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(青森山田高サッカー部監督時代の黒田剛・町田監督(C)日刊ゲンダイ)
【J1町田ゼルビア黒田剛監督の正体】#2
青森山田高サッカー部を率いてJFA・U18プレミアリーグ、高校サッカー選手権、高校総体で何度も日本一に輝いた名伯楽の黒田剛監督(54)だが、2022年10月にJ2町田ゼルビアの指揮官に就任した時には「プロの選手経験もなければプロの現場も知らない。ま、お手並み拝見といくか」と冷ややかな反応が圧倒的だった。
ところがJルーキー監督が2023年シーズンでチームをJ2初優勝・J1初昇格に導いてサッカー界を震撼させ、今季J1でも快進撃を続けて前半戦を首位で折り返し、第23節終了時点でもトップを維持して優勝争いをリードしている。しかし、称賛の声と同じくらいの批判にもさらされている。ストレートな物言いが誤解を招いたり、ネット住民に発言の一部を切り取られて炎上したり……。なかなか表に出てこない実像をサッカージャーナリストがペンネームで明かす。(第2回/全5回)
◇ ◇ ◇
どうしてJ1の新参者である町田ゼルビアがこんなに「ダーティー」と言われるようなったのか?
それは2023年シーズンに遡ります。2022年シーズンをJ2.15位で終えた町田はランコ・ポポヴィッチ監督から黒田剛監督にスイッチ。新監督の下、コーチングスタッフも選手も大幅に入れ替えました。
チームスタッフは21人中、13人が新任。選手も2チームが作れそうな19人が新加入しただけでなく、その中にはJ2のライバルチームから移籍してきた選手も。そりゃあ~もう完全に別のチームと言っていいくらいの陣容になります。
しかも2019年、2020年と横浜F・マリノスで通算41試合出場21得点という実績十分のFWエリキを高額年俸で獲得し、万全の体制を築いたわけですが、この時点で「主力を引き抜かれた!」と他クラブのファンからの怒りを買っていました。
さらにシーズンが始まっても続々補強。その中でもっともインパクトがあったのは、昇格を争っていた東京ヴェルディから、シーズン途中の7月6日に絶好調のFWバスケス・バイロンを引き入れたこと。しかも両者の対戦が7月9日に国立競技場で組まれていたこともあって、ますますヒートアップしたのでした。
試合にバスケス・バイロンは出場できなかったものの、両者の因縁を確定させるかのような好ゲームに。前半のうちに町田が2点を先制するものの、後半に入ると東京Vがジワジワと追い上げ、残り時間15分から2点を奪って追いついて終わったのです。
しかもシュート数は町田の5本に対して東京Vが10本。主力を失ったチームのほうが攻め込むという展開だったのも、余計に「悪い町田を清く正しい東京Vがやっつける」という構図が作られ、いよいよ町田のイメージを悪化させたのかも知れません。
そしてトドメは試合後の記者会見でした。
東京Vの城福浩監督が「相手はとにかく倒れて、やれないかと思っていたあとにまたプレーする。それに対して(東京Vの)選手は辛抱強く、我慢強く、それで追いついたからこそ、サッカーで勝ちたかったと思います」と、町田が「時間稼ぎをしていた」と言わんばかりに批判したのでした。
さらに「時間を分断する行為がものすごく多いというのは、J2を戦った上で感じている。自分たちのリードで極端にそれが出てくるチームと、自分たちがリードしてもほとんど変わらないチームがあり、われわれは後者」とダメ押しも。
国立競技場ということで日頃よりも多く集まっていた記者はこの話題に飛びつき、「町田=倒れて時間稼ぎばかりするチーム」という印象を持ってしまったのです。
もっとも、後日の会見で城福監督は「『時間を分断する行為』というのは町田に対して言ったのではなく、J2ではそういうプレーをするチームが多いという話」と説明したのですが、こういう話題は、なかなか報道されない。
そして黒田剛監督は「強奪と言われているけれど、ちゃんとクラブ間で交渉して移籍金も払っているのに」「実際うちの選手は体痛めていたんだからね」と、悪役にされて戸惑っていたのでした。(つづく)
◇ ◇ ◇
◆取材・構成=倉井史也(くらい・ふみや) 試合当日はスタジアムにいち早く到着して報道受付の先頭に立ち、試合後は選手バスが去っていく姿を見送るのが常。自慢は対戦カードの「因縁」を詳細に記憶していること。80年代から日本代表を熱狂的に応援していたという噂のある年齢不詳のジャーナリスト。
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/sports/soccer/12136-3210350/