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最も重い『離党勧告』は安倍派幹部の塩谷元文部科学大臣と世耕前参議院幹事長。
世耕氏は、離党届を提出して会見に臨みました。
自民党・世耕前参院幹事長
「私自身、政治的責任をとる決断をした。明鏡止水の心境で、ほかの方の処分は全く意識していない」
「(Q.党への不満・不服は)まったくありません。明鏡止水の心境」
明鏡止水とは、邪念がなく澄み切って落ち着いた心の喩えです。
自民党・世耕弘成参議院幹事長
「(Q.誰に責任があるか不明なままだが)それはわかりません」
「(Q.政治責任を取ることで終わりなのか)説明はこれまでも尽くしてきた。知ってることはすべて包み隠さず話をしてきた。刑事事件としても嫌疑なしで不起訴になっている。そのうえで、政治責任をとるという決断をした」
議員辞職はせず、無所属で活動していくそうです。
同じく『離党勧告』を受けた塩谷氏。党紀委員会に弁明書を提出し、執行部を「独裁的」と批判しました。
自民党・塩谷元文部科学大臣
「(Q.ご自身は離党勧告に該当すると)そうではないと思っている。検察の捜査や政倫審、聴取も受けて、記者会見をして、事実を正直に話した。その事実に基づいて判断してもらいたい」
「(Q.弁明書では『岸田総理の責任を問われるべき』と)今回の問題で、いくつかの派閥が関わっていたので、そういう点では公平な処分をしていただくというのが、なぜそこで線を引いたのか、私は理解できなかったので」
「(Q.安倍派幹部の処分の違いは)聞いてみないとわからない。どういう理由でこうなったのか、しっかり聞いてみたい」
不服申し立てを検討する考えです。
そのほかに決まった処分です。
おととし、キックバック再開を協議した安倍派幹部。当時、会長代理だった下村元文科大臣と、事務総長だった西村前経産大臣は1年の『党員資格停止』。協議にいなかった高木前国対委員長は、6カ月の『党員資格停止』となりました。一方、松野前官房長官と萩生田前政調会長の2人は、1年の『党の役職停止』にとどまりました。
『党員資格の停止』以上では、政治活動にどのような影響があるのでしょうか。
政党交付金の支給は受けられなくなります。選挙でも、党から公認はなく、比例代表での復活当選はありません。総裁選への立候補や投票もできません。
総裁選に出馬したこともある西村氏は『党員資格停止』です。
自民党・西村康稔前経済産業大臣
「(Q.総理を目指す考えに変わりは)いまはもうある意味ですべてを失ったと思っている。裸一貫で、もう一度ゼロから再出発する」
「(Q.安倍元総理にどう報告する)墓前には報告に行かなければと思っている」
処分はされても、真相は明らかにならないままです。
自民党・高木毅前国対委員長
「「いわゆる還流を再開した会合には関わっていないし、どうして、ああいうことになったのかわからないが、私は事務総長という立場で、派閥の運営に関わっていたということが、この処分に至ったんじゃないか」
自民党・下村博文元文部科学大臣
「いつから還付不記載が始まったのか。そのあと、また還付が復活した。なぜ復活したのか。しっかり党として調べてもらいたい。その結果を踏まえた処分であるなら納得感もあるが。私自身は、真相解明はきちんとやってもらいたいが、やはり、5年間、清和研の事務総長も会長代理もしていたから、組織としての責任の重さはあると思う」
二階派は、幹部経験者3人が『党の役職停止』となりました。派閥幹部ではない議員は、不記載の金額で処分がわかれました。
不記載994万円で『戒告』となった大塚拓衆議院議員は、処分決定のプロセスに不信感をあらわにしました。
自民党・大塚拓衆議院議員
「甚だ遺憾に感じている。党紀委員会の手続きが極めて短時間で、弁明書を私も出したが、弁明書を党紀委員会の皆さんが読み込む時間もあったかどうかを含め、今回の手続きには、極めて強い不信感を持っている」
39人、大量の処分者を出した党総裁。その責任については。
岸田総理
「私自身については、個人として不記載がないこと、検察当局からも支出について特段の問題があるとはされていなかったことなどから、今般の処分に際して対象とならなかったものと承知している。最終的には、国民の皆さん、党、党員にご判断をいただく立場と考えている」
◆政治部官邸キャップ・千々岩森生記者に聞きます。
Q.今回の処分について、どう感じますか。
千々岩森生記者:裏金事件自体も大問題ですが、その後の対応がまずかったと思います。もともとは、安倍派を中心とした、ある意味、限られた問題だったのが、時間を追うごとに自民党全体の深手を負うという悪循環に陥っていったという見方、嘆きが自民党の中に広がっていると思います。
いわゆる不祥事対応という意味では、最悪の経過をたどったと思います。不祥事の対応で、こうしてはいけないと教えられそうな対応です。不祥事の対応3点セット『実態を明らかにする』『スピード感』、そして言われる前に『自ら身を処す』。政治家にとっては、『自ら身を処す』というのが一番、大事かもしれません。これが、すべて逆だった。実態を明らかにできない、しないという部分もあったかもしれません。そして、時間がズルズルかかる。結局、安倍派幹部を中心に、離党など、自ら身を処せなかったという結果になってしまったということです。
Q.おととし安倍元総理が亡くなり、主なき安倍派が誕生しました。岸田総理にとっては、主なき安倍派は理解者なき安倍派ですので、向き合い方が非常に難しかったと思います。実際に振り回されたり、あるいは、岸田総理の対処が間違ったのかもしれません。この一連の動きをどうみますか。
千々岩森生記者:岸田総理にとっては、安倍元総理がいなくなったあとの安倍派をどうマネージするかが非常に重要でした。まさに、そこで頼ったのが、かつて派閥の会長で、安倍元総理なき後に影響力を増してきた森元総理でした。もともと、森元総理と岸田総理は、同じ早稲田出身で親しい間柄でした。岸田総理は、安倍派をまとめる手段として頼ったわけですが、その分、今回の問題で森元総理に厳しい対応を取れなかったという側面も否定できないとみています。
実は、岸田総理にとって、安倍派幹部で一番近く、直接、コンタクトを取っていたのが塩谷元文部科学大臣でした。その塩谷さんに、今回、最も厳しい『離党勧告』を出し、逆に「総理も同じような公平に処分を受けるべき」と迫られている現状です。まさに安倍派と岸田総理がかみ合わない、混乱した状況を象徴しているように思います。
Q.今月28日、3つの選挙区で衆議院の補欠選挙が行われます。自民党は、東京15区、長崎3区では、公認候補の擁立を見送りました。島根1区では公認候補を立てて戦います。この島根の勝敗が、岸田政権の命運を握るのではないかと思いますが、どうでしょうか。
千々岩森生記者:まさにおっしゃる通りです。ここが、最大の焦点となります。いま、自民党の中を見渡してみると「岸田総理では次の選挙は戦えない」という声が沸々としています。もし、島根で負ければ、その流れを決定づけてしまう。つまり、岸田総理が狙っている解散総選挙も、そして、9月の自民党総裁選での再選も狙っていますが、島根を落とせば、限りなく不可能に近くなる。ただ、島根を獲れば、首の皮一枚残るという状況だとみています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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