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■気温上昇で…スギ花粉の本格飛散目前
花粉症の人
「目は腫れぼったくなりますし、鼻はぐずぐず」
「普段だと、そろそろきつい時期なんですけど」
まもなく本格化するスギ花粉のシーズン。東京の13日の予想最高気温は16℃。全国的に13日から一気に気温が上昇するため、花粉の飛散が続々と始まりそうだ。
花粉症の人
「目がかゆいのと、鼻が詰まるのと、鼻水が出るのと、それがひどくなると頭が痛くなる」
5年前の全国調査では、スギ花粉症の有病率は38.8%と10人中4人が、スギ花粉症であると推定されている。この数字は、ほぼ10年ごとに10ポイント上昇している。
また、驚くのは花粉症による経済損失額だ。花粉症が労働力低下に及ぼす経済損失額は、一日あたりおよそ2215億円と試算されているのだ。
花粉症の人
「開発する仕事なので、想像力を働かさないといけないところがきつい感じですね。半分もぼーっとしている状態じゃないですかね。半分ぐらい」
こうしたなか、今、花粉症治療の新たな薬の開発が進められている。その原料が…。
東京共済病院 耳鼻咽喉科部長 遠藤朝則医師
「スギ花粉米というのは、簡単に言えばご飯を食べるだけで、花粉症の症状を緩和してみようと。そういうコンセプトで生まれたものです」
■薬の原料になるのは「コメ」 開発進む
岸田文雄総理大臣(去年10月)
「国民の皆さんの安心安全の確保に向け、花粉症対策を強力に進めます」
もはや国民病ともいえる花粉症の対策に、政府も乗り出した。先月には、花粉症治療の新薬開発に向け、官民連携検討会を立ち上げた。
薬の原料になるのはコメ、「スギ花粉米」。一体どういう仕組みなのか。開発を進めるアレルギー専門医・遠藤医師を訪ねた。
遠藤医師
「対症療法ではなくて、それを(摂取)することによって、長期的に花粉症が治る。そういうことが期待されているコメです」
「スギ花粉米」とは、スギ花粉のアレルギー原因物質を改変し、それをイネの遺伝子組み替えによって組み込んだコメ。
これを少しずつ口から摂取することで、体がスギ花粉に慣れ、免疫機能が過剰な反応を起こさなくなる。すなわち、アレルギー反応が出ないようにするというものだ。
ただ、口から摂取した場合、免疫機能の大きな役割を果たす腸まで届けるのに問題があるという。
遠藤医師
「普通にタンパク質のアレルゲンを使うと、ほとんどが分解されてしまって、腸までたどり着かない」
そこで、コメに含まれる消化されにくい特別なタンパク質の中に改変したアレルギー物質を蓄積させることで、胃などで消化されずに、腸までたどり着かせることに成功したという。
この特別なタンパク質は日本の穀物のうち、コメの中にだけ存在しているという。
■「スギ花粉米」治療薬実現へ…多くの課題
画期的な「スギ花粉米」を原料とした花粉症治療薬の実現には、まだ大きな壁があるようだ。
農研機構は当初、「スギ花粉米」を使った治療薬を「パックごはん」の形で作ろうとしていた。
しかし、薬はその原料にまで製造・品質の管理基準があり、この場合、イネを育てる過程にその管理基準を適用する必要があった。自然を相手にする稲作でそれはかなり難しいことだった。
また、動物を用いて、想定される容量の10倍の量を与えても毒性がないことを確認する必要もある。
ところが、そもそも10倍の「パックごはん」を食べさせること自体が不可能だった。
仮にこれらの条件をクリアしたとしても、処方1カ月分、一日1パックだとしても30パック。
これを患者数分と考えると数百キロの「パックごはん」を保管する場所が必要になり現実的には難しいということだ。
そのため、現在は主に「スギ花粉米」から必要な成分だけを抽出した、錠剤の形での開発が検討されているという。
しかし、この場合でも、腸にアレルギー物質を届けることでアレルギー反応を起こさせなくするという仕組みの治療薬はこれまで例がなく、有効性を裏付ける解明が十分にできないというのだ。
■未来は…「様々な食品アレルギーの治療に」
一方で、「スギ花粉米」による治療薬ができれば、アレルギー治療にとって大きな一歩となるという。
「スギ花粉米」の開発に携わっている東京共済病院の遠藤医師によると、「スギ花粉米の技術は様々な食品アレルギーの治療に応用できる」ということだ。
遠藤医師は、スギ花粉の代わりに別のアレルゲンを組み込むことでも同様の効果が得られ、三大食物アレルギーと呼ばれる鶏卵・牛乳・小麦のアレルギー治療でさえも可能になるかもしれないとしている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年2月13日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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