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20日、法廷に濃紺のスーツ姿で現れた市川猿之助被告(47)。職業について「歌舞伎俳優です」と答え、「間違いありません」と起訴内容を認めました。両親の自殺幇助(ほうじょ)について「後悔でいっぱいであります」などと語りました。
■「後悔でいっぱい」涙声で証言も
市川猿之助被告(弁護側被告人質問):「申し訳ないことをした。後悔でいっぱいであります。そういう選択をしたこと、父も母も亡くしてしまったこと。母は私だけが頼り。2人にとっては僕が生きがいだったのだと思う」
市川猿之助こと喜熨斗孝彦被告。被告人質問で証言台に立ちました。
弁護人:「自殺するしかないと思ったのは週刊誌がきっかけ?」
市川猿之助被告:「はい。すべて信じ込まれて事実として定着してしまう。歌舞伎を支えてくれる人も離れていってしまう。悪い方向にはまっていった」
弁護人:「『歌舞伎できなくなる。もう死ぬしかない』と言ったのか」
市川猿之助被告:「いいえ。『舞台どうする、皆、弟子はどうする』と言われた。個人を殺して生きてきた。思いを抑えて波風を立てないように。舞台への責任。両親もつらかったことを分かってほしいと言った。自分と一緒に死んでほしいという思いではない。言ってもいない。両親もつらかったと言っていた」
弁護人:「一緒に死んでくれるとは思っていなかった?」
市川猿之助被告:「はい。申し訳ないことをした。後悔でいっぱいであります」
弁護人:「なぜ相談ができなかった?」
市川猿之助被告:「幼いころからの性格ですし相談されても困る、相談はいけないことだと思っていたのでできませんでした」
弁護人:「今後は相談する?」
市川猿之助被告:「はい。今は先生はじめ、今でも変わらず支えて…」
猿之助被告は絞り出すような声で話すと、涙します。検察側からは…。
検察官:「両親に話そうとはなぜ思った?」
市川猿之助被告:「論理立ててそう思ったのではなく、責め立てられているような、頭がしびれるようななかで、このまま死んだらびっくりすると思って言ってしまった。冷静に考えたのではない。つらい過去があるので分かってもらいたいということで言ってしまいました。はっきり言って自分の中で自問自答、お力を借りて人と相談して悩みを打ち明けること、弱みを見せることをやっていきたいです」
検察側は論告で「両親の死は誘発されたもので被告が与えた影響は重い」「被告が他の人に相談したり他の手段を取っていれば両親は自殺しなかった」などと指摘。そのうえで、猿之助被告に懲役3年を求刑しました。
■「一生背負っていく」 懲役3年を求刑
一方、弁護側は「計画性がない」などとして執行猶予付きの判決を求めました。約1時間半に及ぶ初公判の終わり、猿之助被告は再び証言台に立ちました。
市川猿之助被告:「両親をはじめ関係各位、こんな僕でも応援してくれるファンの皆様、多くの方に、僕よりもつらい思いや傷付けてしまったことは消すことはできません。大変申し訳ございません。申し訳なさや感謝、一生背負っていく思いです。何かできること、僕にできることをさせていただき、生きる希望にしたい」
判決は来月17日に言い渡される予定です。
厚生労働省は、悩みを抱えている人には、1人で悩みなどを抱えずに「こころの健康相談統一ダイヤル」や「いのちの電話」などの相談窓口を利用するよう、呼び掛けています。
▼「こころの健康相談統一ダイヤル」0570-064-556
▼「#いのちSOS」0120-061-338
▼「よりそいホットライン」0120-279-338
▼「いのちの電話」0570-783-556
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