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「全日本総合ニシキゴイ品評会」では、過去に史上最高額1匹2億円以上のコイが優勝したこともあります。世界一を狙うコイを育てる秘密の現場にカメラが潜入。世界が注目するニシキゴイの戦いを追跡しました。
■参加するオーナーの半数以上が外国人
取材班が向かったのは、都内のある会場です。
年に一度、行われるニシキゴイの大会です。ずらりと水槽が並ぶなかで、外国人も目立ちます。
世界中から愛好家らが集まり、世界一を争う「全日本総合錦鯉品評会」は、まさに“ワールドカップ”。コロナ明け初の大会となり、過去最大級2000匹以上ものニシキゴイが競います。
実は、参加するオーナーの半数以上が外国人。愛好家らが世界中から集結します。
イギリスの愛好家
「形や模様、質。ここにいるコイはどれをとっても最高だね。この後は新潟へ行って小さいニシキゴイを2000匹買うつもりだよ」
アメリカの愛好家 ポーターさん
「(Q.コイが好きですか?)ええ!ニシキゴイの虜(とりこ)なの。コロナ禍になってから初めて来られたわ。その前は年に2回は日本に見に来ていたの」
10年以上、日本の品評会に通う愛好家のポーターさん。なぜ、そこまでニシキゴイを?
ポーターさん
「小さなコイから飼い始めて、そのコイが徐々に色や形を変えていく様子を見るのが好きなの。まさに泳ぐ芸術よ。本当に美しい」
そして、何やら水槽を真剣にのぞき込んでいるのは…。
モーリシャスの愛好家
「コイ・ハンティングだよ」
実はこちらの男性、アフリカのモーリシャスから来日したといいます。母国でも日本のニシキゴイは人気だといいます。
モーリシャスの愛好家
「自分の家でも40匹のニシキゴイを飼っているんだ。モーリシャスへ日本から輸入もしているよ」
■オーナーのアメリカ人「家に大きな池と巨大な水槽」
この品評会では80人以上の審査員が品種や大きさごとに部門賞などを決定しています。
大きな賞をとることで取引価格が10倍以上になることもあるといいます。果たして厳正な審査の結果は?
インドネシア人のハルトノさんは、自宅で30匹ほどのコイを飼っているといいます。大会では日本で育てた「大正三色」が成魚部門で見事優勝しました。
ハルトノさん
「今回たくさんいるニシキゴイの中から賞がとれてラッキーです。特にこの白いウロコの色がとても明るく輝いていてすてきなんだよ」
こちらは、「浅黄(あさぎ)」と呼ばれる青みを帯びたコイが80センチ部門で準優勝しました。
アメリカの愛好家
「僕のお客さんのコイが受賞したんだ」
「とても美しいウロコの色と丸く太った体型。あとはバランスがいいよね」
オーナーのアメリカ人は投資家だといいます。なんと家の中にまるで水族館のような水槽。さらに池には数十匹のニシキゴイがいます。
アメリカの愛好家
「家に大きな池と巨大な水槽があるんだ。これが家の中なんだよ」
「アメリカで一番かもね」
■ニシキゴイを育てる“秘密”とは?
去年のニシキゴイの輸出額は、およそ66億円と過去最高となりました。今や世界から熱い視線が集まる大会。過去には2億円で取引されたニシキゴイが総合優勝したことでも注目されています。
そんな頂きに並々ならぬ想いで挑む、ニシキゴイ職人がいました。
愛知から世界へその名を轟かす「成田養魚園」の成田隆輝さん(49)。去年は惜しくも大会で準優勝という結果でした。
成田さん
「目指すべきところは一番」
この1年をかけ、世界一を狙えるニシキゴイを「仕上げ」てきたといいます。
世界一を狙うコイはどう育てられるのでしょうか?その秘密を探るために愛知県小牧市に向かいました。
およそ100の水槽に、常時3万匹のニシキゴイがいます。世界中の愛好家が注目する成田さんの養鯉場です。
この日は品評会4日前にカメラが入ったのは、「最終的な仕上げ」が行われているという場所です。
成田さん
「コイをどこまでキレイにしていくかを考えていくと、温度の下げ方、水の作り方、餌(えさ)のやり方も全部(普段と)違ってくる」
例えば、水温は1カ月前は20℃でしたが、品評会前は14度前後にしています。
成田さん
「(水温は)下げるほうが良い。下げたほうが肌はキレイになる」
さらに、この緑がかった水にも秘密があります。実は、品評会前にトリートメント用の液体などを入れ、ニシキゴイの体調を整えたり、輸送の際のストレスを軽減させるといいます。
さらに10種類以上ある餌も、時期に合わせて少しずつ変えるといいます。
■ニシキゴイ「世界一」の条件とは?
30年近く、毎日ニシキゴイと向き合ってきた成田さんが、その奥深さをこう語ります。
成田さん
「手をかければかけただけ、キレイになるし大きくなる。雑に扱えば、大きくもならないしキレイにもなってくれない。そういう点では自分がやった分だけ応えてくれるというやりがいはすごくある」
果たして、世界一をとるニシキゴイに必要な条件とは?
成田さん
「大きければ大きいほど良い。大きくてキレイなほうが良い」
体長は重要なポイントで、過去10年間は90センチ以上のニシキゴイが総合優勝しています。その他、評価のポイントは体型、色彩、模様の3つです。
「体型」は最も重視される項目で、頭からしっぽまでバランスよく肉が入り、ふっくらしているコイが評価されます。
成田さん
「丸太のような形が良い。ズボーンとしてる感じが」
「色彩」は、赤・白・黒などが、それぞれはっきりとし、ムラや濃淡がないコイほど評価が高くなります。
最後に「模様」。左右対称が理想で、丸い点などの模様に偏りがなく、バランスよくついているものが好まれます。
去年悔しい思いをした成田さんが、世界1位をとるために今年仕上げた勝負のニシキゴイが「紅白」です。年齢は7歳。オーナーはロシア人で、品評会で総合優勝を狙うため、成田さんが日本で育て上げました。
成田さん
「97センチある。身体がまっすぐで、肉がよく入っていて、そういう点ではかなり価値がある」
■大会に向け…ニシキゴイを愛知から東京へ
そしていよいよ大会3日前。ニシキゴイを東京に運ぶための準備が始まりました。
絶対にニシキゴイにけがをさせないようにプールから慎重に引き上げ輸送トラックに乗せた水槽へと一匹一匹素手で移し替えます。
今回、東京に運ぶニシキゴイはおよそ560匹です。小型のニシキゴイは袋に入れ、酸素を注入したうえで運びます。
成田さんの長男・修輝さん(23)
「なるべく無駄な空気を抜いて、酸素を満タンに入れるようにしています」
大会2日前。愛知から東京までおよそ360キロ。途中、水温やニシキゴイの状態をチェックします。
出発しておよそ6時間、勝負をかける「紅白」も無事、会場へ到着しました。
成田さん
「目指すべきところは一番でしょ。やっぱり勝ってなんぼなので、頑張ります」
■頂点は?運命の決選投票
そして、いよいよ決戦の日を迎えました。
審査員の投票によって大会総合優勝のコイが決定します。
成田さんのコイの前にも真剣な表情でメモを取る審査員たちの姿がありました。
開票作業が始まると取材カメラはいったん会場の外へ。修輝さんらスタッフもガラス越しに審査結果をうかがいます。
成田養魚園のスタッフ
「3匹やな。次3匹でまた(投票)」
2回の投票で、ベスト3が残り、これから決選投票へ。90センチを超える「大正三色」と「紅白」そして、成田さんの勝負ゴイ97センチの「紅白」の戦いです。
果たして決選投票の結果は…?
アナウンス
「総合優勝は受け付け番号2035『紅白』」
見事、成田さん親子が育て上げた「紅白」のニシキゴイが大会総合優勝となりました。
修輝さん
「うれしいです」
成田養魚園のスタッフ
「金メダルですから」
成田さんたちはオーナーらと共に優勝トロフィーをかかげました。
ロシア人のオーナー アレクサンダー・ロマスチェンコさん
「とにかくうれしいよ!」
成田さん
「今のマーケットでは1億円でも買う人はいる。まあ、もちろん売らないですけど、この方は」
アレクサンダーさんは、「ニシキゴイを通じ、世界中の人々と仲間になることができれば」と、この大会に参加したといいます。
フィリピンの愛好家
「サイズが素晴らしくて、色のコントラストもとてもステキだね」
97センチという大きさと、ととのったボディーライン、さらに左右対称のキレイな模様が評価されました。
成田さん
「(Q.優勝ですね)世界一とりました。30年近くコイやっているんですけど、とにかく興奮しっぱなし」
世界が熱視線を送る日本のニシキゴイ。その注目は、ますます高まりそうです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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