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アメリカ西海岸で絶滅の危機に瀕しているキングサーモンの養殖の効率化とともに、種を守っていくことにも重要だとしています。
「キングサーモン」や「ベニザケ」「ニジマス」は、どれもタイヘイヨウサケ属に分類される魚です。
これらのサケの多くは川で生まれ、太平洋を3~4年ほど回遊した後、生まれた川に戻って産卵します。
「キングサーモン」や「ベニザケ」などのサケは一度、産卵を終えるとまもなく死んでしまいますが、同じタイヘイヨウサケ属でも「ニジマス」は、産卵後も死ぬことなく毎年、繁殖することができます。
東京海洋大学の吉崎悟朗教授らは、この違いに着目して産卵期におけるサケの体内の卵や精子のもとになる生殖幹細胞を調べました。
その結果、「キングサーモン」などの一度の産卵で死んでしまうサケでは産卵期に生殖幹細胞が完全に消えてしまう一方、「ニジマス」は産卵が終わっても体内に生殖幹細胞が残っていたということです。
そこで、自身の卵や精子を作ることができないようにした「ニジマス」に「キングサーモン」の生殖幹細胞を移植したところ、この「ニジマス」は「キングサーモン」の卵を3年、精子を4年にわたって生産しました。
細胞を移植された「ニジマス」同士で繁殖させる実験でも、生まれた卵は「キングサーモン」とほぼ同じ時期に孵化して、成長したサケは、DNA解析においても「キングサーモン」と大きな差はなかったということです。
この研究の成果は、商品価値の高い一方で、成熟に時間がかかり1度の産卵後に死んでしまう「キングサーモン」の養殖の効率向上に大きく貢献するということです。
さらに、アメリカ西海岸では「キングサーモン」が絶滅の危機に瀕していますが、今回の研究成果と「細胞を長期保存する技術」を組み合わせることで、細胞から個体の復元を可能にすることも期待されています。
吉崎教授は「養殖の効率化だけでなく、種を守っていくためにもこうした技術は重要。今後は、なぜキングサーモンなどが一度の産卵で死んでしまうかというメカニズムの解析が加速することに期待したい」と話しました。
研究は、「サイエンス」の出版元が創刊したオープンアクセス雑誌に掲載されています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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