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■首相選出も閣僚経験なし「経験不足を問う声も」
父親のタクシン元首相と並んで報道陣に笑顔で手を振るのは、タイで新しい首相に選ばれた、最大与党「タイ貢献党」の党首・ペートンタン氏。国王の承認を受け、18日に正式に就任した。
タイ ペートンタン新首相
「最大限の忠誠で職務を遂行し、国家と国民のために働きます」
ペートンタン氏は、史上最年少37歳での就任。女性としては、おばのインラック元首相に次いで2人目となった。
前首相のセター氏は、実刑判決を受けたことがある人物を閣僚に任命したことが憲法違反だとして憲法裁判所から解職命令を受け、14日に失職。後任として、ペートンタン氏が選出された。
ただ、ペートンタン氏は閣僚を務めた経験などはない。タイ政治に詳しい筑波大学・外山文子准教授はこう指摘する。
外山准教授
「ちょっと飾り的な部分がありますので、政治家としての経験はまだ非常に浅いですし、経験不足を問う声は今もかなりあります」
そんな閣僚経験のないペートンタン氏が新首相に選ばれた背景には、今、国民から人気の高い、革新系政党の存在があるという。
外山准教授
「今、下院で最も議席を持っているのが革新派の民衆党で、こちらの新しい党首が37歳の非常に若い人なんですね。そういった意味で、今後に期待ということも含めてペートンタン氏を選んだと思います」
担がれた形で首相に選ばれたペートンタン氏には、今後の難しい政権運営が待っていると指摘する。
外山准教授
「『民主主義の実現とか、国内の政治構造の改革をします』と言えば、タイ貢献党の人気は上がる可能性はある。ただそこまで踏み込むと保守派層が嫌う可能性があるので、かじ取りの難しいところ」
■タイで新首相誕生の背景
新首相就任の背景には、親軍派の動きも関連していると専門家は指摘している。
ペートンタン氏が党首を務める「タイ貢献党」は去年5月、総選挙で王政改革などを掲げた改革派の「前進党」に第一党を奪われた。
ただ、この王政改革によって自分たちの地位を落とすことにつながるかもしれないと思った軍や王室関係者らの「親軍派政党」が懸念を示し、「タイ貢献党」と連立を組んだため「タイ貢献党」は政権を獲得した。
そして去年8月に、セター氏が首相に選出され、「タイ貢献党」中心の政権が誕生した。
また、このタイミングで、軍事クーデターで政権を追われ、国外で事実上の亡命生活を送っていたタクシン元首相が帰国し、「タイ貢献党」の勢いは増していく。
ただこの状況が、親軍派の警戒を生む事態になったようだ。タイ政治に詳しい筑波大学の外山准教授によると、今年4月の内閣改造で、タクシン元首相の腹心が多く抜擢(ばってき)され、タクシン氏の政治影響力が急速に拡大していたという。
外山准教授は、連立を組む「タイ貢献党」と「親軍派政党」の政治理念は一致しているとは言えず、政権運営のため協力している形と指摘する。
憲法裁判所がセター氏に解職命令を出したのもタクシン派の急速な影響力拡大を一部の「親軍派」が懸念し、憲法裁判所を使って失職させることで親軍派が警告したのではと見ている。
外山准教授によると、ペートンタン氏が新首相になれば、父親であるタクシン氏の政治的影響力がさらに増すことが想定されるという。
ただ、度が過ぎれば、セター首相を失職させたように、親軍派政党が動く可能性があるという。
外山准教授は「ペートンタン政権と親軍派との対立が表立って出てくる事態となれば、政治不安が加速する。親軍派とうまく向き合えるかどうかが課題となる」と話している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年8月19日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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