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■「廃棄」ではなく“新たに生まれた”食材
クラフトビールに…おつまみにもピッタリなブランド鶏の缶詰。本来であれば廃棄されてしまうはずの食品原料を有効活用し、生まれ変った商品です。
プロデュースしたのは、長野市の企業です。食品業界が抱える課題解決に取り組み、2019年から食品原料を取引できるサービス「シェアシマ」をスタートしました。
売り手となる企業は「売りたい食品原料とその在庫」をウェブ上で自由に公開でき、掲載のみで売買が成立。
買い手となる企業やメーカーは、欲しい原料の情報がすぐに絞り込めます。
ICS-net 代表取締役CEO 小池祥悟さん
「我々のサイトであれば本当に30分で見つかる、もしくは15分で見つかる」
食品業界の仕組みを変え食べ物を無駄にしない未来をつくりたいといいます。そして、長野市と共同でおこなったプロジェクトが「長野アップサイクル・フード」です。
“アップサイクル”とは資源を再利用するのがリサイクルですが、付加価値を加え“別の製品”として再生させること。
信州銘菓などを製造、販売するコチラの企業ではウェハースの製造で年間約2.4トンの端材が発生。チョコレートが入っている為、飼料には適さないので、これまでは廃棄処分されてきたといいます。そこで原料の小麦粉や砂糖など炭水化物に注目。クラフトビールを製造し話題に。
タカチホ 観光消費グループ 二本松武典さん
「原料として使うことができる“何かに転用できる可能性”は、今回の取り組みで感じることができました」
ビールとして生まれ変わった商品は話題を集めたといいます。
こちらはレバーやハツを使った缶詰。コロナ禍で、居酒屋利用が減少したことで、その需要が落ち込むなか、缶詰として有効活用し人気商品に。こうした取り組みで約2トンもの食品ロスを防ぎました。
ICS-net 代表取締役CEO 小池祥悟さん
「可能性を秘めている会社さんもいっぱいあるわけで、シェアシマというプラットフォームで、食品に関わる人たち全員が横につながっていくといいなって思っている」
食品廃棄物を新たな素材として生まれ変わらせる技術で、注目を集めているのが東大発のベンチャー「ファーブラ」です。
研究・開発の現場を訪ねました。
fabula 取締役 大石琢馬さん
「(Q.これはなんですか)ほうれん草です」
■次の万博でも注目 コンクリート 4倍の強度
粉末状にした“ほうれん草”を金型に入れ…熱を加えながらプレスします。
約1分後、できたのが…。
fabula 取締役 大石琢馬さん
「こちらが、できあがったものです」
増田
「有難うございます。固い!びくともしない!」
fabula 取締役 大石琢馬さん
「(ほうれん草は)コンクリートの2倍以上の強さはあるかなと」
増田
「えーっ!」
解説してくれたのは、この新技術の生みの親である代表の町田さんです。東京大学の卒業研究で食品廃棄物から新素材を生み出すことに成功。2021年に起業しました。
基本的に食品はコンクリートよりも強度が高いといいます。ちなみに、100%自然由来、そのためペットが舐めたりかんだりしても害がないといいます。
fabula 代表取締役 町田紘太さん
「うちの犬なんですけど棒状みたいにすると歯固めみたいな感じで食べていたりしますね」
ABCテレビ 増田紗織アナウンサー
「野菜100パーセントって思うと安心ですよね」
SNSでこの動画を見た人からは「愛犬の為に商品化して!」というリクエストも多く寄せられたといいます。
■社会課題と向き合う“チョコレート”の可能性
この技術の可能性にチョコレートなどを扱う「明治」も注目しました。チョコレート製造過程で取り除かれるカカオ豆を包む皮「カカオハスク」。
これまではあまり活用されてこなかったといいその量は、年間5千トンに及びます
明治 カカオマーケティング部CXSグループ 晴山健史さん
「弊社の場合は家畜の餌(えさ)ですとか肥料とかそういったものに使ってもらっているが、あまり価値がつかないような状態」
活用方法を模索していた所、「ファーブラ」と出会い共同で開発。お皿やコースターも、すべてカカオハスクでつくられたものです。
ABCテレビ 増田紗織アナウンサー
「これは香り…ありますね。チョコレートだ!」
香りで人を楽しませるだけでなく…。
明治 カカオマーケティング部CXSグループ 晴山健史さん
「カカオ産地では、児童労働とか森林減少っていう社会課題がいま言われていて、その背景には貧困があるっていう風に言われている」
明治では2006年からカカオ農家の支援も行っており、この製品の収益を農家に還元していきたいといいます。
■コンクリ―トより“強い”白菜 なぜ?
町田さんが研究を進めるなかで分かったのが白菜の強度の高さです。
ABCテレビ 増田紗織アナウンサー
「カッチカチ!ですね!」
fabula 代表取締役 町田紘太さん
「(白菜は)コンクリートの曲げ強度の4倍ぐらい」
検証中ですが、熱と圧縮で溶けた糖分が食物繊維の隙間に入り込むことにより、糖分が接着剤のような役割を果たし、強度も期待されます。実験では厚さ5ミリで30キロの重さにも耐えられることが分かり、建築用の「建材」としても、その活用が期待されています。
さらに来年開催される大阪・関西万博では「建材」として採用されました。
fabula 代表取締役CEO 町田紘太さん
「ギャラリーという施設があるんですけどそこの屋根の部分に使われます。例えばミカンの皮とか、あとは枝豆とかいろんなもの使う予定です」
「(Q.この技術でどんな未来を提案したいですか)リサイクルのさらにその先に、空間作りとかデザインとか、そういうのを含めて価値のあるものを作っていきたい」
(「サンデーLIVE!!」2024年6月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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