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11日に全日程を終えたパリ五輪。熱戦が繰り広げられた一方で、ネット上での誹謗(ひぼう)中傷も目立つ大会となった。日本オリンピック委員会(JOC)は1日に「侮辱や脅迫などの行き過ぎた内容に対しては、警察への通報や法的措置も検討する」と注意喚起。8日にも日本バレーボール協会の川合俊一会長が中傷への声明を発表した。なぜこのような炎上が起こったのか。どう対策すればよいのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏に聞いた。(樋口 智城)
「五輪などで炎上の原因となる書き込みを行う人たちのタイプは複合的です」。井上氏は類型を解説する。「大きく言えば3つ。〈1〉自国に誇りを持ち、戦い方などをまじめに考え過ぎる人〈2〉五輪を陰謀論的に考える人たち〈3〉叩いている人たちに乗っかる人たちです」。この3タイプが相乗効果を起こし、炎上は拡大するという。
その上で「今大会の炎上増加は、体操女子選手の喫煙出場辞退騒動が大きかったと思います」と分析する。「これは〈1〉の典型例。辞退の是非を巡り、議論しやすい問題でした」と井上氏。「五輪前に勃発したことで、みなさんの書き込みへの肩慣らしができていたわけです。特に〈3〉の人たちの準備が万全となってしまった」
スタンバイ状態の中、五輪開幕後は連続して議論しやすい問題が頻発した。「〈2〉の典型である開会式の演出問題、〈1〉〈2〉の複合である柔道・永山選手の不可解判定問題、〈1〉の柔道女子・阿部詩選手の号泣…タイプの違った事例が連日起こる」。そこに乗っかる〈3〉。「どんどん燃料が投下されるわけですから、炎上に広がりを見せるのは自明の理です」。勢いがつきすぎてしまい、普段ならそれほど注目されない「バレー男子のサーブミス」レベルでも批判の声が起きた。
一方の東京五輪では、パリに比べて競技自体で炎上騒動になることは少なかった。井上氏は「これは、五輪前に韓国が事前に東日本大震災関連で福島産の食材を懸念して自国から持ち込むなどしたことで、そちらに誹謗中傷が集中したことが大きい」。競技以外へ書き込みの中心がシフトしたことが原因とみる。
今後、ビッグイベントで起こる中傷対策はどうすればいいのか。井上氏は「炎上するような書き込みをする人は、日本だけでなく外国でも同じように一定数います。彼らを防止する手立てはない」とする。そのため、必要なのは中傷を受ける選手側の対策。「五輪期間中だけでも、各協会や日本選手にコメント欄をあらかじめブロックするなどのSNS対策を指導するべき。SNSと距離を置き、中傷コメントをできるだけ届かないようにして、競技に集中できる環境作りをしてあげてほしいですね」と提言した。
◆主なパリ五輪での誹謗中傷騒ぎ(日付は日本時間)
▼開会式(7月27日)演出で「最後の晩餐(ばんさん)」をパロディー化したなどとして、世界中で話題に
▼柔道男子・永山竜樹(同27日)準々決勝で「待て」がかかっているのに締め続けられ一本負け。相手のスペイン選手に中傷メールが殺到=
▼柔道女子・阿部詩(同28日)2回戦で一本負けし、畳を下りると大号泣。試合会場では泣くべきではないなどとSNSなどで批判の声
▼競歩(同29日)柳井綾音らが混合団体に専念するため女子20キロを辞退すると発表。柳井はSNSで中傷が寄せられたことを訴えた
▼バスケ男子(同31日)勝利目前のフランス戦で疑惑の判定により延長戦にもつれ込み敗戦。「フランスびいき」「誤審だ」などと審判のSNSに中傷の書き込みが寄せられた
▼柔道混合団体(8月4日)フランスとの決勝の代表戦で、デジタルのスロットでリネールVS斉藤立に決定。「リネール確定ガチャ」などの声が殺到
▼バレー男子(同5日)イタリアとの準々決勝で、サーブをミスした小野寺太志がSNSで中傷を受けたことを明かす
▼ボクシング女子(同10日)性別を巡る騒動の渦中にいた女子66キロ級のイマネ・ヘリフが金メダルを獲得し「ネット上での攻撃は極めてひどかった」と告白
▼駐日フランス大使館(同12日)五輪に関するSNSでの投稿に対し「二度と立候補するな」などの中傷
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/item/neta/12265-3292509/