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■「金融商品取引法違反」の容疑 8人が逮捕
中村佳敬容疑者（去年6月）
「弊社としてはダブルパンチを食らっているような状況です。なぜ連続で発生してしまったのか、というようなご質問もあるんですけど、私の方が逆にお伺いしたいような状況です」
1年前、社内で番組の単独インタビューに応じた「ザ・グランシールド」の社長・中村容疑者（46）。金色の装飾をあしらった巨大な椅子に座り、部屋には金の延べ棒やワインセラーなどが並びます。
歯科矯正のモニター募集でも金銭トラブルを起こしているザ・グランシールド。最初に200万円近く払えば“実質無料”で歯の矯正ができるはずが、治療も返金も停止していました。
今回の逮捕は歯科矯正ではなく、社債を巡る金融商品取引法違反の容疑です。投資家らに年利およそ20％と高い配当をうたい、およそ1300人から80億円を集めていたとして8人が逮捕されました。
■社債の販売を競い…女3人逮捕
中村容疑者（2018年9月）
「本日はこんなに多くの方にお集まりいただいてありがとうございます」
2018年に開かれた誕生日パーティーの映像です。参加しているのは、社債を発行していた経営コンサルティング会社「トラステール」と社債を販売していた、ザ・グランシールドの関係者ら。8人の逮捕者のうち、6人が出席しています。
中村容疑者 （2018年9月）
「本当に濃い人たちのおかげさまで、本当に濃い人生になってきたなという実感ができて。多分、きょう一番豊かなのは僕です」
中村容疑者がトラステールの社債を販売し始めたのはこの1年前とみられます。資金集めが順調なのか、参加者は笑顔でスピーチしています。
この誕生日パーティーに参加し、笑顔を見せ仲睦まじい様子で写真に写る女3人。秋元宙美容疑者（38）、佐武敬子容疑者（35）、鍵井チエ容疑者（34）です。
社債の販売を競い、営業のライバルだった3人。佐武容疑者はおよそ19億6400万円を集め、秋元容疑者はおよそ26億5000万円を集めたとみられます。
佐武容疑者（2018年9月）
「元々、成功願望が強くて、必ず私は成功すると昔から思っていたんですけど、自分でなかなか芽が出せないでいました。すごくフラストレーションをためていた30年間なんですけど、中村さんと知り合ってあり方ですとかやり方、色んなものをご指導頂いて、今やっと自分の成功に向かって、一歩一歩踏み出せたという状況です」
■どのように資金集めた？元社員語る
秋元容疑者と佐武容疑者は一体どのように巨額の資金を集めていたのでしょうか。
ザ・グランシールド元社員
「デート商法というか、2人とも夜の仕事を20代前半でやっていたと聞いているので、そういうところは得意だったと思う」
佐武容疑者の魅力につられる男性従業員も多く、契約成立に向けたバックアップをしてもらっていたといいます。
佐武容疑者
「あちらにいる方々ですね、私が佐武チルドレンと勝手に呼んでいる（笑）」
ザ・グランシールドの元社員によりますと、2人の女は「中村容疑者と固い絆で結ばれていた」ということです。
ザ・グランシールド元社員
「中村社長と一緒に営業しに行って、色んな経営者の方とか色んなお金を持っている人の契約を取っていっていた。たくさん稼ぐことが正義というか、ザ・グランシールドはそういう会社だった。『中村社長は神とあがめる』その思いの強さというのは2人ともズバ抜けていたので、そこがそのまま（売り上げ）成績にあらわれていたと思う」
秋元容疑者は、逮捕直前まで「渡部」の姓を名乗っていたといいます。被害者たちは怒りを隠せません。
被害者
「逮捕されて名前を公表されるのを恐れて、姓を変えたのではないか」
逮捕前にあえて苗字を変えたのか、母親を取材すると…。
秋元容疑者の母親
「娘は夫と離婚して、半年ほど前に私の元夫の姓に変えた。理由は分からないが、新しい姓で新たに頑張りたいと聞いている」
■歯科矯正の顧客が社債購入に誘導されるケースも
8人が年利20％ものの高配当をうたい、総額80億円の巨額を集めたとされる今回の事件。歯科矯正を始めた顧客が社債購入に誘導されるケースもありました。
ザ・グランシールド元社員
「社債は1口で何百万や何千万で購入される方もいるので、どちらかというの富裕層。矯正に関しては一般的にサラリーマンや若い女性に勧めていました。社債も歯科矯正も最初はちゃんと払われていたので、そこで信頼して『ザ・グランシールドさんの商品だったらどっちもやってみたい』という形で皆さん契約していた」
歯科矯正と社債購入の2つのトラブルに巻き込まれた被害者はこのように話します。
歯科矯正と300万円分の社債購入をした30代の女性
「多段階にわたって保証があるので、どこかがトラブルになっても戻って来るという話は聞いていた」
歯科矯正と200万円分の社債購入をした30代の女性
「損することは絶対ないと」
「絶対に損することはない」。そう説明されていたと悔みます。
■緊急会議で“笑い声”も
中村容疑者（去年11月）
「（Q.中村社長、被害者に返金はしないんでしょうか？責任は果たしたでしょう？中村社長）…」
中村容疑者は呼び掛けに無言でタクシーへ乗り込み、スマートフォンで顔を隠すようにその場を去っていきました。
去年の番組の取材には、「弊社は1円ももうけというか、1円もお金は来ていない」と話していましたが、ザ・グランシールドの社内にはきらびやか多くの家具、金の延べ棒や豪華な置物、ワインセラーも置かれています。中には数十本のワインが保管されているのが分かります。
利払いが止まった去年2月、ザ・グランシールドとトラステールとの緊急会議では、客から集めた金について次のように話していました。
ザ・グランシールド社員
「とにかく1カ月しか待てない。もう銀行が止まっている。でも振り込み」
トラステール関係者
「ウクライナ（侵攻が原因）と言うわけにいかない」
中村容疑者
「またかよ」
利払いができない事態を深刻に捉えていない状況が伺えます。
振り込み予定日に、利払いがなく不審に思った被害者がトラステールの本社を直接訪ねると…。
200万円分の社債購入をした40代の女性
「もぬけの殻だった。足がすくみました」
疑惑発覚後、従業員は姿をくらませていました。
■トラステールの社長を直撃…「お金返して」
去年9月、トラステールの社長・高橋章容疑者（61）が裁判所に姿を見せたという情報を元に被害者と裁判所の外で待っていると…。
債権者
「高橋社長ですよね。高橋社長、お金返してください。被害者困っている。謝罪もないですか。私も家族も皆困ってるんです。無視するんですか？社長答えてください。説明がない、急に連絡がつかなくなって。ザ・グランシールドの中村社長のせいですか？」
高橋容疑者
「私からは言うことは何もないです」
「（Q.何も言いたいこと言わないでいいんですか？）僕からは言えないって言っているじゃないですか」
「（Qどうして社長なのに言えないんですか？）…」
債権者
「何百人が家族とか会社のお金を使ってる。社長、社長、社長」
80億円の金はいったいどこに消えたのでしょうか。
警視庁は事件の全容解明を進めています。
（「グッド！モーニング」2024年5月16日放送分より）
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp
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