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「追い詰められて発令か」尹氏 なぜ“強硬手段”に…44年ぶり戒厳令の余波【報道ステーション】(2024年12月4日) -芸能ニュース/炎上まとめ

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韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日夜、44年ぶりに“戒厳令”を発令しました。

尹錫悦大統領
「破廉恥な親北朝鮮反国家勢力を一斉に根絶し、自由憲法秩序を守るために非常戒厳を宣言します。そのため、私はこれまで非道な行為を行ってきた亡国の元凶である反国家勢力を必ず撲滅します」

野党によって予算を削られたとの主張も理由に挙げています。

この発表の直後、夜中にもかかわらず、国会前には数千人の市民が押し寄せました。

大統領だけに許される権限“戒厳令”。国会や政党の機能停止、市民集会の禁止、報道の検閲など、6項目に渡ります。大統領に権力を集中し、反対するものの声を抑え込む、独裁国家のような規制が、突然、発出されました。

市民と警察の間で小競り合いが起きていた時間帯、ある2つの動きが同時に進行していました。

1つは、国会議員たちの集結です。

野党『共に民主党』 イ・ジェミョン代表
「速やかに国会に来てください。民主主義の最後の砦である国会を守ってください。私も、いま国会に向かっています。時間は切迫しています。国の運命が風前のともしびです」

こう呼びかけ、自らも議事堂内へ向かいます。

これと並行して起きていたのが、軍の出動です。目的は、議員を国会に入れないことと、国会内からの議員の排除。戒厳令を止める唯一の手段が、国会の決議だからです。国会議員300人のうち、過半数が賛成すれば、戒厳令の解除が可能になります。

国会前には、軍の特殊部隊などが投入され、国会内への侵入を阻もうとする議員側の関係者や集まった市民らと衝突。ただ、精鋭部隊とは思えないほど、ゆっくり部隊を展開しているような場面もあります。

文化日報(4日付)
「軍の指揮官たちは、正当性を欠いた『戒厳令』の布告は、事実上、不可能であり、それに従えば、反発を招くしかないという点を、十分、認識していた」

結果、議場に集まったのは、300人中190人の議員。全員が戒厳令解除に賛成票を投じました。

ウ・ウォンシク議長
「国会の議決に従い、大統領は直ちに戒厳令を解除しなければならない。戒厳令の宣言は無効となりました。国民の皆さんはご安心ください。国会は、国民とともに民主主義を守ります」

賛成票190のうち、18票は与党からです。

与党『国民の力』 ハン・ドンフン代表
「きょうの悲惨な状況について、政権与党として国民の皆さまに対し、非常に申し訳なく思います。責任あるすべての関係者たちに、厳しく責任を問う必要がある」

議決から3時間余り、尹大統領は敗北を認めました。

尹錫悦大統領
「先ほど、国会の戒厳解除の要求があり、投入された軍を撤収させました。すぐに国会の要求を受け入れ、戒厳を解除します」

尹大統領の戒厳令は、あえなく終わりを告げました。

世界のメディアも大きく取り上げました。

CNN
「韓国の民主主義がしっかり機能しているといえます。『大事な自由や民主主義を渡さない』と韓国民は意思表示したのです。この問題は、いずれ是正されると東アジアの同盟国にも伝わるでしょう」

ニューヨーク・タイムズ
「アメリカの同盟国の一つである韓国で、政治的混乱が生じ、独裁政権時代の記憶を呼び起こされた」

なぜ、尹大統領は、このような強硬手段に出たのでしょうか。

指摘されているのは、政権の行き詰まりです。

今年4月の総選挙で、与党が喫した大惨敗。それ以降、政府として法案を通すことはできず、逆に、野党が出してくる法案には、大統領権限である拒否権を連発して凌ぐことしかできませんでした。さらに、野党は、尹政権を骨抜きにするため、何人もの閣僚や官僚を排除しようと画策。これにも拒否権を発動して対処してきました。

その間、キム・ゴンヒ大統領夫人にも、さまざまな疑惑が降っては沸いてを繰り返す日々。最近は、過去に株価操作をしていた疑惑がかけられ、一度は不起訴になったものの、再捜査を求める法案が、議会を通過しようというタイミングでした。

いまのところ、尹大統領からの説明は、まだありません。

今回の戒厳令は、韓国が40年近くかけて推し進めた民主化の道に暗い影を落としています。

韓国で、最後に全土に戒厳令が出されたのは44年前。
軍事政権から民主化への転換を望む市民運動が、当時の全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領によって弾圧された光州事件です。

民間人166人の命が自国の政府に奪われるという凄惨な事件は、国内に衝撃を与え、その後の民主的選挙の実現に結び付ついたのが、この事件です。以来、歴代の大統領がどんなに窮地に陥っても、戒厳令を出す人は一人もいませんでした。

市民からは、厳しい声が向けられています。

大学生(20代)
「2024年にあり得ないこと。国民を欺く行為です」

不動産業(60代)
「国民はバカではありません。今回のことで、政権の政策がよくなかったことに気づくでしょう」

農家(40代)
「これは違うと思って遠くから来ましたが、現実を見ると、もっとひどい。一日も早く、この政権は終わるべきです」

戒厳令解除に1票を投じたキム議員もこう話します。

野党『共に民主党』 キム・ミンソク最高委員
「大統領は、本人と妻が犯した不法なことを隠して、“捜査・弾劾から逃れたい”との執着心から行動したと思います。正常に国の政治を行う能力がありません。早く辞任した方が、国も本人も不幸にならない」

野党6党は4日、尹大統領に対し、弾劾訴追案を共同で提出しました。早ければ、6日にも採決されることになります。

ソウルの国会前では、久しぶりに大規模なろうそく集会が行われました。ろうそく集会は、光州事件をきっかけにした民主化運動から生まれたといわれています。

現代韓国・朝鮮政治が専門の慶応義塾大学・西野純也教授に話を聞きます。

(Q.突然の『非常戒厳』の発令でした。どう受け止めましたか)

西野純也教授
「大変、驚きました。今の韓国でまさか起こるとは、皆思っていなかったと思います。今年の夏に、野党議員から『尹政権が戒厳令を考えているのではないか』という問題提起がありましたが、今の民主主義の韓国で起こるとは思っていませんでした。非常戒厳は軍人出身政権の時代に行われてきたもので、民主化からもう40年近く経とうとしている今起きたことに、韓国の方々は大きなショックを受けていると思います」

改めて、韓国の『非常戒厳』とは、憲法第77条で定められていて、緊急時や公共秩序を維持が必要な場合、大統領は戒厳令を発令できます。

この戒厳令の中には『非常戒厳』と『警備戒厳』の2種類があり、非常戒厳の方が、軍の統制がより広範囲になり、国会と地方議会・集会・デモなどの政治活動や、社会混乱を助長するストライキなどが禁止され、全ての報道と出版が統制されます。

尹大統領は非常戒厳を発令した理由として「国会が自由民主主義体制を崩壊させる怪物になった。北朝鮮に従う勢力を精算し、憲法の秩序を守る」などを挙げています。

(Q.戒厳令の中でもより厳しい『非常戒厳』の発令になぜ踏み切ったのでしょうか)

西野純也教授
「昨日の記者会見をみると、尹大統領が精神的に追い込まれていることが分かりました。少数与党で発足した政権で、4月の総選挙の敗北で、野党が圧倒的多数の状態が任期中ずっと続くことになりました。予算や法律が通りにくい状況で、さらに、政権の閣僚たちが次々と弾劾されています。大統領は拒否権で凌いでいますが、厳しい状況です。それに加えて、大統領夫人の問題もあります。大統領のこれまでの言動をみると、夫人を守りたい気持ちが強いようですので、どんどん攻めてくる野党に対して今回の措置をとったのではないかと思います」

(Q.非常戒厳を発令した理由のなかで『北朝鮮に従う勢力を精算する』としていますが、“北朝鮮に従う勢力”は本当にいますか)

西野純也教授
「韓国の保守勢力の方々は、いわゆる進歩勢力が北朝鮮と何らかの形で結びついているという認識を強く持っています。とりわけ、尹大統領や側近は、その認識がかなり強いのではないかと思います。実態はともかくとして、国会における野党の攻勢が、北朝鮮と裏で結びついていると、大統領やその周りが強く認識していると。しかし、国民の多くは恐らくそう思っていないので、今回の非常戒厳はかなり無理があった措置ではないかと思います」

(Q.そこには尹大統領のキャラクターや流儀は反映されていますか)

「韓国ではよく“検察スタイル”と否定的な意味で語られています。一度、犯人が黒と決めると、それに向かって追い込んでいくスタイルのことで、まさに尹大統領のスタイルは、一度決めたら猪突猛進で進んでいきます。そういった尹大統領の個人的なスタイルが、今回の決定にも反映されたと思います」

(Q.非常戒厳は夜遅くに発令されました。このタイミングは重要になりますか)

西野純也教授
「夜遅くに発令することで、野党側の動きを封じることができると考えたのではないでしょうか。皆が寝静まっている時間で、野党議員もなかなか集まりにくいと考えたのだと思います。ただ、野党議員が極めて迅速に国会に終結して、解除を求める決議を行いました。恐らく尹大統領が考えていた、奇襲によって相手側の動きを封じようという思惑は、見事に的が外れたと言わざるを得ません」

戒厳令の解除要求には、国会議員の定数300人のうち、190人が賛成しました。現在の議席数は…与党・国民の力は108人、最大野党・共に民主党は170人となっていて、現地メディアでは、賛成した議員のうち、18人は与党・国民の力の議員だと報じられています。

(Q.野党6党は尹大統領への弾劾訴追案を国会に提出しました。今後はどうなりそうですか)

西野純也教授
「国会で議員の3分の2にあたる200人が賛成すれば弾劾が可決されます。それには与党議員の立場が重要で、とりわけ大統領と面会したと言われる、与党代表の韓東勲(ハン・ドンフン)氏がどういう立場を取るかが重要だと思います」

(Q.野党全員と与党議員8人が賛成すれば200人になり、弾劾訴追案が通ることになりますね)

西野純也教授
「非常戒厳の解除要求では、与党議員の18人が賛成したということなので、この議員たちがそのまま立場を維持すれば、弾劾訴追案が可決することになります。ただ、保守系議員のなかには、尹大統領はともかくとして『韓国の将来を考えると、保守系の大統領が2人続けて弾劾されるのはよろしくない』という考えを持つ方もかなりいると思います。そういった方々がどういう判断をするのかがポイントになると思います」

(Q.尹大統領は日本と友好的な関係を築いてきました。辞任に追い詰められた場合、今後の日韓関係や、対北朝鮮への安全保障はどうなると思いますか)

西野純也教授
「尹大統領が弾劾罷免されて、新しい政権が革新勢力になると、日韓関係は厳しくなるという見方が多いです。ただ、必ずしもすぐそうなるとは思っていません。かつてとは、いくつか違う要素があります。一つは国際情勢が厳しくなっていて、日韓が協力する必要性が高まっていること。また、文在寅政権の時、日本は安倍政権で関係が良くありませんでしたが、今の石破政権は日韓関係を重視する姿勢を示しています。さらに言えば、大統領選挙で革新勢力が楽勝で行けるかという点についても、大統領選挙に出てくる人物や構図がどうなるかにも依存するので、予断することは禁物ではないかと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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