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地元の警察官:「この24時間、砲撃は減ることがなく、街全体が攻撃されています」
ロシア軍は、これまでにハルキウ州の9つの集落を制圧したとしています。周辺の住民には、避難が呼びかけられました。避難する人もいれば、その選択をしない人もいます。
避難しない住民:「いつ殺されるかを考えてしまう。怖いがどうしようもない。(ロシア軍が)来ないことを祈っています」
これまでに住民約6000人が避難したそうです。
避難する人:「家から500メートルのところで銃撃戦が起きていて、常に叫び声がする。負傷した兵士かもしれない。砲撃も止むことはない」
ハルキウ州のこの辺りは、全面侵攻直後、一時占領されたものの、その後、ウクライナ軍が奪還していた地域です。ロシアは、なぜ、いま、再び国境を越えてきたのか。
ハルキウ州に隣接するロシアのベルゴロド州。ウクライナのものとされる攻撃が相次いでいて、これを防ぐために、緩衝地帯を築こうとしているとの見方があります。ただ、別の狙いもありそうです。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領:「ドネツク方面も深刻です。実際、ハルキウ州での攻撃の意図は、わが軍の戦力を分散させ、ウクライナ人の自衛能力の精神的・動機的基盤を弱体化させることにある」
東部と南部をロシアに占領され、最前線での攻防が続くウクライナ。そこへさらに北部でも戦いを強いられるとなれば、戦力を分散せざるを得ません。
ウクライナ軍の弾薬不足が解消しないなか、とりわけ東部・ドネツク州では、ロシア軍が攻勢を強めていて、少しずつ支配地域を広げています。
そうしたなか、プーチン大統領が、人事刷新に踏み切りました。親密な関係にあったショイグ国防相を交代させることにしました。
戦争の様々な局面で批判にさらされながらも、プーチン大統領の盟友として守られてきたショイグ氏。新たに安全保障会議書記という重要ポストを与えられたものの、体制の変化は、何らかの意味を感じさせます。
後任は、もともと経済学者で、第1副首相や経済担当の大統領補佐官を務めたアンドレイ・ベロウソフ氏です。
なぜ、経済畑の人物を国防相にすえるのか。
ロシア大統領府・ペスコフ報道官:「軍事分野の経済を、いまの国の経済全体に合わせることが非常に重要だ。いま戦地で勝利できるのは、新しい考え方を取り入れ、イノベーションを最大限に的確に導入できる側である」
アメリカ戦争研究所(ISW):「ベロウソフ氏の起用によって、軍事産業を完全に国内経済に組み込もうとしているのではないか。プーチン氏が長期化に備えていることを示している」
◆ロシアはドネツク州をはじめとする東部や南部だけでなく、北東部・ハルキウ州での攻撃を開始しました。なぜ、ロシアはこのタイミングでの攻勢を強めたのでしょうか。防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きました。
兵頭さんは、理由は2つあるといいます。1つ目は「プーチン大統領の新しい任期がスタートしたことで、国内に戦果をアピールする狙い」だと話します。そして、2つ目は「アメリカからの軍事支援本格化の前を狙った」といいます。
先月、アメリカの議会で、ウクライナ支援のための、約9兆4000億円の予算が成立しました。バイデン政権は、速やかに武器・弾薬の提供を再開したいとしています。兵頭さんによりますと「アメリカからの武器・弾薬は、すでに一部入ってきているものがあり、これからも五月雨式に来る。それらが本格的にそろう前に侵攻したのでは」 といいます。
ウクライナは、兵力を確保するため、動員に関するさまざまな法改正などを行っています。徴兵の最低年齢を27歳から25歳へ引き下げ、動員された兵士は、3年後に動員解除との条項を削除するなどしました。
ただ、こうした動きに対し、国民からの反発も起きています。
兵頭さんは「侵攻直後、愛国的な人は徴兵に志願したが、現在の非常に厳しい戦況のなか、国民は潜在的に動員に対して否定的。今月20日にゼレンスキー大統領の任期が切れるが、戒厳令下では続投する。本来の任期が過ぎるなか、動員を強行することで、国民がどう反応するか。ウクライナ軍は、当初、ロシアに対抗するためには追加で『50万人必要』としていたが、どこまで動員できるのか注視したい」としています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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