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今回の検証では、実質経済成長率の想定別に4つのケースで今後の所得代替率が示された。成長率が1.6%と高い場合における年金の給付水準は、現役世代の手取り収入の56.9%(2039年度)を確保。また、成長率1.1%では57.6%(2037年度)、過去30年間を投影した現状横ばいのケースでは、50.4%(2057年度)となり、現役収入の5割を維持した。しかし、経済成長がマイナスの場合は、2060年度には、33%~37%に落ち込むことが示された(各想定で年度が異なるのは、経済成長が悪いとマクロ経済スライドの終了時期が先送りされるため)。最も現実的とされる過去30年を投影したケースにおいては、夫婦2人で実際に受け取る金額は、2024年度の場合、現役男性の平均手取り額の61.2%に相当する22万6000円となるが、2057年度からは、50.4%の21万1000円と減少となる。
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立法人(GPIF)は5日、昨年度の運用収益が過去最大の45兆4153億円の黒字となったことを発表した。武見厚労大臣は、「近年の女性や高齢者の労働参加の進展や、積立金の運用が好調だった」と、年金財政が健全化した背景を明らかにした。林官房長官は、「今後100年間の公的年金制度の持続可能性が確保されていることが改めて確認された」と評価した。実態に即した試算が必要にもかかわらず、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率や賃金上昇率の前提が、楽観的との指摘もある。2023年の出生率が1.20のところを1.36で計算、また、実質賃金上昇率は2001年から22年までマイナスにもかかわらず、プラスの前提を設定した(過去30年間を投影した現状横ばいのケース)。さらに、2016~19年の実績をベースに、2040年まで年間で16万4000人に上る外国人の入国超過が続くと想定している。
現在、65歳の人の給付開始時における所得代替率は61.2%で、1964年生まれの60歳では2029年度の受給開始時で60.1%、また、1994年生まれの30歳の場合でも、2059年度の受給開始時で50.4%となり、5割以上を維持した。受給開始後の給付推移を確認すると、1959年生まれの65歳は、25年が経過しても、50%を維持することは可能だが、現在60歳の人が受給開始25年後には48.3と、50%を割り込むことになる。世代別による年金額の推計では、1959年生まれの世帯で12万1000円となる。だが、非正規雇用が急増した1974年生まれの就職氷河期世代は、11万9000円とさらに金額が減少するし、それより若い世代よりも少ない。
国民年金保険料の納付期間を、今の40年から45年に延長する案については、検証結果が改善されたことから見送る方向となった。厚労省は保険料の納付期間を5年延長して64歳までとする案を検討してきた。実施した場合、代替率は約7ポイントの上昇となる。厚生労働省は、年内に議論を本格化させ、来年の通常国会に関連法改正案提出を目指す。
★ゲスト:駒村康平(慶応義塾大学教授)、加谷珪一(経済評論家)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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