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取材班が日本時間15日夕方、エルサレムに到着しました。
伊従啓記者:「そこまで人通りが少ないという感触はありません。ただ、いつものように、警察が銃を持って、町の警備にあたっているのが見えます。これは、いつもの日常の光景です。イランの攻撃があってから、一日しか経っていないのですが、こうしてエルサレムでは、子どもの誕生日を祝う儀式が行われています」
市民:「(Q.日常的な一日のように見えるが)イスラエルで日常を送るほかに選択肢はないです。恐れていません。神を信じているし、イスラエル軍を信じています。イスラエルは永遠です」
前日の未明、エルサレムには、空襲警報が鳴り響いていました。
これまでヒズボラなど、親イランの勢力からの攻撃は繰り返されてきましたが、イランによる直接攻撃は初めてです。ミサイルに加え、自爆型のドローンも投入された今回の攻撃。革命防衛隊『コッズ部隊』の司令官らが死亡したシリアのイラン大使館への空爆に対する報復としています。
イスラエル軍によりますと、イランが放ったのは、弾道ミサイルや巡航ミサイル、ドローン合わせて約350発。しかし、イスラエルは、そのほとんどを迎撃したとしています。
イスラエル軍・ハガリ報道官:「アメリカ・イギリス・フランスや他の同志国と連携し、イスラエルに対する攻撃の99%を迎撃した。イランによる前例のない攻撃は、前例のない迎撃に直面した」
上空に向かって伸びていく光。防空システム『アイアンドーム』による迎撃です。ただ、これは通常、ガザ地区のハマスなど、近い距離からの攻撃に対応するものです。
しかし、今回は、1000キロ以上離れたイランからミサイルやドローンが放たれました。対応できる兵器が必要です。それが『アロー』と呼ばれるミサイル防衛システム。最長2400キロから発射された弾道ミサイルを大気圏外で迎撃することが可能だそうです。さらに、ドローンについては、イスラエル領内に入る前に戦闘機で迎撃したとしています。
また、アメリカ軍当局者は、地中海に展開しているミサイル駆逐艦が、弾道ミサイル4発~6発を迎撃したとしました。ドローンについても、アメリカ軍は、80機以上を撃墜したといいます。バイデン大統領は、迎撃作戦に関わった部隊を激励しました。
ガザ地区への攻撃をめぐっては、国連をはじめ、国際社会で非難を浴びてきたイスラエル。イランから直接攻撃を受けると、自ら国連安保理の緊急会合開催を要請しました。イスラエルの国連大使は、ミサイルが飛び、警報が鳴り響くエルサレムの映像を見せ、「今回の攻撃は、あらゆる“レッドライン”を越えていて、イスラエルは報復する法的権利を有する」と訴えました。
これに対しイランは「イランの作戦は国連憲章・第51条にある通り、イランの自衛権を行使したまでであり、国際法で認められるものである」としました。
イスラエルは、戦時内閣の閣議を開き、反撃することを支持。ただ、時期と規模をめぐって、意見が割れているそうです。
イスラエル戦時内閣・ガンツ前国防相:「イランの脅威に対して、私たちは連携国とともに、しかるべき時にしかるべき代償をイランに負わせる。敵が我々を傷つけようとするなら、我々は一つになり、強くなるだろう」
今回、イスラエル側は、砂漠地帯の基地に軽微な被害が出た程度でした。南部の砂漠地帯で、少女1人が重傷を負いましたが、人口密集地で人的被害が出たとの情報はありません。
イランは、ミサイルやドローンの発射直後に攻撃開始を発表しました。今回で幕引きを図りたいという意図が読み取れます。
イラン軍・バゲリ参謀総長:「軍事作戦は終了しており、継続のつもりはないが、シオニスト政権が対抗措置をとれば、次の軍事作戦は大きくなる」
イラン・アブドラヒアン外相:「この地域における緊張の拡大を決して歓迎しないと申し上げました。いかなる経済センターも、繁華街も標的にしていません」
ネタニヤフ首相と電話会談を行ったバイデン大統領。紛争拡大を望んでいないのは、アメリカも同じです。
NSC・カービー戦略広報調整官:「イランが、あれだけ飛び道具を空に放りながら、最小限の被害だったことは、イスラエル軍の強さを物語っています。大統領は、イランとの戦争もエスカレーションも望んでいない」
◆イランがイスラエルの領土に向けて直接攻撃をするのは、史上初めてのことですが、今回の攻撃について、中東政治に詳しい慶応大学の錦田愛子教授は、こう分析します。
慶応大学・錦田愛子教授:「“国家間の戦いに発展しかねない”直接攻撃は予想外だった。ただ、本格的な攻撃ではなく、抑えたものだった。イランとイスラエル・アメリカでは、軍事力の差があり過ぎる。今回の攻撃は、大使館空爆に対し、国の体面を守り、抵抗精神を示す“パフォーマンス的意味合い”が強い」
イスラエルは、戦時内閣の閣議を開き、イランへの反撃を行う方向で一致しましたが、時期や攻撃の規模については、意見が分かれていると伝えられています。
今後、どういった動きが考えられるのでしょうか。
慶応大学・錦田愛子教授:「中東全体の紛争に発展するかは、すべてイスラエル次第。考えられる反撃の種類は、イラン国外にいる重要人物を狙う可能性。イラン国内への攻撃はハードルが高く、仮にあったとしても、国内の軍事関連施設(橋や港)などを狙う可能性がある。イスラエルは、いま、ガザとの戦闘もあるので、イランと本格的な戦争をするとは思えないが、強硬派の突き上げによって、イランの核施設攻撃で、中東全体が緊迫化する可能性も捨てきれない」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2024
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