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バッキンガム宮殿の前の通りには、イギリスの国旗とともに日の丸が掲げられています。
バッキンガム宮殿の正門に続く約1キロの並木道。この道をイギリス君主とともに馬車で駆け抜けることが最も格式の高いもてなしを意味します。今回、天皇陛下も同じ様式が予定されています。155年におよぶ皇室とイギリス王室が築いた友好の証です。
陛下にとっては、青春時代を思い返される旅にもなります。
天皇陛下(19日):「私がオックスフォードに滞在したのは、昭和58年6月から60年10月に至るまで2年4カ月間でした。オックスフォードでは、さまざまな人と出会い、研究という一つの柱を通じて数々の貴重な経験をし、研究者であればこそ味わえる感動を覚える日々でした」
学習院大学を卒業後、オックスフォード大学に留学された天皇陛下。いまもライフワークにされている“水運の研究”の土台は、この留学経験のもとに築かれました。
時期はずれますが、皇后・雅子さまもオックスフォード大に留学されていました。お二人の若き日々の思い出がぎっしりと詰まっています。
当時陛下は、20代前半から半ばという年代です。ここで多くの人に出会われ、多くのことを経験されました。
フィリップ・ウィットモアさん。陛下が親しくされた友人です。お二人がつながったきっかけというのが、音楽でした。
フィリップ・ウィットモアさん:「私は音楽を学んでいて、陛下は所有していたビオラで、室内楽をやりたがっていたので、すぐに実現した。キャンパスの一角には小さな“サマーハウス”があって、弦楽四重奏にちょうどいい広さで、さまざまな楽曲を一緒に演奏しました」
大学構内の一室で、陛下のビオラに、バイオリン2人とチェロからなる“カルテット”を結成。ドヴォルザークの代表曲『アメリカ』などを練習されていたそうです。
陛下が留学時代を振り返られた回顧録にも、カルテット結成のことが記されています。
『テムズとともに 英国の二年間』から:「自分で音楽活動に携わることができたことも、マートン滞在中の大きな喜びであり、楽しみであった。いつものようにホールで朝食をとっている時、偶然隣り合わせた学生から音楽を専攻していると聞き、多少恐る恐るではあったが、自分がヴィオラを弾く旨を話し、できれば室内楽をやりたいという希望を伝えた。その学生は、大学院生のW君といい、二つ返事で引き受け、彼が他のメンバーを探してくれることとなった」
フィリップ・ウィットモアさん:「あの回顧録で『W』は私です。
構内の小さな会場でコンサートをやるときは、弦楽四重奏『アメリカ』を披露していました。イギリス人と日本人の四重奏だから『アメリカ』で妥協しましょうと。オックスフォードでの陛下は、とても幸せだった。それまでの生涯で最も自由な時間を過ごしていたはずです」
音楽を介し、陛下の交友関係は、さらに広がっていきます。クラリネットの女性に誘われて、トリオも結成し、モーツァルトの曲をコンサートで披露されたそうです。
留学終了時、陛下は「私は、オックスフォードで謳歌したかけがえのない豊かな学生生活を大切に心に刻みたいと思います」と述べられました。
大切に心に刻まれたもの。いまも続けられているビオラは、まさにその1つです。
陛下は、今年の誕生日会見で、「最近はなかなかビオラの練習の時間が取りにくくなっているが、少しずつ続けており、音楽から多くの癒しと力をもらっているように思う」と話されていました。
去年、陛下の回顧録が復刊されるにあたり、陛下が書き加えられたあとがきがあります。
『テムズとともに 英国の二年間』から:「一つの国に一定の期間滞在することは、日本の外に出て日本を見つめ直すまたとない機会になると思う。この本によって、海外へ行ってみたい、あるいは、海外へ留学してみたいと思う人が一人でも増えれば、それは、私にとって大きな喜びである。そして、国を越えた一人一人の結びつきは、やがて、国と国や世界中の人々との良い関係を紡ぎ出すものに発展していくものと思う。遠くない将来、同じオックスフォード大学で学んだ雅子とともに、イギリスの地を再び訪れることができることを願っている」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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