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イスラエル軍が、イスラム組織『ハマス』が実効支配するガザ地区の住民に、退避通告を出しました。大規模な地上侵攻が、目前に迫っているとみられます。しかし、逃げ場はあるのでしょうか。ガザ地区の今を取材しました。
13日のガザ地区。白い車が隊列を組んで北から南に向かっていました。避難する国連機関の人たちですが、その時が近い事を物語っています。ガザ地区では、国連以外にも多くのNGOなどが活動してますが…。
パレスチナ事業担当『ピースウィンズ・ジャパン』矢加部真怜さん:「(北部の)ガザ市にスタッフが2人在住しているんですが、非常に周囲は混乱、パニック状態ということでした。そもそも、ガザ地区の南部のどこに逃げればいいのか分からない。ガザ地区内には、逃げる場所がほとんどないんですね。残念ながら(支援)活動は全てストップした状態です」
イスラエルが24時間以内の退避通告を出している北部は、ガザ地区の中でも特に人口の多い場所になります。ただ、避難したところで、寝るのは路上で、安全が保障されているわけでもありません。
ガザの女の子:「恐怖と不安の11年間でした。今は路上で暮らしています。飛行機が多くて、とても怖い。ユダヤ人が空爆するから」
病院も危機的状況です。
シファ病院の院長:「発電機が止まれば、この病院は集団墓地になるでしょう。120人以上の負傷者が人工呼吸器をつけ、1000人の患者が透析を受け、50人の早産児が保育器にいるので」
ガザ地区では、約220万人がイスラエルによって事実上の軟禁状態にあります。その面積はとても狭く、幅7~8キロ。長さは50キロほどで、東京23区の6割程度の広さしかありません。
ガザの青年:「ガザに未来はありません。チャンスも仕事もない。何もない。生きて、食べて、寝る、それだけ。何もできない。出ることもできない。SNSで見るような景色の場所に行けたらいいのに」
ガザ地区を封鎖する壁は、2007年から建設が始まりました。多くの人たちが壁の中の世界しか知りません。
映画『ガザ 素顔の日常』:「私が子どもだった頃、ガザはとても自由な場所でした。当時はヒジェブを着けた女性もいませんでした。“この子たちを、ここで産んで良かったのだろうか”と。痛ましい戦争を3度も、子どもたちに経験させた罪悪感にさいなまれます」
電気や水といったインフラはもちろん、食料・物資・教育など、領域外からの援助がなければ、ガザ地区では生活の一切が成立しません。当然、仕事はほとんどなく、若者の失業率は6割を超えています。時折、イスラエル軍に向け石を投げつけますが、銃で返り討ちにあい、命を落とす若者も少なくありません。
ガザ地区の人口ピラミッドは“富士山型”。出生率は高いですが、死亡率も高い事を意味します。空爆などでイスラエル軍に殺される若者に加え、自殺が多いのもガザ地区の特性の一つです。
ハマスはそんな人たちの不満を強い支持に変えてきました。
ハマスの軍事サマーキャンプ参加者:「ロケットランチャーで戦車を撃ちたい。何でもやりたい。彼らと同じようになりたい」
ガザ地区を統治するハマスは、政治部門も持ち、福祉活動なども行いますが、組織の根幹は2万人の戦闘員がいるともされる軍事部門です。過去には自爆テロも数多く行ってきました。今回、イスラエルの地上侵攻に対しては、ガザ地区中に張り巡らせたトンネルを使って、ゲリラ戦を展開するかもしれません。
ハマス軍事部門広報:「イスラエルは地上から侵攻する兆候を見せており、我々は新たな筋書きを用意している。敵は人的・物的に大損害を被り、我らの下にいる捕虜も失うだろう」
ただ、地上戦は長期化するとのも見方もあり、民間人の犠牲は避けられません。
避難中の男性:「我々はきょう、先祖と同じ目に遭っている。昔と同じように、故郷のガザから追い出される。ガザは破壊され、我々は全てを失った」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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