■[情報偏食]第4部 混沌もたらす者たち<1>
ユーチューバーの配信が過激化していくのは、視聴者がそれを求めているからでもある。東京大の鳥海不二夫教授(計算社会科学)は「私たちは、動物的で反射的な存在。刺激が強いものを目の前にすれば、本能的に欲してしまう」と語る。
人間の思考モードには、反射的な「システム1」と、熟考を特徴とする「システム2」があるとされる。人々の関心を集め、広告を閲覧させるアテンション・エコノミーの世界では、システム1を刺激することが重要と言われている。
収益目的で刺激的な情報を発信する者と、そうした情報を求める者たち――。一見して共存関係が成立しているように見えるが、発信する情報の「質」を度外視したこうした構造こそが、偽情報や、人を傷つけるような情報をデジタル空間に氾濫させる元凶になっている。
また、過激な言動や迷惑行為を伴う情報発信の先には、必ず被害者がいるのも事実だ。
ユーチューブで芸能人らを脅迫したとして逮捕・起訴された前参院議員のガーシーこと東谷義和被告(51)は、過激な発言で人気を博し、多額の広告収入を得ていたが、発言の標的となった被害者らは大きな不安や恐怖感に襲われたという。
茨城県の常磐道で起きたあおり運転事件で、インフルエンサーらから「加害者の車に同乗していた」とのデマを流された40歳代女性は「スマホを持つ人みんなが誰かを攻撃しているように感じ、外に出るのが怖くなった。こうした投稿で傷つく人がいることを多くの人に考えてほしい」と話す。
迷惑行為の発信が問題視されるようになったのは、SNSが普及し始めた2013年頃からだ。同年、コンビニの従業員が店内の冷凍庫に横たわった画像をフェイスブックに投稿し、批判が殺到した。悪ふざけをX(旧ツイッター)に投稿する「バカッター」という俗語も流行した。
国際大学GLOCOMの小木曽健・客員研究員は「内輪受けのつもりが想定外に拡散して『炎上』するケースが多かった」と語る。
17年頃からは、動画の再生回数を増やすために過激な投稿を行う「確信犯」が加わり、「迷惑系」や「暴露系」インフルエンサーの投稿が再生回数を稼いでいる。
被害者が一線を越えた投稿者に高額な損害賠償を請求するケースも見られる。小木曽氏は「今後はより一層、様々なペナルティーが科されるようになるだろう」と指摘する。
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引用元:https://news.nifty.com//article/domestic/society/12213-2560251/