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製鉄企業のある施設なんですが、大きな水槽があります。波消しブロックもあって海のようです。
人工的な波まで起こし、海を再現したこの施設。研究されているのはアマモという海草です。いったいどのような関係があるのでしょうか。
日本製鉄 先端技術研究所 小杉知佳さん
「見た目は石みたいなものなんですが、鉄鋼スラグというものが(製鉄の際に)出るんですけど、それの利用技術の一環で海に向けた技術開発というのをしています」
製鉄の工程で大量に発生する「鉄鋼スラグ」を水槽の砂に混ぜて、海草にどのような効果があるか研究しているのです。
鉄鋼スラグは、そこに含まれる鉄分が海草にとって重要な栄養分となったり、根を支えたりする役割があることが分かっています。
海から海藻が消えてしまう「磯焼け」という現象に悩まされていた北海道・増毛町では、鉄鋼スラグの設置で昆布が大量に繁殖し、海がよみがえりました。
小杉さん
「(鉄鋼スラグを入れると)こういった感じで海草が増える。すなわちCO2削減策にもつながるというふうに考えまして」
この施設では、水中のCO2の濃度を24時間体制で測るシステムも構築してさらなる研究を進めています。山口県岩国市では、海藻の増加でおよそ80トンのCO2の削減が認められるなど、鉄鋼業界で取り組みが進んでいます。
政府は、日本近海の海藻などでおよそ36万トン分の炭素を吸収したと世界で初めて算定し、4月にも国連に提出するとしています。
海で吸収される炭素「ブルーカーボン」。海に囲まれた日本の脱炭素の切り札と期待されています。
このように鉄を使って海藻を育てるという取り組みは世界的にも珍しいということです。海に囲まれた日本ならではの技術を今後、他の国の海にも広げていければと感じました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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