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ガザ出身医師「それでも憎まない」娘3人を殺害されても…イスラエルとの“架け橋”に【報道ステーション】(2024年10月4日) -芸能ニュース/炎上まとめ

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ハマスによるイスラエルへの攻撃から間もなく1年が経ちますが、報復の応酬はさらに長い年月をさかのぼって続いてきました。15年前、3人の娘を殺害されたにもかかわらず「私は憎まない」と訴え続けるパレスチナ人の医師に思いを聞きました。

■「それでも憎まない」ガザ出身医師

アブラエーシュ博士
「ガザのメッセージを日本の皆さんに伝えられればと思います。他の国に行くことは、互いの理解を深めるための投資ですから」

「パレスチナとイスラエルの架け橋となる」そう訴え続けています。

アブラエーシュ博士
「殺人に殺人で対処できないし、ネガティブにネガティブでは対処できません。別の方法があるんです。復讐を選ぶ方が墓穴を掘ることになるんです」

アブラエーシュ博士が生まれたのはガザの難民キャンプです。

アブラエーシュ博士(映画『私は憎まない』)
「私の子ども時代は子どもらしさなどなく、あるのは悲惨さと貧困だった。朝は国連の食料配給センターへ行き、牛乳を集めて回った。売るためだ。そこから抜け出す方法は教育だけだと気づいた」

働きながら猛勉強をして、1983年にカイロ大学で念願の医師になります。さらに、パレスチナ人として初めてイスラエルの病院で勤務することも認められました。いつ閉ざされるか分からない検問を通り、ガザから通い続ける日々。一つの思いがあったからです。

アブラエーシュ博士(2001年)
「私の目標は、この仕事を続けてイスラエル人とパレスチナ人の間に信頼と希望を醸成することです」

しかし2008年12月。この時の地上侵攻と空爆で犠牲になったパレスチナ人は1417人に上りました。そのうちの3人はアブラエーシュ博士の娘たち。イスラエルの戦車に狙い撃ちされました。殺された当時の様子が残されています。イスラエルのニュース番組で生放送中のことでした。

ニュースキャスター(映画『私は憎まない』)
「速報です。アブラエーシュ医師と電話がつながっています。彼の自宅に砲弾が撃ち込まれました。家族が負傷したようです。話を聞いてみましょう」

アブラエーシュ博士(映画『私は憎まない』)
「助けが来ないんだ。何てことだ。(Q.誰がけがを)娘たちだ。ああ神よ!何とかして助けたい。みんな頭を撃たれたんだ。ああ神さま!」

ニュースキャスター(映画『私は憎まない』)
「電話を切ることができません」

アブラエーシュ博士(映画『私は憎まない』)
「神よ!彼らが娘たちを殺した。娘たちが殺された」

アブラエーシュ博士(映画『私は憎まない』)
「私はイスラエル人患者を診ている。なのにこんな仕打ちを?これが和平か?」

■憎しみへの“処方せん”

そんな絶望の中でも直後に出てきた言葉は「架け橋になる」でした。

アブラエーシュ博士(映画『私は憎まない』)
「パレスチナ人であることが誇りだが、私はガザとイスラエルの架け橋だ。共存の実例になりたい」

この時、アブラエーシュ博士はどのように思っていたのでしょうか。

徳永有美キャスター
「それでも両国の架け橋になりたい、共存したいと言える心。自然だったのか、何か発想を変えたのか。どうしてもその心の強さ、流れが想像できないんです」

アブラエーシュ博士
「私が絶対に受け入れ難いこと、それは復讐です。考えもしません。復讐で娘たちは戻らない。娘たちは若く、気高くて神聖でした。その魂は、崇高な大義や人類のために生かされるべき。私は信じています。これからも主張していきます。暴力の先には何もありません。憎しみは暴力を生みます。暴力は暴力を生み、広げていきます。否定を肯定に、戦争を平和に、暴力を優しさに変える」

ただ、頭では理解できても、心をえぐる痛みを与えた人間を憎まないのは簡単ではありません。

徳永有美キャスター
「“憎しみの病”の処方せん、薬はあるのでしょうか」

アブラエーシュ博士
「あえて誰も言いませんが、病原はイスラエルによる占領です。占領と植民地化は終わらせるべき。入植の拡大はがんと同義です。この状況に終止符を打てば、パレスチナ人とイスラエル人は対等で自由な共存が可能でしょう。正義の基準は一つです。あなたに伺いたい。世界はこの戦争を止められますか。その気になれば止められますか」

徳永有美キャスター
「本当にストップすべき、今この瞬間もストップすべきだと」

アブラエーシュ博士
「『すべき』なのは分かります。実際に止められる?誰なら止めることが?」

徳永有美キャスター
「『できる』と言いたいですけど『終わってほしい』としか私は言えないのが悲しい」

アブラエーシュ博士
「私は絶対に諦めない。希望を失わない。仰る通り厳しい状況ですが“患者”はまだ生きています」

■イスラエルとの“架け橋”に

イスラエルとガザの両方の病院で産婦人科医として、宗教や人種に関係なく出産の現場に立ち会ってきました。命と向き合ってきたからこそ、博士はこのように話します。

アブラエーシュ博士
「政治的リーダーに欠けているもの、それは女性です。女性は命を育む存在です。命を与える存在です。私には確信があります。持続性があって健全で平和で自由な世界にできる。女性の参画が必要です。機会と教育の向上が求められます。この世は男だけのものじゃない」

徳永有美キャスター
「今、目標としていること、かなえたいことを教えてください」

アブラエーシュ博士
「帰りたい、ガザに。娘たちの墓に行きたい。そして伝えたい。『休んでなんかいないよ』」

大越健介キャスター
「自分の子どもたち、家族が殺される事態になった時に、相手を憎まないことができるだろうか、アブラエーシュさんのように振る舞えるだろうかというと、自分はどうしても恨んだり憎んだりしてしまうのではないかなと。自分にはできないと思います」

徳永有美キャスター
「私もそう思ってインタビューに臨み、彼が聖人君子で超越した方なんじゃないかと思ってお会いしました。実際に会ってみると、決してそうではなくて。娘が殺されたからこそ、娘を崇高に思い、娘の死を汚したくないからこそ、憎しみを世界からなくしていきたいと。それは人間ならできるんだと強く信じて、強く訴えている父親であり、感情を前にする医師だと思いました。ぜひこの映画を観て、この家族の人生に触れていただきたいと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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