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■滑走路に40秒 赤表示も…気付けず?
Q.事故直前、海保機はC滑走路の停止線(C-5)で停止する指示を受けていましたが、停止線を越えて進入し、滑走路に入って40秒間停止したということです。そういう状況になると、管制塔の監視モニターには滑走路が白から黄色に変わり、海保機が赤く表示されて異常を示すことになります。この監視モニターは、使われたことはありますか?
田中さん:この機器自体の導入時に私は中部国際空港にいましたので使っていますが、作動したことは私の経験上はないです。
Q. このモニターはどれくらいの大きさで、何個ぐらい設置されているものなんですか?
田中さん:元国家公務員として守秘義務がありますのでお答えできないんですが、国土交通省が「iPad程度」と広報したようですので、そのサイズとお答えします。あえて言うのであれば、滑走路占有監視支援機能ということですので、単体ではないということは私から申し上げられると。
Q.2009年に撮影された画像は、実際に類似しているモニターだったりするんですか?
田中さん:この画面は、一つ古いバージョンです。
Q. 実際に40秒間、海保の機体が止まっていたということで、管制モニター画面に表示されていたということにもなりますが、なかなか気付くことはできないのでしょうか?
田中さん:40秒表示されていたのかは分かりませんが、最大40秒表示される可能性はあります。その場合、気付けないというのは私からしたら不自然かなと思います。
Q. 一般的にこうなったケースというのは、通常であればどう動くんですか?
田中さん:もし、この機能が作動して管制官が認知した場合、すぐにまず事実であるか、そちらの方向の滑走路上を目視します。この警告通り誤進入が発生していた場合には、すぐにその時できる指示をします。例えば時間的余裕があるのであれば、離陸機を滑走路から出す。ないのであれば、到着機に着陸やり直しを指示する流れだと思います。
■元パイロット「管制官の指示には100%従う」
羽田空港にそびえ立つ管制塔。国交省によると、管制塔としては日本一、世界でも4番目に高いそうです(2020年3月現在)。その高さは約116メートルで、羽田空港の中心に位置します。この場所から4本の滑走路はもちろん、空港の隅々まで24時間365日、管制官が安全を監視し続けます。
2009年、今の管制塔が出来上がり、報道陣に公開されたときの映像です。ズラリと並んだモニターに、360度全面のガラス窓。空港全体を見渡すことができます。
通常、管制塔内では、15人ほどの体制をとるといい、あらゆる国籍の航空機を取り扱うことから、やりとりは原則、英語で行われるそうです。その上で、管制官が目視やレーダーによって、管制業務にあたります。
元航空管制官・田中秀和さん
「管制官の仕事は分業制です。15名が同じところを見ているわけではなく、基本的にはそれぞれがそれぞれの役目を果たす」
元パイロットも「管制官の指示なしで、安全成り立たない」と話します。
元日本航空機長 SRC研究所・塚原利夫代表
「パイロットも管制官も、ある意味で飛行機を無事に飛ばす(一つの)チーム。(管制官を)信頼している。基本的には100%指示に従う」
そんななか、起きてしまった日航機と海保機の衝突。事故は、管制塔からおよそ1.5キロ離れたC滑走路上で起きました。
今回の事故を受け、国土交通省は監視システムのモニターを常に監視する管制官を1人置く緊急対策をとり始めました。
しかし、田中さんは、監視システム専用の管制官を置くことで、別の問題が発生する恐れがあるというのです。
田中さん
「もちろん、付けた方がいいに決まっている。付けた方がいいに決まっているが、懸念もある」
■監視役配置も…羽田“緊急対策”は有効?
今後の対策と改善点を伺います。
Q.異常を示すモニターに気付けなかった可能性があるわけですけれども、見落とす可能性が出てくるのであれば、ちょっと素人目線かもしれないですけれども、例えば点滅したり光ったりするだけじゃなくて、音を付けるといった対策・課題みたいなものはあるんですか?
田中さん:気付いてた可能性も現時点では否定できません。気付いていなかった場合、なぜ気付かなかったかというと、今おっしゃったように、少なくとも音で知らせる機能はないということで、それによって気付けなかったという可能性もあるとは思います。
Q.音が現状鳴らないというのは、何か理由はあるんですか?
田中さん:全く分かりません。私個人としては当然、警報というものは音があった方がいいと思います。ただ今後、音を付ける、改修で付けられるのであれば、可能な限り早くと思いますが、管制塔内には様々な警報や機器がありますので、特徴的な音声であるとか、音であるとか、ただ音を付ければいいわけではないので、その辺りもしっかり見極める必要があります。
Q.たくさん音があることは分かるんですけど、これこそ一番重要な警報かなという気もするんですけれども?
田中さん:そうですね。その通りだと思います。その警報が様々ある中というなかでは、やはり航空機の安全に関わる警報っていうのは一律同じ重要性だと思っているので、それと同等ではないかとは思います。
Q.この事故を受けて、6日から羽田空港では管制システムで緊急対策をとっています。いわゆる異常を知らせるモニターを常に監視する管制官を1人別途で配置しています。いわゆる管制官全体の増員ではなく、サポート役だった管制官をモニターに配置しているということなんですけれども、どういうふうにご覧になりますか?
田中さん:もちろん、何かしらの対策として人を付けた方がいいと思います。ただ、この1人は増員ではないということは、本来やっていた業務は不足にならないのか。あるいは、管制官の疲労管理という点で休憩が減ったりしていないのか。その作用・反作用がありますので、ただ付ければいいのではなく、おそらく国交省もそこを見極めてきたと思うので、見極めた上でメリットの方が大きいと判断したんだと思います。
Q.今後、再びこういった事故が起こらないようにするには、どういった対策が必要だとお考えですか?
田中さん:再発防止策については、例えば私のような部外者であるとかSNS上の個人が好き勝手いうのは間違っていると思います。各組織においてしっかりと見極めて、検討した方がいいと思います。先ほど言ったように、作用・反作用の話でいうと、例えば今回見つけられなかった日本航空機に関しては「もっと外を見ろ」という意見もあると思いますが、そうしてしまうと、今度は「スキャンポリシー」とパイロットの間では呼ばれていますが、機長と副操縦士がどちらが計器を見るのか、外部はどの程度見るのかと、これまで安全を守ってきた仕組みを変えてしまうことになりかねません。しっかりとどちらの方がいいのかというのは検証する必要があるので、思い付きで始めるのは危険だと思います。
(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年1月8日放送)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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