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評価が変わっているのは「コロンブス」だけじゃない。“歴史”は解釈が更新されるもの|ニフティニュース -芸能ニュース/炎上まとめ

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人気バンドMrs. GREEN APPLEの楽曲「コロンブス」のミュージックビデオ(MV)が公開されるや否や、瞬く間に炎上騒動へと発展したことは記憶に新しい。探検家のコロンブスをテーマにした映像だったが、その内容が先住民への侵略や植民地支配の歴史を肯定しているとして、多くの批判を浴びることになりました。

1492年にコロンブスがアメリカ大陸に到達した偉業は、長いこと「新大陸発見」という輝かしい功績として称えられてきました。しかし、近年ではコロンブスの評価は賛否が分かれています。コロンブスの到来は、先住民にとっては侵略の始まりであり、疫病の蔓延や虐殺、奴隷化など、数々の悲劇をもたらした出来事という側面にもスポットが当たるようになったのです。

こうした変化の背景には、グローバリズムの進展や多文化主義の浸透など、現代社会の価値観が影響しています。かつては欧米中心で語られてきた歴史が、現在では多様な視点から見直され、新たな解釈が生まれつつあるのです。

■農業革命は人類を幸福にしたのか?

時代の経過によってコロンブスに対する評価が変化したように、過去と現在において歴史認識が異なることが多くあります。

かつては「未開」で「原始的」な時代と見なされていた狩猟採集時代ですが、近年ではその生活様式や幸福度について新たな知見が提示されています。世界的ベストセラー『サピエンス全史』は、狩猟採集時代を再評価するきっかけになった一冊です。

人類が農業を始めたことは、一般的にポジティブな評価をされています。農業は食料生産の増加をもたらし、人口を大幅に拡大させました。また、ひとつの場所に留まる定住生活が可能になったことで、都市や国家を生み出し、科学技術や文化、経済が飛躍的に進歩したことが大きな理由です。

しかし『サピエンス全史』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏は、農業を「史上最大の詐欺である」としています。人類が狩猟採集をやめて農業を開始したことが、不幸の始まりであると言うのです。

以下で詳しく見ていきましょう。

まず農業に依存する生活は、人類に健康問題を引き起こしました。狩猟採集生活では多様な食物を摂取していたため、栄養バランスが比較的良好でした。しかし、農業生活では特定の作物(小麦や米など)に依存するため、食事が偏る傾向にありました。

結果としてビタミンやミネラルの不足が常態化し、また定住生活による運動不足も重なって、糖尿病や肥満などの病気が増加することになります。

さらに、農業による定住生活は、感染症のリスクを高めました。多くの人々が狭い地域に集中し、家畜との接触も増えたことで、疫病や寄生虫の感染が拡大したのです。

また、農業は過酷な労働条件をもたらしました。畑作業は長時間にわたる重労働を伴うため、腰痛や関節痛などの身体的な問題を引き起こしました。農業労働者は長時間働く必要があり、休息や自由な時間が極端に制限されたのです。

社会構造も大きく変わり、不平等が顕在化します。農業によって生産された余剰生産物は、権力者やエリートが支配するようになったため、富と権力が一部に集中し、支配階級と労働階級のあいだに大きな格差が生まれました。

このように、農業は人類の発展を促進しながらも、その一方で多くの人々にとって過酷で不平等な生活を強制する結果をもたらしたのです。

狩猟採集時代の人々は多様な食料を確保し、労働時間も比較的短く、現代人よりも健康で幸福だった可能性が指摘されています。農業と定住生活の開始は、食糧の安定供給と人口増加をもたらしましたが、それと同時に感染症の蔓延、頻繁な戦争、格差の拡大など、多くの問題を引き起こしたと、ハラリ氏は主張するのです。

■「進歩史観」の限界:ヘーゲルとマルクス

哲学者のヘーゲルやマルクスは、人類の歴史を「未開」から「文明」への直線的な進歩の過程と捉える「進歩史観」を提唱しました。

ヘーゲルは、歴史を「人間の精神が成長していく物語」と捉えました。歴史のなかで人々の考えや価値観がぶつかり合い、その対立を乗り越えることで、より良い社会が生まれていくと考えたのです。

ヘーゲルを継承したマルクスは、経済が歴史を動かす大きな力だと考えます。人々がどのように物を作り、お金を稼ぐかという「経済の仕組み」が時代によって変化し、その変化が社会全体を進歩させてきたというのです。

マルクスによれば、資本主義はいずれ限界を迎え、労働者によって共産主義へと移り変わります。この変化は歴史の必然的な流れであり「進歩」なのです。

しかし、進歩史観は、歴史を一面的に捉え、多様な価値観や文化を軽視する傾向があります。狩猟採集時代を「未開」と断定し、農業社会や工業社会への移行を無条件に「進歩」とみなすことは、現代の視点から見ると問題があると言えるでしょう。

▲三内丸山遺跡 写真:ikeda_a / PIXTA

狩猟採集の暮らしは、現代社会の抱える問題を解決するヒントを与えてくれます。狩猟採集時代の人々は自然の恵みを最大限に活用し、環境(自然)と調和した持続可能な生活を送っていました。

また共同体のなかで協力し合い、互いを尊重する文化を育んでいたことも分かっています。最近の研究では、縄文時代は1万年以上続いたというデータがあり、縄文時代をポジティブに捉える風潮が大きくなっています。縄文時代が平和だったため「人類が変化させる必要がなかった」という新しい見方ができるからです

現代社会は物質的には豊かであるかもしれませんが、精神的な豊かさや社会的なつながりは希薄になりつつあります。今回の騒動に限らず、頻繁に炎上が起きるのは、どこかで現代人は心の余裕を失っているのかもしれません。

歴史とは静止したものではなく、常に解釈が更新され続けるものです。過去の出来事に対する評価は、時代や社会の価値観によって変化し、新たな視点が生まれることで、歴史はより豊かで奥深いものとなります。

歴史から学ぶべきことは、過去の出来事を一面的に捉えるのではなく、多角的な視点から考察し、その教訓を現代社会に活かしていくことにあると感じます。

]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/item/neta/12301-3229112/

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