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パレスチナ・ガザ地区への大規模な侵攻を予告しているイスラエル。3時間ほど前に住民退避のために設定された期限が過ぎましたが、地上侵攻という情報はまだ入っていません。この中で暮らす人々の逃げ場も、先も見通せない生活の実態を取材しました。
■退避期限から3時間経過…侵攻迫るガザは今
終わらない憎しみの連鎖…イスラエル軍が改めて、ガザ地区北部の住民110万人に通告した退避期限から3時間が経ちました。これは、イスラエル軍が公開したビデオメッセージ。
(イスラエル軍報道官)「イスラエル軍はガザの住民に対し、南部への避難を呼びかけています。警告は住民を守るためです」
しかし、避難を促されたガザ地区南部にも安全な場所はなく、病院には、次々と負傷者が運ばれてきます。今も空襲は続き、ガザ地区の死者は2329人に上っています。
北部から避難して来た人に行く当てはなく、食料も不足。パンを求めて、長蛇の列ができていました。国連人権理事会の専門家は、ガザ地区への大規模な報復攻撃を続けるイスラエルについて、「自衛の名の下に、民族浄化に相当する行為を正当化しようとしている」と強く警告、即時停戦を訴えました。一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、前線の部隊を訪問。兵士に声を掛けます。
(イスラエル ネタニヤフ首相)「みんな、準備はできているか?」
(兵士)「はい」
イスラエル軍は、地上侵攻の準備の映像も公開。地上侵攻は近いのでしょうか…続々と前線に戦車などが集結している様子が確認できます。
■「安全な場所一切ない」侵攻迫るガザの街
イスラエル軍の地上侵攻が迫る中、ガザ地区は今、どうなっているのか。ジャーナリストのカドゥーハさんに、直接、話を聞くことができました。
(ガザ地区に住むジャーナリスト マフムードカドゥーハさん(32))「空爆されていない地域はない。ガザ地区に安全な場所は一切ない」
「大変だ!大変だ!」
これはカドゥーハさんが自宅の窓から撮影した、空爆の様子です。この1週間、イスラエル軍による空爆は止むことがないと言います。
(マフムードカドゥーハさん)「おいは(今回の)戦争の最初の日に亡くなった。17歳の子どもだった」
カドゥーハさんは、市民生活の現状を知らせたいと、街中の様子を撮影してくれました。
(マフムードカドゥーハさん)「大勢の人が北部から避難してきています」
屋根に布団を積んだ車が何台も通りすぎます。
(マフムードカドゥーハさん)「見てください。歩いて避難する人です」
この少年も避難の途中だと言います。
(マフムードカドゥーハさん)「どこに住んでいたのですか?」
(少年)「ガザ市の東ですね」
(マフムードカドゥーハさん)「お父さんを亡くしたそうです。あちらの路上にいる人たちは、寝泊まりする場所がありません。夜になると道路で寝ています」
イスラエルは衝突直後から、ガザ地区への電気・ガス・水・食料などのライフラインを遮断。すでに市民生活は限界を迎えています。
(マフムードカドゥーハさん)「突然、爆撃が始まったので、誰も備蓄できていませんでした。一週間ほどでガザ地区の食糧備蓄のすべてがなくなります」
地上侵攻が迫る中、ガザ地区北部は…
(ガザ地区に住む アランティースィーさん(44))「この地域は高級住宅地だった。ここに来た時、最初自分がどこにいるのか分からなかった」
イスラエル軍の空爆で、街の風景が一変していました。
■戦車侵入のため“街が更地”に…ガザの惨状
連日、空爆が続く、ガザ地区の北部。
(アランティースィーさん)「夜に破壊された商店街です。あそこはお菓子の店です。ここには軍事関連のものは何もない」
映像を撮影したアランティースィーさんはこの街で生まれ育ちました。シンクタンクの職員で、空爆が始まって以降、初めて職場を訪れると…
(アランティースィーさん)「初めて来る場所かのようだ。働いていた建物は完全に破壊され、オフィスが見つからない」
「北部は完全に壊滅状態で戦車など地上部隊を侵入させるため更地にしている。イスラエル軍は戦闘員を殺害せずパレスチナ市民を殺害している」
ガザ地区北部に住むアランティースィーさんは、まもなく“地上侵攻”が始まると考えています。
(アランティースィーさん)「地上戦になれば、状況はさらに悪化するでしょう。ガザは封鎖されていて、ガザの外に出ることはできない。牢獄のように封鎖され、さらに砲撃がある。我々は、この360平方キロメートルに閉じ込められている」
アランティースィーさんは何が起きても、この街から離れないと言います。
(アランティースィーさん)「ここで殺されようとも、この家から離れようとは思いません。パレスチナ人は1948年に移住を強制され、イスラエルに土地を支配された。そして祖先は移住させられた。もう二度とこうしたことは受け入れられない。私や数千人のパレスチナ人も退避せずここで命を失ったとしてもここに残る方が、同じ歴史を繰り返すより名誉なことだ」
ハマスの報道官は、イスラエルの地上侵攻は想定済み、万全の体制で迎え撃つと言います。
(ハマス オベイダ報道官)「敵がガザ地区にどこから侵入したとしても、パレスチナ人は安心せよ。我らが構築した陣地と装備は、効果的な防衛を可能にするが、敵はそのことをまだ知らない」
一方、イスラエル軍の元准将シュロモ・ブロム氏は…
(イスラエル国防空軍 シュロモ・ブロム元准将)「完全に不意打ちでした。これはイスラエルの諜報活動の失敗です。(ハマスの)攻撃に関する必要な情報収集ができていませんでした」
軍や情報機関の失態を認めたブロム氏。ハマスはガザ地区に張り巡らされた地下トンネルに潜伏していて、地上侵攻は必要だと主張します。
(シュロモ・ブロム元准将)「空爆だけで、地下システムやハマスの軍事力を破壊することはできない」
Q. 民間人に危害が及ばないようにしている?
(シュロモ・ブロム元准将)「ハマスの活動拠点は市民がいる病院の地下などにあります。武器をモスクや学校の中に保管しています。この地域で市民を傷つけずに戦うことは不可能です」
ブロム氏は、地上侵攻に踏み切っても、すぐに作戦は終了しないと分析します。
(シュロモ・ブロム元准将)「ハマスは負け始めると徐々にテロリストのような活動になっていきます。市民に溶け込もうとし始めます。そうなると真正面から戦うことは難しくなる。簡単ではありません。厳しい戦いになると思います」
ガザへの地上侵攻にイスラエル人のシュナイダーさんは複雑な思いです。
(親戚が人質にとられた シュナイダーさん(45))「まずは家族の情報を知りたい。家族の無事を確認したい」
ハマスの大規模攻撃の直後、シュナイダーさんは、SNS上でショッキングな動画を目にしました。
「我々こそが人道主義者だ。殺したりしない。子どもも一緒だ。乗れ乗れ。さあ、車に乗るんだ」
2人の子どもを抱きかかえたいとこが、ハマスに連れ去られたとみられる映像。別の写真には、いとこの夫が頭から血を流し連行される様子が…さらに、叔父、叔母も行方不明…シュナイダーさんは、人質に取られたのではと心配しています。
(シュナイダーさん)「ショックだった。家族がハマスというモンスターの手に渡ったなんて…自分の家族が誘拐され、助けたいのに自分にできることは何もない」
シュナイダーさんは、親戚6人の情報提供をSNSで呼び掛けています。
シュナイダーさん「2人の幼児は生後9カ月と4歳、食べ物もオムツも服も持ってないんだ。叔母はパーキンソン病や糖尿病、血液疾患などの大変な病気を抱えている」
インタビューの最後にシュナイダーさんは、“地上侵攻”について…
(シュナイダーさん)「それを願っているわけでも望んでいるわけでもない。勝つためにできることは何でもすべきだ。こんなこと起こってほしくなかったけど、そうする以外、選択肢はない。これが最後の戦争であることを願っている」
10月15日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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