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誹謗中傷の舞台となりやすいSNS。なかでも、拡散力の高いTikTok上での被害も相次いでいます。では、もしTikTokで誹謗中傷の被害に遭ってしまったらどのような対応をすればよいのでしょうか? 本記事では、SNSにおける誹謗中傷対策とその対応について、Authense法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
TikTokなどのSNSで誹謗中傷が起きやすい原因
TikTokなどのSNSでは、誹謗中傷が起きやすいといわれることがあります。それはなぜなのでしょうか?
TikTokなどのSNSで誹謗中傷が起きやすい最たる原因は、炎上目的の投稿が少なくないためであると評する方もいます。なかでもTikTokはコメントが多いほど動画が拡散されやすい傾向にあり、コメントが否定的なものであっても肯定的なものであってもアルゴリズムに影響しないといわれることもあるようです。そのため、有名になりたいと考える人が、コメントを増やしてより動画を拡散させるために、炎上目的の投稿をすることがあるようです。
また、炎上動画への批判に慣れたユーザーが、特に炎上目的ではない投稿に対しても安易に誹謗中傷をすることもあるようです。この点もTikTokなどのSNSで誹謗中傷が起きやすい理由といえるかもしれません。
TikTokで誹謗中傷の被害に遭わないための対策
TikTokでできるだけ誹謗中傷の被害に遭わないためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか? ここでは、TikTokで誹謗中傷の被害に遭わないための対策を2つ解説します。とはいえ、投稿者にまったく非がないにもかかわらず誹謗中傷の被害に遭うことも多く、誹謗中傷をする側に問題があることは大前提です。
1.炎上目的での投稿をしない
1つ目は、炎上目的での投稿を避けることです。炎上目的の投稿をすると、自身で招いた結果とはいえ、誹謗中傷のコメントが増える可能性が高くなります。炎上目的の投稿を繰り返すとそのようなイメージがついてしまい、普通の動画を公開したときでさえ誹謗中傷されるおそれがあります。
先ほど解説したように、確かにTikTokはコメントが多いほど動画が拡散されやすいといわれており、仮にそうだとすると、有名になれる可能性があることは否定できないのかもしれません。しかし、炎上目的の投稿で有名となることが本当に自分の目指したいところであるのか、いったん立ち止まって検討するべきでしょう。
2.他者の迷惑になる動画を投稿しない
2つ目は、他者の迷惑になる動画を投稿しないことです。たとえ炎上目的ではなくても、迷惑行為を撮影した動画を投稿すると、誹謗中傷がされやすくなります。
たとえば、回転寿司店などで迷惑行為を働いた者が「炎上」したケースは、記憶に新しいのではないでしょうか? あのような行為は批判を超えた誹謗中傷の対象となりやすいばかりか、店から損賠賠償請求をされたり刑事告訴されたりするリスクもあります。
また、たとえば小売店の店内や多くの通行人が行き交う場で許可なく動画を撮影するなど、周囲の迷惑を顧みない動画も誹謗中傷の対象となることが少なくありません。そのため、動画を投稿する前に「これを第三者が見たらどう思うか」という視点から動画を見返したうえで、投稿するかどうかを決めるとよいでしょう。
なお、一部の友人のみへの公開で投稿した場合であっても、これが転載され拡散されるおそれがあります。そのため、「仲間内しか見ないから」といって迷惑行為におよんだり、迷惑行為を撮影した動画をTikTokに投稿したりすることは避けることをおすすめします。
TikTokで誹謗中傷の被害に遭った相手に法的措置を講じたい
TikTokで誹謗中傷の被害に遭ったら、これに対してどのような法的措置が検討できるのでしょうか? ここでは、3つの法的措置の概要を解説します。
1.削除請求
1つ目は、削除請求です。削除請求とは、誹謗中傷などを内容とした投稿を削除するよう求めることです。まず、自分の動画に書き込まれたコメントであれば、削除請求をするまでもなく自分で自由に削除できます。
一方で、相手が投稿で誹謗中傷をしている場合やなりすましアカウントを作成された場合、自分の姿が移った動画が無断で投稿されている場合などには、被害者であっても自由に削除することはできません。その場合、TikTokの運営社へ削除を求めて「通報」することとなります。TikTokが削除に応じない場合は、裁判上の手続きをとることで削除できる可能性もあります。
ただし、問題のコメントや投稿などが消えてしまうと誹謗中傷の証拠が消え、ほかの法的措置が困難となります。そのため、損害賠償請求や刑事告訴を検討している場合は、焦って削除請求することは避け、先に弁護士へご相談ください。
2.損害賠償請求
2つ目は、損害賠償請求です。損害賠償請求とは、相手の不法行為によって受けた損害を金銭で賠償するよう、相手に対して求めることです。相手の行った投稿が権利侵害にあたる場合は、損害賠償請求ができる可能性が高くなります。損害賠償請求は、まず弁護士から文書を送るなどして裁判外で行うことが一般的です。この段階で相手が非を認め謝罪をし、請求した金銭を支払った場合はこの時点で解決となります。
一方、相手が連絡を無視するなど不誠実な対応を取る場合は、裁判上での損賠賠償請求へと移行します。
3.刑事告訴
3つ目は、刑事告訴です。刑事告訴とは、犯罪行為があったことを申告し、犯人の処罰を捜査機関に求める意思表示です。TikTokでの誹謗中傷は刑法上の名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪行為にあたることが多く、刑事告訴をすることで相手に前科・前歴がつく可能性が生じます。
刑事告訴が受理される前後で、警察で捜査がなされ、必要に応じて相手が逮捕されます。その後は検察に事件が送られ検察でも捜査がなされ、その結果を受けて「起訴」か「不起訴」かが決まります。
誰が誹謗中傷をしたかわからないときは…
TikTokは匿名のユーザーも多く、自分を誹謗中傷した人が誰なのかわからないことも少なくないでしょう。相手が誰であるかわからないままでは、損賠賠償請求や刑事告訴をすることは困難です。そのため、誹謗中傷をした人がわからない場合は、多くの場合、法的措置に先立って「発信者情報開示請求」が必要となります。ここでは、発信者情報開示請求の概要について解説します。
「発信者情報開示請求」とは?
発信者情報開示請求とは、誹謗中傷などの発信者(投稿者)が誰であるのか特定するための手続きです。発信者情報開示請求は、次の2段階で行うことが基本です。
1. TikTokの運営社から、投稿などのIPアドレスとタイムスタンプなどの情報を入手する
2. 「1」で得た情報をもとに、投稿者が接続に使ったプロバイダ(KDDIやNTTなど)から契約者の住所や氏名などの情報を入手する
とはいえ、TikTokの運営社や接続プロバイダに対して任意に開示を請求しても、開示に応じてもらえる可能性はほとんどありません。そのため、発信者情報開示請求は裁判手続きによって行うことが一般的です。
裁判手続きでは、発信者による権利侵害があったかどうかが検討され、権利侵害があったと判断されれば開示命令が下ります。
なお、2022年10月にプロバイダ制限責任法の改正法が施行され、先ほど挙げた「1」と「2」を1本の手続きで行うことができる制度が創設されました。この制度を使うことで、発信者の特定にかかる時間を短縮することが可能となります。ただし、新設された制度を使うことが必ずしも最適であるとは限りません。具体的な手続きについては、弁護士へご相談ください。
発信者情報開示請求をする流れ
発信者情報開示請求をしてTikTokで誹謗中傷した人を特定したい場合は、どのような手順で進めればよいでしょうか? ここでは、発信者情報開示請求までの一般的な流れについて解説します。
投稿の証拠を残す
TikTokで誹謗中傷がなされたら、その場で誹謗中傷の証拠を残してください。証拠がなければ、発信者情報の開示を認めてもらうことはできないためです。
また、TikTokでの誹謗中傷の投稿はずっと残っているとは限らず、誹謗中傷をした人が自ら削除したり周囲から「通報」がされたりして削除される可能性もあります。そのため、誹謗中傷のコメントが消えてしまう前に、証拠を残さなければなりません。
誹謗中傷の証拠は、スクリーンショットで残すことが一般的です。スクリーンショットでは、次の内容がわかるよう漏れなく撮影してください。
・誹謗中傷の内容
・誹謗中傷のコメントなどが投稿された日時
・投稿のURL
・誹謗中傷に関連する前後のやり取りや投稿
弁護士に相談する
誹謗中傷の証拠を残したら、早期に弁護士へ相談してください。誹謗中傷への対応は、時間との勝負であるといっても過言ではありません。そのため、誹謗中傷投稿を見つけたらその日や翌日には相談予約を入れるくらいのスピード感で動くことをおすすめします。
相談時には、依頼した場合にかかる費用や全体の流れ、期間などについても確認しておくとよいでしょう。撮影したスクリーンショットを弁護士に確認してもらい、不足があれば追加で撮影します。
発信者情報開示請求をする
弁護士へ依頼したら、弁護士が発信者情報開示請求を行います。投稿者の特定には、数ヵ月(6ヵ月から9ヵ月程度)単位の期間を要することが一般的です。かかる期間の目安は事案によっても異なるため、弁護士に確認しておくとよいでしょう。いずれにしても、数週間単位で特定できるものではなく、ある程度長期戦となることは知っておいてください。
TikTokで開示請求をする際のポイント
TikTokで誹謗中傷の被害に遭った場合、発信者情報開示請求を検討している場合はどのような点に注意すればよいでしょうか? 最後に、主な注意点を3つ解説します。
削除請求は慎重に行う
TikTokでの誹謗中傷に対して法的措置をとりたい場合、誹謗中傷投稿やコメントの削除請求は慎重に行ってください。削除請求が認められると誹謗中傷の証拠が消えてしまい、発信者情報開示請求などが困難となるおそれがあるためです。
そのため、相手への法的措置を検討している際はまずスクリーンショットなどで漏れなく証拠を残して証拠に漏れがないことを弁護士に確認してもらってから、削除請求について検討するとよいでしょう。
できるだけ早期に対応する
TikTokで誹謗中傷の被害に遭ったら、できるだけ早期に対応してください。TikTokや接続プロバイダにおいてログは永久に保存されているわけではなく、一定の期間が過ぎるとログが消え、開示請求が困難となってしまうためです。
ログの保存期間はプロバイダによって異なるものの、おおむね3ヵ月から6ヵ月程度とされています。
また、このログの保存期間までに弁護士へ相談すればよいということでもありません。ログの保存期間内に裁判所から開示命令(または、この前段階としての消去禁止命令)を出してもらう必要があります。
そのため、誹謗中傷への法的措置は、誹謗中傷投稿を見つけたらできるだけすぐに対応に取り掛かることがカギです。どのように対応しようか悩んでいるあいだに、法的措置が困難となるおそれがあります。
弁護士に相談する
TikTokで誹謗中傷の被害に遭ったら、無理に自分で対応せず弁護士へご相談ください。
先ほど解説したように、発信者情報開示請求はTikTokの運営者などにフォームから連絡をとるなどして行えるようなものではなく、裁判手続きによって行うことが原則です。やみくもに発信者情報開示請求をしても認められるわけではなく、権利侵害があったと裁判所に認定してもらえるよう、法的根拠をもって主張しなければなりません。
また、自分でいろいろと調べているうちに時間が経ってログの保存期間が消えてしまえば本末転倒です。そのため、TikTokで誹謗中傷をされたら、誹謗中傷問題に力を入れている弁護士へ早期にご相談ください。
誹謗中傷被害は時間との勝負
TikTokで誹謗中傷をされた場合の対応について解説しました。
誹謗中傷に対しては、損賠賠償請求や刑事告訴などの法的措置が検討できます。ただし、相手が匿名である場合はこれに先立ち、発信者情報開示請求などで相手を特定しなければなりません。発信者情報開示請求は裁判手続きによって行うことが原則であり、ログの保存期間内に行う必要があります。そのため、誹謗中傷の被害に遭ったらできるだけ早く弁護士へご相談ください。
Authense 法律事務所
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/economy/economyall/12352-3288514/