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■悪路進み“孤立最多”集落へ
火災のあった輪島市朝市では10日も大規模捜索が行われました。輪島市の安否不明者数はかなり減ってはきましたが、10日午後2時時点で、いまだ41人が不明のままです。
悪路を進む陸上自衛隊の車両。県内で最も孤立者の数が多い、西保地区へ物資を届けるのが任務です。車で行けるのは途中までです。
津田研人記者
「輪島市の孤立集落に向け、物資支援のために、自衛隊が歩きで向かっています。崖が崩れていたりと、道が地震の影響を受けています。あちらの倒木ですが、自衛隊によりますと、昨日はあの倒木はなかったそうです」
道の状況は日々変わることもあります。
津田研人記者
「道路が倒木で通れないため、綱をわたって下へ降りていきます」
ここから先は危険なため、同行はできませんでしたが、無事、孤立集落に物資を届けることができたといいます。
第33普通科連隊 青木崇遥3曹
「(Q.どんな様子だった)昼夜続く余震で、不安そうではありましたが、協力し合って、身を寄せ合って、元気に過ごせるようにというのは見受けられた。(倒木の)原因に関しては、連日続く余震の影響や、雪が積もって蓄積して起こっているかと個人的には思います」
輪島市は、孤立集落の数も突出して多い地域です。10日午後2時時点で、まだ14地区が孤立状態にあります。
■進まぬ道路復旧「人で足りず」
各地で復旧作業が急がれています。能登町で行われた土砂の撤去作業。県道275号は、能登町の中心部から能登空港へつながる幹線道路で、これが復旧すれば、物資の新たなルートとして期待されます。
こうした県道の復旧は、県から依頼を受けた地元業者が交代で行っています。
竹松組 三宅慎太郎社長
「こういうふうにマッピングしてある。赤は復旧してない。青は復旧終わったところ。赤のナンバーに行ってくれということで。二次被害に気を付けながら、今は雨も降っているし、雪も降るので、二次被害が心配です」
重機は業者同士でシェアするため、そこに不安ないといいますが、人手は足りていないそうです。
竹松組 三宅慎太郎社長
「土砂が流れているのをどけて、一車線あけて、そこを通す。それを繰り返す。終わればまた違うところへ行く。(Q.いつまで作業が続くのか)多分ずっと続くと思います。私たち建設業協会、建設業は地域のライフライン確保とか、いち早く復旧できるのは私たちだけだと思っているので」
■雨漏り対策 ブルーシートに行列
苦しい状況が続く被災地。30人ほどが身を寄せる避難所には、人工衛星を利用して、インターネットを無料で使える機器『スターリンク』が届けられました。
避難している女性
「情報が手元にあまりないので、どんな状況なのか分かればいい」
各地で目についたのは、雨が降りしきるなか、ブルーシートを求める人たちの列です。自宅が被災した、河崎佳成さん(68)は、20分以上歩いて、ブルーシートを取りにいきました。潰れかかった自宅1階は、吹きさらしの状態です。
河崎佳成さん
「雨漏りは大丈夫です。ただ、サッシのガラスが全部割れた状態。そこから(風が)吹き込む。(Q.それでシートをもらってきた)限定があるので2枚までって。正面に張って」
家の損傷レベルの判定はまだ出ていませんが…。
河崎佳成さん
「周りの人に家が倒れたり、迷惑が掛からないような形で、早く潰してしまって、更地にしたいです。これから雪とか降る季節なので、玄関だけでも見えるので、カバーしようかなと。あとはどうでもいい。こんな状態になったら、もう手をつけられない」
■瓦屋根の修繕も雨で進まず
実家が被災した、麻多弘志さん(55)。特にひどいのが玄関部分だといいます。
麻多弘志さん
「この上とここの辺が雨漏りしている。びちゃびちゃになる」
母 昌子さん(81)
「びしょびしょですよ」
本当なら、一刻も早くブルーシートで応急措置を施したいところですが、今はそれができません。
麻多弘志さん
「今日は雨なので明日、天候良さそうなので、脚立とハシゴ使って、ひもで縛って、けがしないように。(Q.瓦業者にお願いしても全然だめ)どこでもどこも同じですよ。無理です。抱えているのだけでも、200軒くらいと言っていた」
志賀町で瓦の修繕などを行う、中町利之さん(55)。雨が収まってきた午後、修繕作業の様子を見せてもらいました。
中町さんによると、屋根の修繕において大事なのは、被害状況をまずはしっかり把握すること。それによって、瓦を張り替えるのか、ブルーシートで当座をしのぐのか。その見極めが重要だといいます。ただ、それができる業者の数には限りがあります。
中町かわら店 中町利之さん
「今は大きい瓦業者とか、他県から応援に来るシステムもあり、そういうふうになっていくと思うんですけど。材料をどうやって調達するんだろうって。いつまで経っても物が回ってこないという可能性もあります。だから相当、長丁場になると思う。もしくはもうできない。この屋根はできませんという結論になってしまう可能性もある」
■新たな懸念 輪島市に『土砂ダム』
輪島市では10日、元日からの降水量が100ミリを超えました。地震の直後は、観測できなかった期間もあるため、実際にはもっと多くの雨や雪が降った可能性があります。そして、新たな懸念が浮上しました。
京都大学防災研究所 松四雄騎教授
「土砂が河道を閉塞した状態が10カ所程度あって、そのうち数カ所に水がたまっている。結果として、土石流が起こることを懸念している」
輪島市に土砂ダムが集中して見つかりました。危険な場所(河道閉塞)が少なくとも10カ所、見つかったといいます。近くには、集落もあります。
京都大学・防災研究所 松四雄騎教授
「町野川は鈴屋川という支流があり、合流点付近には広江という町があるが、多くの土砂ダムができていて、3月4月になって融雪で取水が起こると、多くの土砂が下流に押し出してくるのではないかと。長いスパンで懸念される」
土砂ダムは、地震や豪雨などによる土砂崩れで、川がせき止められたものです。すでに水などが溜まっている部分に、さらに雨や雪が降り注いで増水すれば、土石流が発生する恐れがあります。
京都大学・防災研究所 松四雄騎教授
「2018年の北海道の地震では、土石流化する被害も起きている」
2004年の新潟県中越地震では、土砂ダムの決壊を防ぐため、溜まった水を抜く、緊急対策が取られました。
■被災地に『土砂ダム』の危険性
松四教授によると、現時点で判明しているのは、輪島市内の少なくとも、河原田地区と町野地区の2つの地区です。
河原田地区で確認された土砂ダムは1カ所で、河原田川に合流する支流の周辺に発生しています。今後の地震や雨などの状況によっては、この土砂ダムから、下流に向かって一気に流れ込み、土石流が発生する恐れがあります。
(Q.この状況は、地区の住民に伝わっていますか)
輪島市の担当者によると、土砂ダムの発生が確認され、土石流の危険性もあることから、一部地域には、避難指示が出されているということです。
町野地区では、広範囲で土砂が移動しています。複数の場所で土砂ダムができています。ただ、松四教授は、「現在、確認できているのが、河原田地区・町野地区の2つの地区というだけで、他の地域でも土砂ダムが発生している可能性があり、十分な警戒が必要」ということです。
■川の変化…“水位”“濁り”が兆候
(Q.土石流が起きる可能性に気付く手掛かりはありますか)
松四教授によると、土砂ダムができているかどうかは、川の“水位”や“濁り”を見ることが重要になるということです。水位が普段より低くなっていたり、濁っていたりすれば、上流で水が溜まっている可能性があります。土砂ダムができているということは、土石流がいつ発生してもおかしくないといいます。
土石流の被害を受けないためには、川の水位や濁りなどに変化があれば、川の近くから避難をすることが一番。自宅など、どうしてもその場から避難できない状況であれば、2階に行くなど“垂直避難”が有効だということです。
松四教授は、今後の地震で崩落が起きたり、大雨が増えれば“新たな土砂ダム”ができる可能性があるため、今後も十分な警戒が必要だと指摘しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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