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《なぜ炎上?》昆虫食の専門家が語った「反コオロギ騒動」の背景にある誤解と圧(2023年3月26日)|BIGLOBEニュース

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《なぜ炎上?》昆虫食の専門家が語った「反コオロギ騒動」の背景にある誤解と圧

2023年3月26日(日)7時0分 文春オンライン

「何年も前から、どこかで昆虫食は炎上するだろうと身構えてきました」

 コオロギ食への批判が急激に増えた騒動を受け、食用昆虫科学研究会の理事長・佐伯真二郎氏はこう語る。

 佐伯氏は長年昆虫食に携わってきた間、昆虫食が広まるにつれ何かしらの炎上が起こるならば、そのきっかけは「アレルギーをはじめとした何らかの食品事故」だと想像していたという。

食用昆虫科学研究会の理事長・佐伯真二郎氏。現在は国際保健NGOの活動として、ラオス農村部の栄養と所得を改善するために昆虫養殖普及の技術開発を担っている。Twitterアカウント名は「 蟲喰ロトワ 」(写真:佐伯氏提供)

「例えば昆虫食初心者に、アレルギーが起こりうることを事前に説明しない。イベントや動画配信で昆虫の生食パフォーマンスをする。罰ゲームや騙し討ちに使う。要は提供者の不手際や、目立ちたがり屋が調子に乗ることで、食中毒やアレルギーなどの食品事故が起こるだろうと。そして世間がそれ見たことかと、提供者と食べた人を『自業自得』と責めるだろう。そう予想していました。

 だからせめて私が参加する昆虫食イベントでは、誤解による食品リスクを最小限にするため、説明の上で同意書を書いてもらってから提供するなど、万が一の事故や炎上が起こった時の備えをしてきました」

「コオロギ食」大炎上のきっかけ

 ところが今のコオロギ騒ぎは、予想外のところからやって来た。騒動が広まった大きなきっかけである高校生による実習を見てみると、加熱済みの養殖昆虫が企業から提供され、説明した上で味見してレシピを生徒自身が作成し、その料理を食べることを選んだ人たちが食べたという出来事だ。そして、その詳細が省略され伝わったことから「子どもたちに半強制的に食べさせた」と誤解され、炎上。

「なんの事故も起こっていない、被害者不在の出来事です。その一方でネット上では食べたくない人たちが想像の重ねがけでネガティブなコオロギ像を膨らませ、もともとあった陰謀論なども混ざり合い、私が昆虫食の研究をしてきた15年間で一度も聞いたことのない謎ワードが飛び交う、ちょっと異なる様相になってきました」

 給食は単なる誤解だったが、奇想天外と思える言説はこのあたりか。

広く浅く広まった反コオロギの声

「コオロギを食べると酸化グラフェンが生成され、人間の身体がデバイスとなり電池になる」

「欧州全域で、虫の添加物を加えることが決定」

「2017年から聖書の記述がコオロギも食べてよいと変更された。闇深い」

「コオロギ事業に6兆円」

 こうしたデマがSNSで盛り上がり、次第に食用コオロギの安全や栄養、飼育効率への疑問が叫ばれ、現在進行形の牛乳廃棄やフードロスの問題と未来への備えである食用コオロギ開発の問題が混ざり合って語られるように。そうして反コオロギ派の声は「両論併記」の形で、広く浅く広まっていったというのが大まかな流れのようだ。

「その結果ネットにそれほど詳しくない人たちが煽られ、昆虫食事業者に怒りと不安の長電話をかけてきたり、ハガキを送りつけるという状況になっています」

昆虫食のニュースが増えたワケ

 そもそも広く一般から注目されたのは、2013年にFAO(国際連合食糧農業機関)が昆虫食についての報告書を発表したのが出発点だ。これまで途上国の野生食材として2000種以上が数億人に食べられてきた昆虫について、あらためて先進国「も」真面目に未来の食糧として考えよう、と提案された。日本ではニッチな存在だった郷土食から、2015年からはSDGsの追い風もあり、需要にマッチしたキャッチーな食品となったのだ。

「それ以前の日本における昆虫食は、ゲテモノであり罰ゲーム扱いでしたが、メディアの扱いが数年かけて変化していき、『正しいもの』として取り上げ始めました。私はその間ずっと昆虫を味見し研究する側だったので、一般の人たちの視点を体感することは難しいのですが、ラジオで山田ルイ53世が昆虫食の『息苦しさ』に言及していたのを聞き、その内容には共感を覚えました」

かつてはゲテモノ、今はサステナブル?

 文化放送のポッドキャストの「髭男爵 ルネッサンスラジオ」で2021年8月23日に配信された回である。かつてはTV番組などで虫を食べると「気持ち悪い! 無理無理!」とリアクションするのが普通だったが、それが次第にできなくなった。次は嫌がる前ぶりを経て口にしてハッとなり「意外とおいしい」となる演出が求められるように。

 今は「罰ゲームじゃないからあまり嫌がらないで」と指示が入る。すると単純に口にあわなくても、褒めなくてはならない。しかも、変わっていこうとする流れはありつつも、結局今までと同じ「珍しいものを食べさせてみようとするコーナー」であることは変わらない。ざっくりこんな内容である。

「放送のとおり、ゲテモノに対する嫌悪リアクションが普通だった時代から、このほんの10年で『実はいいもの』という扱いが正しいような空気になってきた。そこに生じる、食の価値観を他人のペースで決められることの孤独感や、居心地の悪さ。それを多くの人が今感じていることが、コオロギ騒動が広まった理由のひとつではないかと思っています」

 確かに一部の反コオロギには、「虫が嫌い」という感情に加え、環境意識の高いリベラル層への反感も含まれていそうである。

昆虫食が日常でも、誤解や不安はある

 さらに佐伯氏は虫が肉や豆よりずっとメジャーな食べ物とされているラオスであっても、食用経験のない虫を食べることに対して、拒否される場面に出くわしているという。

「都市部を含むラオス全体の調査では96.8%が昆虫を食べた経験があり、半数が月1回以上食べている。私の活動地の農村では7割以上の世帯が週1回以上、旬の昆虫を採って食べてます。ところがそのような土地であっても、食用習慣のない昆虫を味見すると、日本のように嫌悪リアクションが発生します。シロアリは、大型種は食べられるが小型種はアレルギーになると信じられていたり。

 そして私もまた、彼らの食文化に不安を覚える瞬間が度々あります。村でのおもてなしとして、アヒルの血のサラダや乳酸発酵させた生の豚肉、生の淡水魚のあえものなどが彼らの食文化として振る舞われます。その時私は感染症のリスクが頭をよぎりながら受け止め、その夜にお腹を下し、そして半年に一度駆虫薬を飲むのです。

 彼らが食べることを強要したわけではないけれど、食べたほうが盛り上がると圧力を感じたという私の主観も、また事実。もちろん断る選択肢も自由もあった。だから、強要されてはいないがいずれ食べさせられるのではという不安は、共感できる部分もあります」

次世代へ伝える態度を考える

 今はコオロギ食へ批判が集まっているが、これまでも昆虫食そのものを拒否する声は多かった。佐伯氏は「昆虫食を受け入れたくない人」と、どう接してきたのか。

「2017年に大阪の小学校教師向けにセミナーをやった際、『昆虫を食べたいと相談してくる子供が増えている』と聞きました。昆虫を知りたいが、味は図鑑に書いてない。だったら自ら食べてみたいと考えるようです。そうした相談は私のもとにもきますし、昆虫食の専門店に家族で相談に来る姿も目にしています。そうした時どうするか?

 ひと昔前は『汚い』『自分で衛生的に管理できない』『そもそも虫を食べたいと思うなんてどうかしている』と突き放すことができたのですが、現在は食用昆虫の研究がすすみ、文化的な昆虫食も見直されつつあり、食べるなと言える理由が一気に減ってしまいました。さらに食品として売られている現状では、なかなかNOとは言いにくい。

 そうした状況は親子間の話、昆虫食の話に留まらず、受け入れがたいものと長期的に、どう向き合っていくかという話でもあります。自分自身の好き嫌いを一旦おいて、都合のいい情報に飛びついて全否定するのではなく、保護者の視点で次世代の見慣れない興味関心を学ぶ態度は、私も心がけていることです」

(参考文献)
・ FAO報告書

・ ラオスの昆虫食調査 2015

反コオロギ派の人にも知ってほしい「昆虫食」のリアルな話 へ続く

(ムシモアゼルギリコ)


文春オンライン


]...以下引用元参照
引用元:https://news.biglobe.ne.jp/trend/0326/bso_230326_4223014647.html

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