商標「AFURI」をめぐる訴訟について、ラーメンチェーンを展開するAFURI社(神奈川県厚木市)の代表取締役・中村比呂人さんが2023年8月25日、近いうちに公式サイトに声明を掲載するなどと、自身のインスタグラムで明かした。
■「お騒がせして申し訳ございません」
発端は23日、日本酒「雨降(あふり)」を手掛ける吉川醸造(伊勢原市)の公式サイトでの発表だった。AFURI社から、「雨降」が同社の商標権を侵害しているとして、提訴されたと明かした。
吉川醸造は、「雨降」について「丹沢大山の古名『あめふり(あふり)山』と、酒造の神を祀る近隣の大山阿夫利神社にちなんで命名」したなどと説明する。その読み方としてローマ字で「AFURI」と記載していること、また「阿夫利」は地域・歴史・文化に根差した名称であると主張した。
さらにAFURI社がラーメン以外でも「AFURI」に関する商標を複数取得しているとして、次のように訴えた。
「伊勢原市の施設にAFURI社に対する商標関連の苦情文が届いたと聞いたこと、また最近では『あふり』に関する名称を持つ事業を営む地元企業の代表からも不安を打ち明けられたことなどから、当社としても一定の情報開示をする責任があるのではないかと考えるに至りました」
AFURI社の中村代表は自身のインスタグラムで、「AFURIが、『雨降AFURI』という日本酒を販売している企業を商標侵害で提訴したことで、ネットで炎上している件について」と題したストーリーを公開した。「お騒がせして申し訳ございません」と謝罪し、訴訟の経緯について次のように説明する。
AFURI社は2001年に厚木市でラーメン店をオープンして以来、国内外に店舗を広げるまでに成長した。中村代表は神奈川県丹沢山系の東端に位置する大山(通称・阿夫利山) の麓でオリジナルの日本酒やビールを作りたいと以前から構想していたという。
「そんな中、不動産業を大きくやられているシマダグループさんという企業が、コロナ禍に、伊勢原市の吉川醸造さんという酒蔵を買収し、リブランディングして『雨降AFURI』という日本酒を販売し始めたんですね」
中村代表は他業種からの日本酒業界への参入について「地元の発展に取っても、とても意義深いもの」と快く受け止めていたという。しかし新しい商品名「雨降AFURI」については、AFURI社の商標を侵害しており、海外進出を果たした時に同一になってしまうと訴える。
■「法廷ではなく、なるべく話し合いで解決したい」
中村代表は、「愛すべき阿夫利の名を少しでも汚す事の無き様、法廷ではなく、なるべく話し合いで解決したい」と考えていたという。吉川醸造の代表取締役である合頭義理さんと話し合いを重ねたが、「対話を尽くした上で、本当にやむなくですが裁判所の判断を仰ぐ事にした」と述べる。
「例えば、『雨降』と書いて、『UKOU』と読ませるのはいかがですかと。そうすれば、阿夫利山は、元々は『雨降り山』から転じていると我々と同じルーツである事を伝えられるし、海外のAFURIの店舗でも吉川醸造さんの日本酒を同じ水源の仕込み水を使っている同郷の日本酒として全面的に推せますし。共にタッグを組んで世界に打って出ましょう!などなど、様々な提案をしましたが、結局受け入れては頂けず平行線で終わってしまって」
AFURI社ではコーヒーやクラフトビールなど様々なプロジェクトを準備しており、対話を続ける中で「自分は傲慢なのだろうか」と自問自答を繰り返していたという。
「でも、何度考えても、我々はビジネスのルールに則った正当な手続きを踏んでるだけなんですよね。毎朝、お水を変えてご挨拶をしている阿夫利神社の神様のお札の前でも、『おれ胸張って居られるな』と思うんですけどね。どうなんでしょう?私、間違ってるでしょうか?」
SNSでは地域名称である「あふり」を独占することについて批判的な声が多いとしながらも、「新しいビジネスを始める際に、為すべきプロセスとして必要な分だけ商標を取得している」と反論する。商標の取得には金銭がかかるうえ、網羅的に独占する意図はなく、「商標ゴロみたいな無粋なことはしたくない」などと訴える。また「八海山」や「高千穂」なども商標としての登録があると例を挙げる。
中村代表は幼いころから阿夫利に親しんできたとして、次のように述べた。
「今回の件は、全くポジティブなカタチではないけれど、皮肉にも阿夫利山がメジャーになってきたことの証左であると、阿夫利山を愛してきた一人の男として、なんとも複雑な気持ちです」
AFURI社としての声明は、25日か26日ごろに弁護士、弁理士と打ち合わせの上で早急に掲出するとしている。
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/domestic/society/12144-2518963/