■飲食店もめんつゆや味の素を使っている
料理研究家のリュウジです。SNSでよく炎上しています。
「めんつゆなどを使った時短料理が流行ると、日本の手間ひまかけた食の文化が壊れますのでやめてください」と、言われたことがあります。
でも、そんなものはぶっ壊せばいいと思ってます。
手間ひまかけるというのは手段であり、目的ではないからです。そもそも、たいていの飲食店でもめんつゆは使うし、味の素だって入ってる。レンチンもする。
伝統的な調理法も、元はその時代にあるもので「おいしさ」を求めた結果です。だから俺は、今ある調味料や調理器具でウマいものを作りたいと思ってます。
月収9万円だった頃、本当にカネがなくていろんな貧乏飯を作っていました。
人からは「よくそんなの食べられるね」と笑われたこともあります。でも、こういう飯を楽しめない人間にはなりたくないと思ってます。
今は料理研究家になって、勉強のためにちょっといいお店に行く機会も増えました。でも、いまだに、味の素ガンガン入れた納豆ごはんが世界で1番ウマいと思ったりもします。
真のグルメとは、高級店だからとか、高級食材だからとかってことではなく、贅沢飯も、ズボラ飯も「おいしい」って笑って食える、その心の豊かさが、グルメだと思います。
今回発売した書籍「虚無レシピ」は、その真骨頂ともいえる本です。
■「今日はもう何もできない」という日のために
あるじゃないですか。「今日はもう何もできない」とか、「二日酔いで死ぬー」とか。あああああ、虚無……って日。でも、どんなに虚無でも人は、食べないと生きていけない。
……というわけで、「いかに少ない材料と手間で、いかにウマイものを作るか」を、極限まで突き詰めたのが、この本です。
中には、「これ、料理って呼んでいいの?」っていうものもあるかもしれません。でも華やかなだけが料理じゃないです。
加えて、とても大事なことが1つ。
虚無レシピは、食材や工程をギリギリまで削ぎ落とした究極の「引き算レシピ」です。逆に言えば、何を足してもアレンジ自在ということ。見た目は全然映えません。
でも、味はまったく虚無ではないのでご安心を。ぶっちゃけ、俺(あ、俺じゃなくて酔っ払いの料理研究家)が出している「至高シリーズ」よりウマいかも、と思うものもあります。
これは「現代の錬金術」であり「究極のサバイバル飯」でもあります。
■「日清スパ王」の味を再現したらウマすぎた
今の若い人たちは知らないかもしれませんが、かつて「カネはないけどウマいものを食いたい」という俺のような若者たちの胃袋を満たしていた伝説の食品がありました。
それが「日清スパ王」です。残念ながら2016年に販売終了となり、ネット上では未だに復活を望む声も根強くあります。当時スパ王にガチハマりしていた俺もその1人です。(※スパ王の冷凍食品バージョンは販売されています)
だったら自分で味を再現しちゃえばいいんじゃね? ということで考案したのが、書籍「虚無レシピ」にも掲載した「虚無明太子パスタ」です。
明太子は冷蔵庫の中で余りがちな食材です。ちょっと余った明太子で作れるのがこのレシピ。包丁も火も使わないのに死ぬほど美味いのが特徴です。明太子の代わりにたらこで作れば「虚無たらこパスタ」になります。
電子レンジで作るのでパスタは1.4mmのものがおすすめです。調味料に使うオイスターソースは、同じ魚介の旨味があるので明太子とすごく相性がいいです。マヨネーズはピュアセレクトがおすすめ。
■洗い物を減らすために、塩→オイスターソースの順で
レンジで使える耐熱容器に、水270ccとパスタ100gを入れます。パスタは容器におさまるように半分に折って入れます。100gを一気には折りづらいので半量ずつに分けて折ります。
そこに調味料を入れていきます。
まず塩小さじ4分の1。
味の素(だしの代わりになるもの)6振り。
オイスターソース小さじ1。
明太子だけの旨味でもいいけどオイスターソースがあると味がしまります。
虚無レシピポイントは、先に塩を小さじではかること。その後に同じ小さじでオイスターソースをはかれば洗い物が少なくて済みます。
油は入れず、蓋もラップもせず水分を飛ばすようにレンジで加熱していきます。
600w9分30秒チンします。
レンチンし終わると水分はもうほぼない状態になります。パスタは、水を極限まで減らすことで、とろみがついた状態になっています。
ここに明太子を入れていきます。皮は面倒なので、むかずに箸で混ぜてほぐします。マヨネーズ大体大さじ1。バター8g。バターとマヨネーズが入ることによってまろやかさが増して、明太子クリームパスタのようになります。
■もはや「至高シリーズ」よりも美味しい
明太子がほぐしきれずに固まっているところは、そのまま食べてください。それもまた美味しいです。
味見をして、塩気が足りなかったら醤油を最大で小さじ1弱ぐらい足します。少し醤油の香りが入ると明太子パスタはめちゃくちゃ美味くなります。
最後によく混ぜたら完成です。
この明太子パスタ、変な料理研究家が出した「至高の明太子パスタ」よりもぶっちゃけ美味しいです。個人的にはこっちのほうが好きです。
明太子のモチっとした食感が残って、ソースがもったり麺に絡んでおいしい。
スパ王はバター醤油の香りを使っていたのが特徴なので、これに刻み海苔かけたらもう完璧にスパ王です。
若い人の中にはスパ王を知らない人もいるかもしれませんが、「昔流行ってたんだな」みたいな感じでちょっと食べてもらいたいです。
書籍『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)には他にもツナマヨで作る「虚無ツナパスタ」や、お茶漬けの素でつくるパスタなど、パスタだけで16種類、ご飯、おつまみ、副菜など全131品が収録されています。
■これさえ覚えればあなたも虚無マスター
虚無レシピには、フライパン1つで作る「ワンパンパスタ」がよく登場します。「ラク」と「ウマい」を兼ね備えた、虚無必須の技なのでマスターしてください。
<ワンパンパスタのここがすごい>
・「パスタをゆでる」と「ソースを作る」が、フライパン1つでできる!
・パスタの小麦が溶けこんでソースの濃度が濃くなり、味に一体感が出る!
・フライパン1つでいいので、洗い物が少ない&エコ!
・つまり、虚無の強い味方!<ワンパンパスタのコツ>
●パスタ麺の選び方
麺はツルツルしたタイプを選ぶ(「マ・マー」や「バリラ」など)
●2人前のとき
・水の量は1.6倍、それ以外の分量はすべて2倍にする
・少し大きめのフライパンを使う
●パスタの入れ方
①パスタを束の状態で、フライパンに入れる。
②だんだん麺の先がやわらかくなってくるので、上からゆっくりぐーっと押していく。
③静かに手を離す。
●ソースの水分の調整方法
ワンパンで唯一むずかしいのが、ソースの水分調整。基本は、パスタの表示時間の1分前に、煮汁の水分が「大さじ1」になるのがベスト。
〜残り1分で調整する〜
・水分が多い場合→強火で飛ばす
・水分が足りない場合→水を足す
(使用するフライパンや火加減によっても多少変わります。動画で解説しているので、見ながら練習してみてください)
この感覚さえつかめば、いつでも虚無になれるはずです。
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リュウジ(りゅうじ)
料理研究家
1986年生まれ。千葉在住の料理研究家。「今日食べたいものを今日作る! 」をコンセプトに、Twitterでレシピを発信し、フォロワー数は100万人を突破。料理動画を公開しているYoutTubeもチャンネル登録者数が16万人を突破。「料理レシピ本大賞 in Japan」に第5回、第6回と連続入選。著書に『クタクタでも 速攻つくれる! バズレシピ 太らないおかず編』(扶桑社)、『容器に入れてチンするだけ! ほぼ1ステップで作れるレンジ飯』(KADOKAWA)、『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)など多数。
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(料理研究家 リュウジ)
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/magazine/12179-2563269/