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「伝統の灯は消さない」輪島塗の工房に被害・漁港は一変 輪島の再建どう進める 【報道ステーション】(2024年1月18日) -芸能ニュース/炎上まとめ

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能登半島地震発生から半月あまり経った今も、石川県輪島市では、ほぼ全域となる1万戸で断水が続いています。

能登での生活を古くから支えてきた海にも影響が出ています。
能登半島の日本海沿岸では、少なくとも80キロにわたって隆起していて、輪島市で最大約4メートルの高さが確認されています。

祖父の代から3代にわたり漁を続けてきた高島長憲さん(80)。地震のあと、津波を恐れ高台に避難しました。津波の被害は小さかったといいますが、地盤の隆起によって、港の姿は大きく変わりました。
漁師・高島長憲さん:「(Q.この光景を見て)あぜんとしただけです。もう、どうにもならんなと」

地震の被害は、県内の69ある漁港の8割以上にあたる58カ所で確認され、少なくとも172の漁船が沈没や転覆などをしているということです。
漁師・高島長憲さん:「行政に何言ったって、絶対に無理。僕らの代では。海面がないんだから、どうにもならん。(Q.生きがいだった)そうですね。店頭に並んでいる品物と違って、とってきて、すぐ新鮮なやつを送るから、(送り先から)みな折り返し返事が来て『届いたよー』と言われるのが楽しみだった。しゃべっとったら、泣きたくなってきた」

輪島市の観光を支える伝統的な産業も大きな被害を受けています。
200年以上続く、輪島塗工房の7代目・桐本泰一さん(61)。規制線の先に、もともと店舗だった場所があります。桐本さんの息子が工房にしていましたが、火事の被害に遭いました。
輪島キリモト・桐本泰一代表:「まだ焼け焦げた臭いしますよね」

江戸時代に今の技法が確立され400年以上。木に漆を何度も塗り重ね、磨いて作り上げる輪島塗。国の重要無形文化財にも指定されています。完成には、全部で100以上の工程があり、多くの職人が、手作業で思いを込め作ります。なかでも桐本さんの輪島塗は、見て満足する工芸品ではなく“使える漆器”として、世界的に高い評価を得ています。しかし、その工房は片付けが進んでいません。
輪島キリモト・桐本泰一代表:「ここの整理は、まだ、この後になります。18日間は、日々の暮らしをどうするかに集中してきたので」

工房で働く5人の職人全員が被災。制作の途中だった作品は散乱していますが、箱の中に入ったものなど、一部、使えるものもあるといいます。
輪島キリモト・桐本泰一代表:「これは完成していたんですけど、落下による打ち傷。塗り直せば、またきれいになります。傷を漆で埋めて直せるのが、輪島塗の特徴。職人が働けるようになれば、順番に直していきたいと思う」

市内にあった約500の工房と、職人など輪島塗に従事する約800人は、ほぼすべてが被害を受けたといわれています。
輪島キリモト・桐本泰一代表:「それぞれ、いろんな方と連絡を定期的に取っているが、『辞めた』という人はいない。辞めるつもりだという人は、私の周りでは聞こえてこない。輪島塗という灯が消えていないということを、誰かが発信・発言することも必要」

『これまで続いた伝統の灯は消さない』職人たちの強い思い。
輪島キリモト・桐本泰一代表:「みんな深く傷を負ってますし、いまは誰一人として『立ち直るぞ』という話をする人はいないと思う。でも、いつかみんなと話し合う必要があると思う。誰か一人とか一事業者が突っ走る時代ではなく、みなさんで話し合いをする。話し合いを重ねながら、知恵を出して、気持ちを高めていく。そういったことが、いまは、一番、必要」

輪島市長は、こう話します。
輪島市・坂口茂市長:「水・電気が来ないことには、安心してここに住めない。復旧にまずは全力をあげて、安心して生活ができるようにしたい。そこ(復旧)によって、ようやく次のことを、未来に向けて考えていく」

◆石川県は、現時点でわかっている事業者の被害状況をまとめています。

被災した事業者数は422件。ただ、輪島市や珠洲市など、被害の大きかった地域の事業者は、現時点で把握できないため、含まれていません。
  
どのような事業者が被災したかというと、奥能登の酒蔵11社のうち、全壊が5社、半壊・一部倒壊が6社。今期の酒造りは断念する方針だといいます。

食品製造業者ですが、水産加工品やお菓子など、製造ラインの損壊や、断水の影響で再開のめどが立っていない業者が多いとのことです。
七尾市・和倉温泉では、多くの施設で建物被害。22の旅館すべてが休業しています。輪島塗は、ほぼすべての組合員の工房や事務所に大きな被害が出ています。

国は被災した事業者に対し、事業再建を支援するための補助金を支給する方針ですが、問題は山積しています。

輪島市の坂口茂市長は「朝市通りはほとんど焼失し、輪島塗の事業所も倒壊した。海底が隆起して漁港も使えない。主要産業の観光・漁業が壊滅的な状況。まずは、市民の命をしっかり守り、元の生活に戻れるよう、ライフラインの復旧を目指している段階」としています。

そのうえで、地元の産業をどうしていくべきかということも語ってくれました。

現在は、2次避難を呼びかけている状況ですが、坂口市長は「必ず輪島に戻ってこられる環境を作りたい。例えば、船そのものが被害を受けた人々もいるので、共同で船を大型化し、そのために港を深くするなど、元の生活に戻すだけでなく、産業としてどうあるべきか、よりよい形で再建していきたい」としています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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