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■“梅雨の代名詞”いまは昔?
報告・水野正路ディレクター
『鎌倉の明月院に来ました。開門までまだ1時間ほどあるのですが、多くの人が並んでいます』
サタデーステーションが8日朝に向かったのは、神奈川県鎌倉市内に出来ていた、長い長い行列のその先。「あじさい寺」として有名な、明月院です。境内を埋めるおよそ2500株のアジサイは「明月院ブルー」とも言われ、今、まさに見頃を迎えています。
横浜市から来た人
『アジサイって雨のイメージがありますけど、晴れてもすごい相性良いというか、きれいですね』
仙台市から来た人
『とても綺麗でした。欲を言えば雨でしっとりが良かったかなって』
お寺側が懸念しているのが、「梅雨入りの遅れ」です。梅雨の代名詞とも言えるアジサイは、乾燥と暑さに弱いと言い、晴れの場合は、ほぼ一日中、水やりに追われると言います。
アジサイの「花」にも異変が起きていました。この数年は開花時期がどんどん早くなっていると言います。全国的に見ても、今年のアジサイの開花状況は平年より非常に早くなっています。松山では平年より18日早いなど、10日以上早い地域も多くあります。全国的に高温傾向だったことが影響しているとみられ、今後も梅雨入りの時期とアジサイの開花時期が大きくずれる可能性があります。
■九州南部はようやく梅雨入り
今年は全国的にみても梅雨入りが遅れています。8日も晴れたところが多く、600地点以上で夏日を記録。大阪では今年初の真夏日となりました。
一方、九州南部では平年より9日遅れで梅雨入りが発表されました。このあと、西日本太平洋側を中心に雨脚が強まり、9日夕方にかけて、四国で250ミリ、九州で150ミリ、奄美で100ミリの大雨となる見通しです。土砂災害や低い土地の浸水などに警戒が必要です。
■寒気が梅雨前線の北上阻む
なぜ今年、梅雨入りが遅れているのでしょうか?
山口晃平 気象予報士
『偏西風の蛇行が梅雨入りの遅れに影響しているとみられます。日本付近で偏西風が大きく南に蛇行し、これに伴って強い寒気が流れ込みました。この寒気が列島を覆うことで、南の太平洋高気圧と梅雨前線が本州付近に北上できないという状況が続いていたため、各地の梅雨入りが遅れています』
一方、この時期に増えているのが、局地的な大雨をもたらす“ゲリラ雷雨”です。本来、真夏に発生することが多い“ゲリラ雷雨”ですが、今週、関東甲信地方では3日連続で発生。大粒のひょうが降った地域もあり、出荷最盛期だった葉物野菜が大打撃を受けました。
山口晃平 気象予報士
『“ゲリラ雷雨”も梅雨入りの遅れが影響しているとみられます。列島の上空には強い寒気が停滞する一方で、地上付近では夏の暑さとなっていました。地上と上空の気温差はおよそ40℃。この気温差によって大気の状態が不安定になり、積乱雲が急発達、各地で今週はゲリラ雷雨となりました』
■枯れるダムに農家悲鳴
梅雨時期の異常気象は深刻な事態を引き起こしていました。
報告・小山颯ディレクター
『農業用水などを管理するダムに来ています。中を見てみますと、かなり地面が広がっていて、水が少ないようにみえます』
岩手県花巻市の豊沢ダムは、貯水率がわずか22%という危機的状況に陥っていました。この地区では、およそ半世紀前の1973年に記録的渇水を経験していますが、今回はその年の同時期を下回る貯水率だと言います。豊沢ダムから農業用水を引いているコメ農家の畠山英剛さんは…
花巻市のコメ農家 畠山英剛さん
『水が無い分、やっぱり稲にもストレスがかかっているのかなと感じています。30年以上、稲作りをやってるんですが、初めての経験』
豊沢土地改良区が先月行った試算では、「このままだと今月16日にダムの水が尽きる」という結果が出たと言います。そこで、この地域で初めて行われたのが、「番水」です。
報告・小山颯ディレクター
『ダムからの水流がここで二手に別れていますが、片方の水門が閉じられています』
田んぼを北側と南側に区切り、数日ごとに切り替えて水を送ることで水を節約する番水。
花巻市のコメ農家 畠山英剛さん
『あまり地肌が出ないようになってくれればいいなと思いますが、平年より(収穫量が)60キロくらいは減るんじゃないかなと思っています。何とか雨が降ってくれることを願うばかり』
東北地方整備局によると、この花巻市に限らず、東北地方は農業用水を雪解け水に頼っていますが、今年は例年より3週間ほど、雪解けが早かったと言います。その後も雨量が少なく、農業用水を引いている17基のダムのうち、9基で貯水率が低い状態だと言います。
■温暖化で変わる梅雨
長期的に見ても、梅雨に異変が起きているという分析が出ています。
報告・青山ななみディレクター
『建物が見えてきました「気象研究所」です。屋上に大きなレーダーがあります』
過去120年間の梅雨のデータを分析した、気象庁の遠藤主任研究官は…
気象庁気象研究所 遠藤洋和主任研究官
『20世紀前半の観測では、6月下旬に降水のピークがみられたが、21世紀の期間でみると、7月上旬にピークが生じている』
1901年から1950年までの梅雨の降水量は6月下旬にピークを迎えていましたが、2001年以降の20年間ではピークが後ろ倒しになり、7月上旬になっています。特に、もともと梅雨時期の降水量が多い西日本の日本海側では変化が大きく、1日100ミリ以上の大雨がおよそ1.7倍に増えていると言います。
気象庁気象研究所 遠藤洋和主任研究官
『水蒸気量が温暖化によって増加していること、これが一番大きな原因だと考えられる』
気象庁は今年、梅雨入り直後の大雨に注意するよう呼びかけています。来年以降の梅雨ついては…
気象庁気象研究所 遠藤洋和主任研究官
『だんだん温暖化とともに、「しとしと雨」中心だった梅雨も「ザーザー降り」に変わっていくと思います。非常に気を付けた方がいいと思います』
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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