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2勝2敗の藤井聡太八冠(21)。この対局に負ければ、タイトルを失い、八冠から陥落となります。
挑戦者は、藤井八冠と同じ2002年生まれの伊藤匠七段(21)。子どものころから将棋盤をはさみ、腕を競い合っていた同級生の2人は、前のめりで向かい合う時間が続きます。
局面が大きく動いたのは、午後の早い時間でした。ほとんど時間を使うことのなかった藤井八冠が考えます。
この数手後の局面で、対局を中継していたABEMAの将棋チャンネルのAIが常識破りの一手を示します。『6六銀直』。銀を相手の『歩』の前に差し出すことで取らせ、空いたスペースから攻め込むという狙いでした。
解説を務めるプロ棋士も、その攻め筋で押し切れるのか懐疑的です。しかし、藤井八冠は、これを指します。この一手を境にして藤井八冠が攻める展開が続きました。
形勢も徐々に藤井八冠に傾いていきます。攻めを続けていたなか、守りのために指した藤井八冠の一手で流れが変わります。将棋の世界でよく言われる「緩手を咎められた」形となり、攻守が逆転します。
長考に沈む藤井八冠。その後は、受けに回る時間が長くなりました。
そして、午後6時半。藤井八冠はタイトル保持者として居住まいを正し、伊藤七段に投了を告げました。藤井八冠のタイトル独占が崩れ、伊藤匠新叡王が誕生しました。
伊藤匠新叡王:「藤井八冠戦で、苦しい戦いが続いていたので、結果が出せて良かった。(Q.5番勝負を振り返って)運が良かった」
静かにタイトル戦を振り返った伊藤新叡王。実は、プロ入り後は、このシリーズが始まるまで、藤井八冠には一度も勝てていませんでした。過去には、将棋界で上り詰めていく藤井八冠の対局の記録係をしたこともあります。
伊藤新叡王と研究を共にする佐々木七段は、勝因は、藤井八冠へのリスペクトだといいます。
佐々木大地七段:「藤井七冠の将棋を細かくチェックして、読みだったりとか、自分が強くなるためのお手本のように見ているのかなと思います」
一方、タイトル戦で初めての敗北を喫し、七冠となった藤井聡太。
藤井聡太七冠:「終盤でミスが出てしまう将棋が多かったので、結果もやむを得ないかなと思っていますし、それと同時に伊藤さんの力を感じるところも多くあったと思います」
藤井七冠の地元・瀬戸市民:「失冠するという経験がないので、彼にとって非常に大きなことになる。本当にそういう意味では、楽しみという言い方は変だが、改めて、今度が八冠でしっかりと万歳をしたいなと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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