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ハットを目深にかぶり、カジュアルな装いで現れたミン氏。レーベル代表を解任されてから1カ月半、環境は大きく変わりました。
ミン・ヒジン氏
「契約上は、現在は、プロデューサーでもなく、代表取締役でもありません。社内取締役の権限だけで、あいまいな状況です。進めてきた企画は、いまも手掛けてはいます。放り出すことはできません。メンバーとも話をしています。仕事はしていますが、次のステップがまだ明確ではなくて、この状況を早く整理したいです。(Q.ファンが心配しています。NewJeansの未来がどうなるのか)わかりません、占い師でもないし。ただ、運命に任せるだけです。来年は、ワールドツアーがあって、年明けにアルバム制作のつもりでした。こんなことになるなんて」
時代や性別を問わず愛されるジーンズのような存在にという願いを込め、名付けられた『NewJeans』。
ミン氏は、音楽の作り手ではなく、デザイナー出身。ビジュアルやコンセプトへのこだわりが“違い”を生んでいます。
デビューからわずか2年で、世界から愛されるガールズグループに育て上げました。
広告価値はうなぎ上り。メンバーそれぞれが、ラグジュアリーブランドのアンバサダーを務め、グローバル企業からのラブコールも絶えません。
ミン・ヒジン氏
「私のビジネスの流儀は“営業をしないこと”。できるだけ関心を持たせるのです。『ミン・ヒジンがガールズグループ?』『どんなチーム?』私が手掛けたものへの信頼があるわけです」
ミン氏を母と慕うメンバー。固い絆で結ばれています。
ミン・ヒジン氏
「あの子たちの母親は、私と同世代です。ハニの両親は、同い年。お母さんはソウルにいないので、“ソウルのお母さん”なんです。『お母さんが2人いる』って、ハニはいつも言うんです。ソウルでは、ハニの支えになってあげないと。メンバーはまだ幼いから『こういう音楽が好きだった』『一度、聞いてみて』と子どもにするように自然な話し方をしています。私のアバターを作りたいわけではなくて、メンバーは、個性がはっきりしていて、好みも違います。私たちが与えたことを、それぞれのやり方で消化します。あの子たちにとって、私との相性がよかったのかも。似た者同士かもしれません。オーディションで選んだのは、何か惹かれるもの、共通した部分を感じたからかも」
しかし、物語は、突然、止まってしまいました。
きっかけは、4月に勃発した経営権をめぐる内紛です。
ミン・ヒジン氏(4月)
「いつ私が経営権の奪取をもくろんだ?このバカたれどもが。来るならタイマンで来い。卑怯なことはやめて、直接、言ってこい」
ミン氏が代表を務めていた『ADOR』は、『BTS』のプロデューサー、パン・シヒョク氏が築き上げた韓国最大のエンターテイメント企業『HYBE』傘下のレーベルの1つです。
HYBEは、ミン氏が独立を企てたとして、内部監査に着手。親会社としての影響力を行使し、8月末、ADOR代表の解任に踏み切りました。
解任にNOを突き付けたのが、NewJeansのメンバー。事前予告なしの緊急配信で、HYBE側の対応を批判。韓国メディアは「事実上の最後通牒」と伝えました。
へイン(9月11日公開)
「私たちの人生の問題です。大人に任せて待っていたくないんです」
ダニエル(9月11日公開)
「夢のために努力してきただけ。間違ったことをしたのでしょうか」
ミンジ(9月11日公開)
「私たちの願いはミンさんが代表の元通りのADOR」
メンバーは、2週間以内の代表復帰を訴えましたが、HYBE側は「方針を変える必要はない」として拒否。一方で、今後5年間にわたり、プロデュースを任せる案を提示しています。
この提案、本人は受けるつもりがありません。
ミン・ヒジン氏
「HYBE側は、私の背任を主張してるのに、プロデューサー業務の提案ですよ。大きな矛盾です。なのに、プロデュース業務の提案?」
そして、戦いの舞台は法廷へ。
ミン氏は、レーベル代表の解任は不当だとして、裁判所に再任を求める仮処分を申請しました。
そもそも、ミン氏は、K-POPの老舗『SMEntertainment』出身。手がけた作品の独創性が高く評価され、HYBEが迎え入れた経緯があります。
ミン・ヒジン氏
「K-POPシーンの新しい波をつくることができて、クリエイティブを見せることができるレーベル。これをやりたかったんです。『レーベルを一緒につくろう』『立ち上げてあげる』と言われて、だからHYBEを選びましたが、私には多くの選択肢があったんです。あの約束がなければ、なかったことなんです」
代表の座にこだわるのは、1人のクリエイターとして、よりよいものを作りたいからです。
ミン・ヒジン氏
「SM時代はクリエイティブディレクターで、経営の権限はまったくありませんでした。作品を手掛けながら、仕事の幅を広げていきました。経営に権限がなかったころのジレンマや改善点、クリエイターとして、多くの課題を感じていたので、すべてをやるべきと思いました。ビジョンを実現するためのプロセスとプランがあります。プラン通りに進めるには、制作・先行投資・経営、これらが一緒に動かなければなりません。何にコストをかけて、何を節約するかは“駆け引き”です。コストの効率性が大きな価値につながります。クリエイターとして、K-POPへの理解を持ったうえで、経営を最大化すれば、さらなるクリエイティブとなり、それが拡散されて、ビジネスとして成長できると確信を持ったんです」
物語が再び動き出すかは、司法の判断にゆだねられています。
ミン・ヒジン氏
「私だけの挑戦ではないんです。行動をともにしているみんなの人生がかかった挑戦。だから戦っています。責任を伴うものなんです。『事必帰正』って言葉があります。正しい結論は出るものです。そういう信念は持っています。いまは少し立ち止まっているだけ。戦いが終わったときに備えて、“NewJeans計画”を立てています。保留となった企画もいつか別の形で活用できます。柔軟に仕事をしてきました。楽しんで仕事をするタイプですし、困難を乗り越えるためにプランを考えています。いま、明かすことはできませんが」
◆親会社『HYBE』の主張をみていきます。
ミン氏の代表復帰について、我々の取材に対し、HYBEは「NewJeansとの専属契約が満了するまで、プロデューサーとしての業務遂行および前代表取締役時代と同様の待遇を保証する業務委任契約も提案しました。ただし、代表取締役の再任は、ADOR経営陣の独立した判断に基づいて行われるべきであり、現在、関連する仮処分申請の審理が進行中であるため、HYBEが言及しにくい点をご理解いただきたいと思います。なお、ミン前代表が交代されたのは、代表取締役としての不適格な理由が、多数、明らかになったためです」とコメントしています。
ミン氏を再度、代表に選任すべきかどうかをめぐる審問について、海外メディアにも大きく報じられ、世界中で注目されていますが、裁判所は、今月25日まで双方の追加意見を受けた後、できるだけ早く決定を下すとしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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