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東京・上野にある、日本最大規模の科学博物館『国立科学博物館』は、運営資金を集めるため、クラウドファンディングを行っていましたが、目標を大きく上回る9億円以上が集まったと発表しました。
国立科学博物館 篠田謙一館長:「非常に大成功ということでした。世間の皆さんが、博物館が全国的にどこも大変なのだと認識されて、世間の物の考え方は一段変わったと思っていて、他の博物館にとっても悪い話ではないと思う」
約150年の歴史を持つ、国立科学博物館で起きた“資金難”。国立の博物館とはいえ、運営はギリギリの状況でした。茨木・つくば市にある収蔵庫。約500万点ある所蔵品のほとんどが収められています。ただ、一角には、所せましと積まれた段ボール。床には、動物の標本が無造作に置かれ、宙に釣られた標本の下にも段ボールが置かれています。
篠田館長:「博物館のある意味“泣きどころ”は、物が捨てられない組織です。仕事をすればするほど、標本というのは増えていく。集めたものは100年200年取っておく。そのことで価値が生まれる」
新しい収蔵庫の建設に着手しましたが、資材や人件費などが高騰し、建設費用が大幅に増加。さらに、光熱費も高騰するなど追い打ちをかけました。今回の成功に対しては、こう話します。
国立科学博物館 栗原祐司理事:「これまでも、すでに色々なところから話を聞きたいという話は来ていて。話せることは積極的に話して、私どもだけの財産にしないで、博物館全体・日本全体の財産にしたいと考えている」
国立科学博物館は、2001年から独立行政法人となり、国からの交付金は100%ではありません。収入源の一つである入館料は、コロナ禍で大幅に落ち込み、いまだそのダメージを引きずっています。
篠田館長:「国に(資金を)たくさんくださいと言いたいところだが、『独法』は、人を減らすための仕組みのようなところがある。その圧力は強いですから、私たちがやりたいこと、国がやりなさいということ、その差を何で埋めていくのかを、今後ずっと考えていかないといけない。もっと資金があれば、色々なことがやれる能力があるし、それを実際に示してきた。その部分を認めていただきたい」
集まった資金のうち、3億円余りは返礼品や手数料として、残りの6億円は標本や資料の充実、管理などに充てる予定です。
◆城もホールも“新幹線”も…日本各地で広がる“クラファン”
クラウドファンディングは、日本各地の自治体などに広がっています。
宮城・仙台市では、“青葉城”として親しまれている『仙台城の石垣など』。地震で壊れたため、その修復費用として、目標金額2000万円で行っています。
奈良市では、平城宮の跡地に復元された門である『朱雀門の扁額(へんがく)』。修復費用として、目標金額1000万円で行っています。
東京・昭島市では『新幹線図書館』。かつて、図書館として利用されていた新幹線0系の車両。現在は放置され、塗装が落ちたり、錆びて車体に穴が空いてしまっています。この車両を市のランドマークにするため、改修費用として目標金額1500万円でおこなっています。
なかなかお金が集まらない所もあります。
福岡・春日市の『ふれあい文化センタースプリングホール』。中学校の合唱コンクールや幼稚園の発表会など、市民に親しまれているホールで、一見きれいですが、開館から約30年が経過し、様々な設備が老朽化しています。ブラウン管モニターやフロッピーディスクを現在も使用しているということです。この改修費用として、今年5月からクラウドファンディングを開始しました。目標金額は150万円ですが、6日午後9時時点で10万円ほどしか集まっていません。来年3月末までに目標金額に達成しなければ、改修費用は市の予算で賄うということです。
大越健介キャスター:「公的施設であっても、税金に頼りっきりという“タテ”の構造ではなく、広く市民から寄付を募る“ヨコ”の支え合いへと、運営の在り方は変わってきているように思います。そのためには、施設を運営する側の工夫や努力も必要だし、支える側の私たちの認識も、より一層踏み込んだものにしなければならないのかもしれません」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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