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生田斗真の「無痛分娩おねだり発言」炎上。日本で浸透しない“国際基準の人権”とは?専門家を取材|ニフティニュース -芸能ニュース/炎上まとめ

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今月5日、俳優の生田斗真さん(39歳)が自身のインスタグラムで発信したひと言が物議を醸しています。
◆「旦那様に無痛おねだりするか」発言で炎上
 2024年5月5日、生田さんは自身のインスタグラムのストーリーズで「質問箱」機能を使い、質問を募集。その一つである「今日で妊娠9ヶ月です 出産こわいよー」というメッセージに対し、「旦那様に無痛おねだりするか」と返答し、Xを中心に批判が殺到しました。
「女性に決定権はないのか」「手術するときに麻酔をおねだりしろと言っているのと同じだ」などの声が噴出したため、この投稿の3日後に生田さんはストーリーズで「僕の発言で傷つけてしまった方がいるようです。ごめんなさい」と謝罪。しかしその内容も“謝るポイントが違う”とこれまた炎上する事態を招いてしまいました。
 一方で、「悪気があったわけではないと思う」「家計をともにしている旦那さんと相談して、出産に備えようと言いたかっただけでは」という擁護派の意見も見られました。
 生田さんは2020年に女優の清野菜名(29歳)と結婚し、2022年には第一子が誕生しています。一児の父でもあり、これまで目立ったスキャンダルもなく、好青年で良き夫、パパというイメージが強かっただけに、今回の発言とイメージとのギャップにショックを受ける人が多かったようです。
◆出産経験者からは辛口意見が
 今回の発言に対し、無痛分娩で出産した3歳の子どもを育てる佳美さん(仮名・38歳)は、こう嘆きます。
「率直に、たった十数文字で無知や誤解、奢りをものすごく凝縮して世に放ってしまったなと思いました……。出産への不安は痛みだけではないですよね。大げさでもなんでもなく“命がけ”ですし、職場復帰や育児など産後のことを心配する方もいると思います。そんな当人の気持ちに、必ずしも寄り添えるパートナーばかりではないのかもしれませんね」
 また、無痛分娩への偏見に苦しんだ経験もあるとか。
「無痛分娩を“ラクをするための手段”と誤解している人、偏見の目で見ている人、多いですよね。私も義母に『そんな産み方が許されるわけない』と反対されました。そんな人たちも今回の炎上をきっかけに、自分の考えの偏りに気付いてくれたらいいなと思います」
 さらに4歳児の母である真莉さん(仮名・32歳)はこう話します。
「このご時世、夫より妻の収入が多い女性も増えているのに勝手に妻のほうが収入が低いと見積もっていそうなところに腹が立ってしまいました。そもそも収入うんぬんに関係なく、出産方法の選択に“おねだり”が必要な状態って健全じゃないと思うけど……。無痛分娩をアクセサリーやブランド物のバッグみたいな贅沢品と同列だと思っているんじゃないでしょうか」
 子育て中の親たちの中には、このように厳しい目で今回の発言を振り返る人もいました。
◆専門家を取材「出産する本人に決定権がある」
 さまざまな意見がネットで交わされている今回の炎上騒動に関して、総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟で勤務ののち、現在は株式会社Rine代表取締役として性教育に関する発信や、産後ケア事業などに取り組むシオリーヌこと、大貫詩織さん(@shiori_mw)に話を聞きました。
 シオリーヌさんは「率直に思ったことが二つある」といいます。
「まずひとつは、無痛分娩をするかどうかを夫にお伺いを立てて、許可を得るものだとされていることに大きな誤解、偏見があると感じました。それは生田さんだけではなく、この社会全体に言えることです。
 無痛分娩にかかる費用はパートナーが出してくれるものだから、夫が許してくれるかわからないと言う女性もいます。もちろん家計を男性が担っていて現実的に許可が必要な状況にある方もいらっしゃると思います。でも本来は、どういう出産方法を望むかは、 “産む主体”の女性が決めるものだと思います」
 ふたつ目は「出産に向けての不安」についての誤解だ。
「これまでたくさんの妊婦さんと関わってきましたが、出産に対して感じる怖さというのは、痛みに対するものだけではありません。出産の際に自分がどういう状態になるのか予想がつかない怖さや、自分や子どもの命が危うくなったりしないだろうかという不安など、さまざまな要素が絡み合った不安であることが多いと感じます」
◆「無痛分娩=痛みをすべて取り除く方法」という誤解
 また「無痛分娩」そのものについての理解もまだまだ十分に進んでいるとは言えないといいます。
「無痛分娩が出産をすごくラクにしてくれる、痛みを全部取り除いてくれる方法という捉え方をしている方はまだ多い印象です。まったく痛みがなくなると想像する方もいるかもしれませんが、医療機関の方針によっては、陣痛がある程度強まってきてから麻酔を使うという場合もあります。
 ピークの痛みは緩和されるかもしれませんが、すべての痛みが取り除かれるわけではありません。もちろん分娩後に麻酔が切れた後は、後陣痛(産後の子宮の収縮に伴う痛み)や会陰の傷の痛みなどもあります。
 無痛分娩だったら体に何の負担もなく、ずっとピンピンしていられるわけでも決してありません。産後の体であることは間違いないので、しっかり休養を取る必要もあります。このあたりの理解はもっと広まってほしいです」
◆無痛分娩には少なからずリスクも
 無痛分娩を選択するには、「ことさらに不安になる必要はないけれど、リスクも理解する必要がある」という。
「麻酔を分娩に使うことで生じるリスクがあります。例えば鉗子分娩や吸引分娩が増えるというデータが出ていたり、分娩の時間が長くかかる傾向があったりします。
 痛みが緩和されるメリットがある一方で、それに伴うリスクもある。それをよく理解した上で、本人が納得できる分娩方法を選べることが大切です。他人が気軽に妊婦さんに勧められるようなものではないということも、わかってもらえたらと思います」
◆お産の痛みは耐えて当然という偏見がまだまだある
 シオリーヌさんは「無痛分娩=痛くない」という方程式は成り立たないとしたうえで、さらに日本国内においては「お産の痛みに耐えられて当然」という社会の偏見もあると言います。
「お産の痛みに耐えられるのが当然、むしろそれに耐えられない人は弱い、お母さんなら誰でも耐えられるもの、といった固定観念や周囲からの圧を感じて悩んでいる妊婦さんは多くいます。腹を痛めて産むことで母性が芽生える、といった偏見もまだまだある。陣痛を経験したかどうかが、子どもに抱く愛情の有無に影響をもたらすことはないので、そこは誤解しないでほしいです」
 実際、このような偏見から、妊婦さんが周囲から無痛分娩を反対されるケースもあるようで……。
「周りの人の反対によって無痛分娩を選ばせてもらえないという話は少なくないです。パートナー、自分の両親、義理の両親とか、身近な人から、無痛分娩は甘えだという判断を受けて、選択させてもらえないという話を聞いたりすることがあります」
◆「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という考え方
 こんな現状から、今後もっと認知を広めるべき、国際基準の人権の概念があるという。
「セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)という言葉があります。『性と生殖に関する健康と権利』と訳されます。簡単に言えば性や生殖に関すること、自分の体のことはその人のものであって、その人の性や生殖など体に関することについて決める権利は、その人自身にしかありませんよ、という概念です。
 生殖に関する権利でいえば、家族計画もそう。自分は子どもを何人望むのか、望まないのか。どうやって産むのか、それを決める権利や、決めるために必要な情報を得る権利が、あらゆる人にあります。
 性に関する権利は、自分がどういう性で生きていくのか、どういう人を好きになるのか、ならないのか。どんな人と性的な行為をするのか、しないのか。プライバシーを誰にどこまで開示するのかなど。自分の性のあり方すべて、自分自身で決める権利があります」
 この言葉は、国や自治体の政策の中で使われるようにもなっているが、まだまだ私たちに浸透した概念とは言えないのが現状です。
 一方で、シオリーヌさんは期待感も持っています。
「ひとりひとりのSRHRを尊重した周囲とのコミュニケーションや、社会作りをしていきましょう、という発信は国内でも増えてきてはいます。もっともっと理解が深まっていくといいと思います」
【シオリーヌ(大貫詩織)】
助産師/性教育YouTuber。株式会社Rine代表取締役。総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟で勤務ののち、全国の学校や企業で性教育に関する講演・イベントの講師を務める。性教育YouTuberとして性を学べる動画を配信中。著書に『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)、『こどもジェンダー』(ワニブックス)ほか。
<取材/鴨居理子 文/るしやま>

]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/item/neta/12194-3047158/

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