最近考えさせられた話題と言えばこれでしょうか。
『松川るい自民党女性局長ら、フランス「観光」写真にSNSで批判殺到』(産経ニュース7月31日)
自民党の女性局長を務める松川るい参院議員ら同局メンバーがフランス研修中に「観光旅行」にみられかねない写真をSNSに投稿して炎上。エッフェル塔前でポーズを決めたゴキゲンな写真などがあった。「パリは燃えているか」というか「パリで燃えた」のである。
そのあと松川氏は《フランス文化もパリの街も素晴らしかったという感想を持ち、伝えたいと思い投稿した。まじめな研修であったにも関わらず、「税金で楽しそうに大人数で旅行している」と誤解を招いてしまった》とSNSで釈明。
フランスには少子化対策、政治における女性活躍、3歳からの幼児教育の義務教育化などについて研修に行き、費用は「党費と各参加者の自腹」と説明している。
■グイグイきた松川るい
いきなり個人的なことを書くと、松川議員は私が監督を務めたドキュメンタリー映画『劇場版センキョナンデス』(2023年2月公開)で大活躍していた。
この映画は2022年の参院選の現場に密着したものだが、私たちが質問しようと近づくと逃げ回る(ようにしか見えない)候補者もいたのだが、松川氏は自分からグイグイこちらに近寄ってきてずっと主張を述べていた。その様子がなんともおかしみがあったのだ。
こんなシーンもあった。私が大阪選出の松川氏に「カジノはどうお考えですか」と尋ねたところ、
「カジノではありません、IRです!」
とキッパリ。この毅然とした物言いは映画の中でもウケるシーンとなった。そんな松川氏を覚えていたから今回も、
「観光ではありません、研修です!」
という強気の言い換え、いや、説明が懐かしかったのである。やはり現場を見ておくことは大事だ。
■今井絵理子の「大きな働き」
今回の「フランス研修」の件はひと言でいえば税金の使われ方問題である。となるとこの人の登場だ。「研修」に参加していた一人、今井絵理子議員である。今井氏は《海外研修に対して、「公金を使って無駄だ」という指摘もありますが、無駄な外遊ではありません。》と自身のSNSで述べている。
待ってました! 私は今井絵理子議員は自民党で、いや、日本の政界で、とても大きな働きをしていると考えている。それは「税金」について。今井議員は体を張っていつも問題提起をしてくれる。
思い出してほしいのは2017年。当時、今井氏は神戸市議会議員だった橋本健氏との不倫疑惑が報道された。マスコミは橋本氏に興味を持ったのだろう、その後いろいろ調べたら「政治とカネ」について不審な件が次々に出てきたのである。
『神戸市議 政活費を返還 今井絵理子氏の参院選応援か』(毎日新聞デジタル2017年7月27日)
《神戸市議会自民党市議団の橋本健市議(37)が、自民党の今井絵理子参院議員(33)との対談を掲載した市政報告を政務活動費で作成し、今井議員が比例代表で立候補した昨年6月の参院選公示前日に配布していたことが分かった。同市議団は「税金を使って選挙応援をしたと取られかねない」と判断し、27日、印刷費や郵送代など約30万円を返還した。》
■そして「スピード辞任」へ…
さらにこの後、政務活動費を不正に受け取った疑惑が発覚して橋本氏は一気に辞職へ。
『橋本市議 SPEED辞職へ』(サンケイスポーツ8月29日)
『疑惑市議 SPEED辞任』(日刊スポーツ8月29日)
そして『橋本健・元神戸市議に有罪判決 政活費詐取』(朝日新聞デジタル2018年10月30日)となった。
《判決によると、橋本被告は2011~15年、架空の領収書を政活費の収支報告書に添付し、支出総額を水増しする手法で総額690万円余りをだまし取った。判決は、被告が詐取金を遊興費などに使ったと指摘。「コンプライアンス意識の低さにあきれざるを得ない。政活費制度や議会、議員への市民の信頼を大きく裏切った」と述べた。》
そもそも橋本市議が注目されたのは元アイドルグループ「SPEED」のメンバーだった今井氏との仲が報道されたからだろう。今井絵理子議員は政治とカネについて体を張って考えるきっかけをくれたのだ。すると今回は「フランス研修」での問題提起である。見事としか言えない。
■岸田首相長男の「観光疑惑」も
だからこの問題は皆でどんどん議論すればいい。私は政治家の海外研修や視察は必要だと思う。現場に行って学ぶことは大切だ。ただそれが研修に名を借りた「ほぼ観光旅行」だったとしたら?
国会議員で言えば、再任の可能性はないと自覚する大臣の「外遊」は思い出作りだと以前から批判されてきた。今年は早々に首相秘書官だった岸田首相長男の海外観光疑惑が報道され、政府の説明はしどろもどろだった。
逆に言えば、必要な研修なら税金の正しい使い道として堂々と主張すればいい。しかし今回気になるのは「税金ではない」アピールがあることだ。「党費だから税金ではない」というような。
この点について、「党費」というがその原資の可能性として、まず浮かぶのが政策活動費だと指摘するのは東京新聞の記事(8月1日)。
《政策活動費とは政党から議員個人に支出される政治資金で、受け取っても使途を明かさず自由に使える。政治資金規正法に埋め込まれた「抜け穴」と指摘されてきた。》
■海外視察の成果の「見える化」を
記事ではこの後に、
「ちゃんとした目的があって視察に行くなら、ここまで目くじらを立てられないが、あの写真や投稿からはとうてい真剣味は感じられない。こういった活動に税金が混じった党費を投入し、後押しする自民党も問われる」
「海外視察をしたら、こんな成果があったとアピールできるぐらいにするべきだ。どういった形で政策に反映したのか『見える化』させていかなければならない」
という識者のコメントが載っている。
税金ではないアピールより、税金のおかげでこんな有意義な研修でしたアピール。そんな投稿を今後は希望します。それにしてもフランス研修は楽しそうだった。
(プチ鹿島)
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/item/neta/12113-2488207/