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■山形“豪雨”2人目の遺体発見 警察官か
強い雨の中、懸命な復旧作業が続いています。
(草薙和輝アナウンサー)「秋田県の由利本荘市、次第に雨が強くなってきました。先日の大雨で川が増水した影響で、あちらの堤防が数十メートルに渡り決壊しました。この雨の中、崩れた堤防の復旧作業が行われています」
記録的な大雨により、甚大な被害が出ている東北地方…山形県新庄市では、パトカーが流され、男性警察官2人が行方不明に。27日、このうち1人が亡くなっていたことが分かりました。そして28日も…
(田中良樹記者)「行方が分からなくなっていた警察官が見つかったのでしょうか。今捜索員がビニールシートで何かを覆っています」
午前10時50分ごろ、捜索中の消防署員が、パトカーからおよそ1.7キロ離れた場所でうつ伏せ状態の男性を発見。その場で心肺停止を確認したといいます。警察は服装などから、行方不明の20代の巡査部長とみて確認を進めています。さらに酒田市では…
(石川時也記者)「酒田市で行方不明になっている高齢女性の捜索活動が始まりました」
25日、家族と共に、自宅から避難途中に行方が分からなくなっている86歳の女性。行方不明になってから3日経ったこの日、約150人態勢で捜索が続けられましたが、いまだ行方は分かっていません。
交通機関にも影響が出ています。JR東日本は、大雨の影響で山形新幹線の山形駅から新庄駅間の上下線を8月中旬ごろまで運転を見合わせると発表しました。
■泥まみれの家財を前に「絶望しかない」
町内を流れる河川が一時、氾濫危険水位に達し、約350棟が浸水した山形県遊佐町―。
(草薙和輝アナウンサー)「冠水被害に見舞われたこのあたり今は水は引いていますが、ご覧のように住民のみなさんが片付け作業をしています」
家の中を見せてもらうと…
(草薙和輝アナウンサー)「失礼します。やっぱり泥の匂いもすごいですね」
「泥の匂いもそうですし、玄関の方に灯油もあったので、灯油の匂いとすごい感じですね」
泥にまみれて散乱する、家財道具の数々―。
Q.どの辺りまで水が最終的に来ていた?
「泥がここら辺まであるので…」
Q.このガラスの汚れているあたり?
「ですね」
5人の子どもたちが選別しながら、片づけをしていました。祖父母の代から受け継ぎ、子どもたちを育ててきた住み慣れた家…。
「絶望しかないですね。何も考えられないし…ちょっと言葉が見つからない…」
その周辺では…
(依頼者)「これはエンジンかけていいの?かけないほうがいいよね?」
(JAF山形支部ロードサービス隊庄内基地松谷知明さん)「かけないほういいですね」
JAFによる浸水車両の搬送作業が行われていました。
Q.いま中の様子どうですか?
(依頼者)「最悪ですね」
依頼者によると、大雨で避難していた間に、駐車場の車が浸水したと言います。
(草薙和輝アナウンサー)「まだこの辺り、泥も残っています。そして隣に停められた車も同様に中に泥水が溜まってしまっています。足元そして助手席のシートですね。かなり高くまで水や泥が来ていたことがわかります」
周辺を取材すると、押し寄せた濁流の状況が明らかになってきました。住民によると、浸水が始まったのは25日午前11時半過ぎ。その2時間後…
「わぁ、ダメだ。どんどん流れてる」
浸水した車が置かれていた場所から100メートル程の地点では、タイヤの半分ほどまで、茶色く濁った水が流れ込んでいたのが分かります。一方、同じころ、浸水車両を映したカメラには、すでに車のヘッドライトを超える高さまで、泥水か押し寄せていたのが映し出されていたのです。浸水した車の所有者は…
(浸水車両の所有者)「その(浸水の)瞬間は(すごく早かった)。廊下まで一気に。部屋が全部水の下になった」
■大規模浸水時の“逃げ遅れ”減らせ
毎年のように甚大な被害をもたらす大雨。私たちはどう備えればよいのでしょうか?
いま、浸水が広範囲に渡った場合でもすばやく全体の被害状況を把握するためのシステムが開発されています。
(ハイドロ総合技術研究所渡辺健さん)「リアルタイムで地点の断片的な浸水状況から、領域全体の浸水状況を即座にAIが推定するといったシステムがございます」
限られた情報から、浸水の範囲や深さなどをAIが推測するというこのシステム。6年前の西日本豪雨のデータを基にシミュレーションしてみると…
(ハイドロ総合技術研究所渡辺健さん)「この状態で浸水推定というものを実行しますと、即座にこの領域全体の浸水状況というものが推定されまして…」
シミュレーション結果と災害後に行われた実際の調査結果を照らし合わせても、誤差はほとんどなかったといいます。
(ハイドロ総合技術研究所渡辺健さん)「自治体がこの状況を速やかに把握できることによって、逃げ遅れが減るといったところが期待されるかと考えております」
■“浸水しない家”水位上がると浮く
“浸水しない家”も開発されています。すでに5000戸近く販売されているという「耐水害住宅」。どんな仕組みで浸水を防いでいるのか、こちらの施設で体験しました。
(テレビ朝日佐々木一真)「今ポンプから勢いよく水が流れ始めました。豪雨被害などで浸水が起きた想定で今この家の周りに水がたまり始めています」
注水開始から約3分後には…
(テレビ朝日佐々木一真)「今安全避難が困難という指標の70センチを超えて、窓枠の高さにまで水が上がってきましたが、こういった隙間からも浸水が全くありません」
(一条工務店1級建築士黒田哲也さん)「車のドアのパッキンと同じような仕組みのものを使わせていただいておりまして、水密性の高い、サッシになっています」
窓やドアには水を侵入させないパッキンを使用。また、一般の住宅では風呂場などで水が逆流することがありますが…排水管にも逆流防止の弁が設置されています。さらに水位が上がると、建物自体が…
(テレビ朝日佐々木一真)「今、家が揺れていますか?」
(一条工務店1級建築士黒田哲也さん)「そうですね。外の水位の浮力に負けて、建物は浮き上がっている状態」
水が玄関ドアの取っ手近くまで達すると…建物全体が、浮き上がりました。
(一条工務店1級建築士黒田哲也さん)「建物の中に水が入らないようにしていくと、建物が浮力に負けて浮き上がってしまう」
気密性を高めると、浮力が大きくなります。その浮力に逆らわず、家を丸ごと浮かせることで家にかかる圧力を減らしているといいます。そして、浮き上がった家は、流されないようにポールにつなぎとめられているため、水が引くと元の位置に戻るようになっています。
おととし9月の台風15号、静岡県では5000棟を超える床上浸水の被害が出た一方、県内の耐水害住宅では、浸水被害がなかったといいます。
(一条工務店1級建築士黒田哲也さん)「通常は冠水、床上浸水してしまった住宅ですと、安くても500万から1000万くらいの、修繕費用がかかってくるような状態になってしまうんですけど(耐水害住宅は)外部の点検をしたあとに異常がなければ、そのまま元通りの生活に戻ることは可能です」
■人工衛星でピンポイント地形観測
人工衛星の画像から、土砂崩れの予兆を事前に察知する研究も進んでいます。ポイントとなるのは人工衛星のマイクロ波を使った地形の観測。一般的な衛星画像とは異なり、地形をより精細に捉えることが可能になるといいます。
(NECエアロスペースソリューション統括部石井孝和さん)「地表面の動きをミリ単位で可視化することができます」
さらに、定期的に観測し比較することで、ピンポイントで地形の変化を調べることができるのです。3年前に静岡県熱海市で発生した大規模な土砂崩れ。発生直前と1年半前の衛星画像を比較し、地形の変化を地図上に表した画像です。青い地点では6センチ沈み、赤い地点では3センチ以上盛り上がっていたなど微妙な変化が分かりました。
(NECエアロスペースソリューション統括部石井孝和さん)「(今後は)地形的にどう崩れていくかといったところを予想できると思うんですね。(発生前に)公民館に逃げるとか、崖から離れるとか、そういう動きをしてもらえるようなシステムにしたいなと思っています」
この技術を活用した防災システムは、一部の自治体で実証実験が進んでいて、来年以降、実用化される予定です。
7月28日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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