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反コオロギ派の人にも知ってほしい「昆虫食」のリアルな話(2023年3月26日)|BIGLOBEニュース

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反コオロギ派の人にも知ってほしい「昆虫食」のリアルな話

2023年3月26日(日)7時0分 文春オンライン

《なぜ炎上?》昆虫食の専門家が語った「反コオロギ騒動」の背景にある誤解と圧 から続く

 コオロギ食に批判が集まる中、 前回 に続き昆虫食の栄養や安全性について聞いていく。回答してくれたのは食用昆虫科学研究会の理事長・佐伯真二郎氏。現在ラオスでNGOとともに食用昆虫養殖事業を主導している、昆虫食の専門家である。

 まずは「なぜわざわざ昆虫を食べるのか?」という点について。2021年にEUのヌーベルフード(新規食材)としての流通許可の際、ミールワーム、コオロギ、トノサマバッタのリスク評価をしたEFSA(ヨーロッパ食品安全機関)は、 こう 答えている。

「昆虫を食べるかどうかは消費者の判断次第」

「『昆虫を食べるかどうかは消費者の判断次第だ。代替タンパク源としての昆虫の利用は新しいことではなく、昆虫はふつうに世界のたくさんの地域で食べられてきた』これが、昆虫食論の基本的な態度です。

 石油依存度が高く、投資効率を追求してきた今の農業システムは環境負荷が高く、持続可能ではありません。そこでFAO(国際連合食糧農業機関)は、より歴史があり持続可能である『先住民のフードシステム』を再評価してきました。その中で住民の生計、栄養と環境に貢献できるフードシステムの開発が、昆虫を排除せず、地域ごとの課題解決策として進んでいくことを推奨しています。

 これまで食べていた貧困地域の生計向上になることが期待されますし、先進国でも『地域課題解決策』として考えるとスッキリします。例えば北ヨーロッパは大豆の作付けができない地域で飼料用大豆の輸入国ですので、自給できる副産物、小麦のフスマから脂質とタンパク質を回収できるミールワームを生産しています」

昆虫の栄養面は…

「飼育効率のいい鶏でいいじゃないか」「フードロスの問題を先に」——色々な声が上がっているが、そもそもFAOは「効率の高いチャンピオン食材を増産して世界中で食べればよい」とは最初から目指していない。

 メディアや投資家向けのキャッチフレーズとして使われることもあるが、あくまで「地域ごとの食料資源の選択肢を増やし、その状況にあった方法へ最適化すること」を目指している。未来に向けた多様化・多自然化の取り組みや研究の一角が、昆虫なのだ。

 次に、栄養面はどうか。

「まずはデータを、栄養学的にきちんと解釈することが大事です。例えばコオロギ粉末は生の牛肉よりタンパク質が高いというデータがあっても、牛肉を乾燥させたビーフジャーキーと比較する方が適切ではないかなど、想定される食べ方をふまえた上で比較することが栄養学の基本です。

 コオロギはプリン体が高いとの論文もありますが、プリン体と尿酸の合算値で、他の新しい論文と合わせて比較する必要があるデータでした。健康な人がプリン体や尿酸を高くして病気になるわけではなく、血中尿酸濃度は低すぎてもいけませんし、体内のメカニズムは複雑です。つまり単純に食材からプリン体や尿酸が検出されたからといって、適量を食べようとはなっても、排除せよとはなりません」

「これまで食べられてきた歴史がない」と言われていたコオロギは、タイやラオスのポピュラーなおかずである。日本でも、一部地域では食用にしていた記録がある(写真:佐伯氏提供)

現在は大学や研究機関が研究開発を進めている

 先のEFSAの評価でも毒性のある成分は検出されておらず、特定の成分に着目して全体を見ないのは「木を見て森を見ず」になってしまう。

「栄養バランスをスコア化した論文では、コオロギは豚肉と同程度と結論されましたが、実際に食べてきた人が貧困地域に偏っているので、大人数の疫学調査など、先進国を巻き込んださらなる研究が求められているのは確かです。

 現在は大学や研究機関が動き、投資を集め研究開発を進め、そこへフードテックと呼ばれる企業も参加し始めました。一部が高価な嗜好品として売られていますが、それらは微細藻類の健康食品や培養肉の副産物の化粧品などと同様に、ファンを巻き込むための性格が強い製品と言えるでしょう」

昆虫食の課題

 まだまだ飼育効率や環境への影響、栄養面のメリット・デメリット、効果検証の研究は他の農畜産物に比べて圧倒的に少ない状況だ。

「特に私が実感する不足は、栄養分野に昆虫学者が足りないこと。熱帯の昆虫の多い地域、野生食材が利用される地域ほど昆虫食は温存されていて、これはグローバルサウス問題における貧困地域と重なります。

 しかし現地で日常的に食べられている昆虫を分類し、学名、生活史を調べ、旬を知る研究者もいますが、国際協力の分野とは交流がほとんどありません。今後は私たちのような国際保健の実践として、昆虫を食べる地域の子供たちを対象にした栄養の知見が蓄積していくでしょう」

 SNSで拡散されている昆虫食ががんや不妊の原因となるといった情報はほぼデマだと言えるが、正確な栄養情報が足りていないのも事実。それを不安要素と考えるのはおかしなことではないが、イコール食用昆虫が「危険」ではないことも注意したい。

2021年にEUが一部の虫の食用流通を許可

「先にも触れたように、食品安全評価はEU圏では独立機関であるEFSAから安全であると評価されています。2013年のFAOの発表後、安全面の検証で一番しっかり動いたのがEUです。

 EUヨーロッパ連合(当時EC)は1997年に、それまでに食用として流通していた食品を無審査で流通OKとして、それ以外を食用として流通させる場合は厳しく審査する『ヌーベルフード』にしました。昆虫食はヌーベルフード扱いだったため、昆虫養殖事業者組合は2015年から行政に働きかけ分析データを共有し、食品安全評価を独立機関であるEFSAが行い、2021年にEUが食用流通を許可したという経緯があります」

 つまりこれまで無審査で流通していた食品と比べると、ヌーベルフードとして認可されたコオロギ、ミールワーム、トノサマバッタについてはより高いレベルの安全性が確保されているともいえるのだ。

「それでも安全性が十分でないと感じるのも自由ですが、これらの昆虫よりデータが揃っている食品を求めるならば、選択肢は減るでしょう。食品にゼロリスクを求めることで、栄養が取れなくなるのは本末転倒ではないでしょうか」

意外と知られていないコオロギ情報

 ちなみに日本独自の認可制度はないが、現在食品や飼料原料として使うコオロギの安全性を確保するため、民間団体である研究機関や企業などでつくる昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)が、タイなどの事例を参考に生産のガイドラインをまとめている。

「EFSAの評価の中で情報不足とされたのがアレルギーで、養殖によって新たにリスクが生じる可能性を気にする人もいるでしょう。ちなみに現状、先進国のほうが途上国よりアレルギーの発症率は高いので、日常生活で重要な対策は甲殻類アレルギーがある人にはしっかり告知をすること、罰ゲームやサプライズで食べさせないことです。

 すでにタイでは1998年にローカルフードとして養殖が開始され、2001年には一村一品運動(OTOP)として拡大し、2011年には7500トン、近年は年間2万5000トンが2万軒以上の小規模農家を中心に生産され、消費されていると推定されています。このタイにおけるコオロギ養殖は参加型開発の成功事例として有名ですが、『新しい食』としてアピールしたい先進国のスタートアップの立場からは言及しにくい情報でしょう。

 そのため、日本の消費者が情報不足から、『人類はこれまでコオロギを食べてこなかったのに』と違和感と不安を感じてしまったのも仕方ありません。少なくともコオロギを含む食用昆虫の生産量を伸ばしているタイにおいて、食物アレルギーの発症が増えたという報告はありません」

「都合の悪い情報が隠されている」と騒がれているが、それは古い書物に出てきた虫の扱いや多くの生き物にも当てはまる寄生虫の話だけでなく、伝統的に食べてきた国のこうした情報も含まれていそうだ。

 このコオロギ騒動は、今まで広く知られていなかった昆虫食の正確な情報が、知られるようになるきっかけになるかもしれない。それがネガティブな情報であっても、ポジティブな情報であっても。

(参照文献)
・ コオロギ生産ガイドライン

・ タイの昆虫食調査

・ コオロギとブタのアミノ酸スコア

・ 2010年から2019年までのタイ北部の就学前の子供の食物アレルギーの有病率と時間的傾向

(ムシモアゼルギリコ)


文春オンライン


]...以下引用元参照
引用元:https://news.biglobe.ne.jp/trend/0326/bso_230326_5381314656.html

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