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なんらかの作品を創った人は、その「著作権」を有する。自分の考えや想いを作品として表現したのだから、強い思い入れもあろう。だが、「思い入れ」と「思い込み」はまるで違う。
「著作権侵害だ!」と筋違いないちゃもんをつけ、裁判沙汰にするような思い込みクリエーターも残念ながら多数存在する。そうしたエセ著作権を振りかざし、トラブルに発展した事件を取り上げた一冊が「エセ著作権者事件簿」(友利昴著)だ。
本連載では、ニュース等で話題になった事件も含め、「著作権」にまつわる、とんでもないクレームや言いがかり、誤解、境界線上の事例を紹介。逆説的に、著作権の正しい理解につなげてもらう。
第3回では、前回五輪2020年東京大会(2021年に延期開催)で大騒動になった「エンブレムパクリ事件」を取り上げる。多くの人は、著名デザイナーがデザインをパクって自国開催の五輪に水を差したという印象で終わっているかもしれない。だが、真相は違う。
そもそもの発端、指摘した人物の人間性、著作権の観点、反論のやり方深堀りすると次々明らかになる、残念な要素が積み重なった、指摘された側にはなんとも理不尽なとばっちりだったのだ。(全8回)
※ この記事は友利昴氏の書籍『エセ著作権事件簿』(パブリブ)より一部抜粋・再構成しています。
史上最大のエセ著作権事件?
日本の歴史上、史上最も大規模かつ理不尽な「エセ著作権騒動」かもしれない。それが、2020年東京五輪の大会エンブレム(上図右)へのパクリ疑惑である。
ベルギーにあるリエージュ劇場という劇場のロゴマーク(上図左)の盗作ではないかという疑惑が寄せられ、デザイナーである佐野研二郎に誹謗中傷が集中。このため、2015年7月のデザイン発表から一か月余りで撤回され、別のデザインが再公募され、差し替えになったというのが大まかな顛末だ。
元凶はこのベルギー人だ
この疑惑は、ネットメディアでのバッシングから、マスコミや言論人による批判が追随した炎上騒動の趣きが強かった。
だが、そもそもの疑惑の発端は、当のリエージュ劇場のロゴマークをデザインしたベルギーのデザイナー、オリビエ・ドビその人によるSNS上での告発だった。
当時、日本の多くのメディアや言論人が、彼の告発を無批判に受け止めたが、ハッキリいってどうかしている。誰も、これが非常識な思い込みと言いがかりだと気がつかなかったのだろうか。
オマエはどこの誰なんだよ
冷静に考えてほしい。まず、オリビエ・ドビっていったい誰? リエージュという都市すら一般的には馴染みがないのに、果たして彼の手掛けたデザインは、デザイナーなら知っていて当然というほどのレベルなのだろうか。
検証すると、それまでの彼のデザイン実績は、ほとんどリエージュ市内に所在する店舗等のロゴマークに留まることが分かった。リエージュ市のローカルデザイナーとあっては、日本はもちろん、ベルギーでの知名度すら相当怪しい。
さらに、当初ドビは、大会組織委員会に対して、著作権ではなく「リエージュ劇場が登録している商標権の侵害」と主張していた。ところがほどなくして、リエージュ劇場は商標登録などしていないことが明らかになるのである。なぜ、調べればすぐに分かるような嘘をつくのか。この時点で、ドビの主張する「権利侵害」など、信用に値しないと気づかなければならない。
要するに、誰も知らない虚言家のローカルデザイナーが、突然、日本人に嘘と妄想レベルのイチャモンをつけてきたと評価すべき事案なのである。
似ている=不正ではない
もっとも、「パクリ疑惑」の性質として、いくらエセ著作権による言いがかりだったとしても、「でも似ていることは似てるじゃん」という身も蓋もない事実を前に、指摘された側が後ろめたさを感じたり、疑惑を払拭できなかったりすることがある。
確かに、東京大会エンブレムとリエージュ劇場のロゴには、似た印象を覚える。だがこれは「似てはいるが、そこに何らの違法性も不正性もない」と評価すべきである。
「長方形」「略三角形」「円」という、簡単な図形を共通の素材として、アルファベットの「T」調の図形を形作ろうとするならば、仕上がる表現がある程度共通するのは自然の理ではないか。
考えてみてほしい。レゴブロックを4ピース渡されて、これで「T」っぽい図形を作れと言われたら、人によってどれほどの差が出るだろうか。同じ事件を取り上げた新聞の見出しは、どの新聞も似たような表現になるが、それをパクリだと言うだろうか。そういうことなのである。
あえてまねしてやろうなどといった、不正行為や違法行為を伴わなくとも、一定程度似て当然のシチュエーションはあるのだ。
歴史が証明する無実
実は、オリンピックのような大規模イベントのロゴマークが発表される際に、どこからともなく「○○に似ている」という感想が湧いて出ることは、決して珍しくない。リオ五輪のエンブレムにも、パリ五輪のエンブレムにも、先行する類似デザインが指摘されている(図)。
リオ五輪エンブレムはテルライド財団のロゴマークに似ていると指摘されたし、パリ五輪の招致エンブレムは、コンサルティング会社4 globalのロゴに似ているとされた。さらに、大会エンブレムはマッチングアプリのTinderのロゴに似ているなどと言われている。
それでも、エンブレムを取り下げるなんていう話にはなっていない。どんなロゴマークであろうとも、シンプルで抽象的な図形の組み合わせで構成されている以上、その表現バリエーションには限界があり、デザインプロセスに不正がなくとも、先行するマークに一定程度似ることは不可避的に起こり得ることは、歴史が証明しているのだ。
それなのに日本人だけが、ペテン師に担がれ、あんなに大騒ぎして関係者は右往左往したのだから、まったくどうかしている。
疑惑払拭のテクニックとは
ところで、当時、組織委も佐野も、記者会見でデザインの経緯を説明するなどして、比較的丁寧に「パクリ疑惑」に反論したのだが、残念ながら、メディアや世論のバッシングを払拭することはできなかった。いったい、彼らの何がいけなかったのか。
まず、組織委も佐野も、前述したドビの無名さや主張の非常識さを、ほとんど指摘しなかった。これは失策だ。彼らは「ドビの作品は知らない」「盗作はしていない」といった釈明は何度もしたが、いずれも防戦でしかない。
イチャモンのパクリ疑惑を払拭するには、自らの潔白や正当性を主張するよりも、イチャモンをつける側の異常性を知らしめる方が手っ取り早く、説得的な場合がある。「リエージュ以外では誰にも知られていない無名デザイナーの妄想による虚偽の告発だ!」くらいのことをぶちまけてやればよかったのである。
第二に、彼らが、両ロゴは、あくまで「似ていない」という立場に固執したことがよくなかった。デザイナーにとって、シンプルなデザインの成果物であればあるほど、自身のこだわり、オリジナリティはその細部に表れる。そこまでしっかり比較すれば、確かに、両デザインは似ていないと評価できる。
だが、素人感覚で、漠然と一見すれば似ている以上、いくら専門的見地から似ていないことを強調しても、世間の「でも似てることは似てるじゃん」という感覚とのギャップは埋めがたい。前述したとおり、「素材とモチーフが共通する、シンプルなロゴデザイン同士が、大まかに似るのは当たり前であり、それは決して責められるようなことではない」という説明を、豊富な実例もあげつつ、尽くすべきだったのである。
日本人はドビに怒るべし
結局、組織委は大会エンブレムを取り下げてしまったが、まったく苦々しい結末である。
だが、それよりも腹立たしいのは、事件後も止まらなかったドビの暴走だ。彼は、2017年に、またもSNS上で、米人気ロックバンド、リンキン・パークのロゴマークについて、自身がデザインしたリエージュの貸しイベントスペースのロゴマークの盗作だと示唆する投稿をしている(図)。
完全にエンブレム事件に味を占めた投稿であり、まったく同じ手口のイチャモンである。どうして、リンキン・パークがリエージュの貸し会議室のロゴをパクらにゃならんのだ。
しかも投稿日は、よりにもよって、リードボーカルのチェスター・ベニントンが自殺によって死去した3日後であった。とても正気の沙汰とは思えず、ドビの人間性に大きな欠陥があることを示している。もはや堂に入った著作権ヤクザ体質だが、こちらはまったく話題にならずに終わった。
なお、リンキン・パークでベニントンと共にツインボーカルを務めるマイク・シノダは日系三世であることが知られている。ドビの野郎、日本に何か恨みでもあるんじゃないか!? 怒れ! 日本人!
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/item/neta/12382-3227391/