自由”を求めた市民たち
首相の辞任を受け暫定政府を樹立すると発表したバングラデシュ軍。
バングラデシュ陸軍 ザマン参謀長
「国民の皆様ご協力ください。お願いです。これからは破壊行為やけんか、対立、殺し合いを絶対にしないでください」
軍と野党、デモを主導した学生団体の間で協議が進められていますが、現在は“権力の空白”が生じている状態です。
ジェトロ アジア経済研究所 村山真弓理事
「ハシナ政権の下で抑えられていた野党勢力が、与党勢力に報復行為に出ることがすでに起こっていて“それが社会のあらゆるレベルで起きる”懸念をしています。野党勢力が抑えられていたものを、今度は自分たちの政権だという形で押し通してくると、学生たちとの距離は縮まらないと思います。暫定政権のリーダーシップにある程度かかっている」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2024
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