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1日午前6時半。病棟に向かう脳外科医の長田秀夫医師(55)です。労働時間外の上限が厳密化されても、患者が減ることはありません。受け持ち患者15人を、次々、回診したあと、手術予定の患者の元へ急ぎます。この日は、2件の緊急手術が入り、何時に終わるのか読めない状況です。
彩の国東大宮メディカルセンター脳神経外科・長田秀夫副院長:「具合が悪い患者さんがいたときには、そっちが優先なので。働き方改革が始まったから(日勤の)5時半に終わるとか、全部が時間外とは考えていない。いま、目の前にいる患者を診るのが当然なので、結果的に時間外になるのは仕方がない」
手術が終わったのは午後5時半。本来なら勤務が終わる時間ですが、このあと、当直に入ります。当直とは、患者が急変しても対応できるよう、診療時間外に医師が待機する業務です。ただ、その時間は、病院によっては、労働時間としてカウントされません。なぜなら、『宿日直許可』という特例があるからです。“普段の業務と比べて軽度”で“十分な睡眠がとれる”場合、病院は、労働基準監督署から許可を得れば、その時間は、計算上、労働時間から除外できるのです。
4月から始まった医師の働き方改革。上限がなかった時間外労働が、原則960時間に制限されたため、この宿日直許可を取る病院が急増しています。
彩の国東大宮メディカルセンター・藤岡丞院長:「(宿直をすべて)勤務時間扱いにすると、単純に2倍から3倍の医師を雇用しないといけない。それをやるのは、事実上、無理」
どんな業務が“軽度”となるのか、それぞれの病院に委ねられているのが実情です。そのため、こちらの病院では、宿直中、患者の対応にあたった時間を記録に残し、勤務時間に合算する取り組みを始めました。
彩の国東大宮メディカルセンター脳神経外科・長田秀夫副院長:「時間外労働のカウントは、自分でやっている。だから、超えないようには(注意)している」
ただ、“医師という専門職”だからこそ、割り切れない部分に葛藤もあるといいます。
彩の国東大宮メディカルセンター脳神経外科・長田秀夫副院長:「時間外の定義が、どこまでが時間内なのか試行錯誤しながらやっていくので、そもそも時間外は、どんなことかまだ浸透はしていない。ほかの世界を知らないので、よくわからない。これが普通と思ってきたから、何とも思わない」
そんな医師の負担を減らすため、看護師などと仕事を分担する“タスクシフト”が注目されています。
長崎大学医学部附属病院の心臓血管外科は、医師6人で年間350件ほどの手術を行っています。1件の手術時間は約6時間です。
医師全員が手術に入ったなか、病棟をのぞいてみると、診療看護師の村上友悟さん(42)が、指示を出していました。通常、看護師の業務は、患者のケアや経過観察などに限られています。ただ、診療看護師は、医師の代わりに一部診療を行うことができるのです。村上さんは、資格を取るために、看護師のスキルに加え、大学院で特定の医療行為を学びました。
長崎大学病院心臓血管外科・診療看護師 村上友悟さん:「ドクターがやるのが、安心と思われる方がいるのかもだが、ドクターにとっては、楽になっていると思うので、それが僕のモチベーション」
病棟に医師がいない間も、患者に素早く対処できる診療看護師。6年前の導入以来、医師も働き方に変化を感じています
長崎大学病院心臓血管外科・三浦崇教授:「一番は外科医の労働時間が短くなったことがある。診療看護師1名だけでも昼間の仕事量がぐっと減って、ドクターは手術に集中できる」
さらに、看護師は医師の指示を待たずに働けることになり、残業時間が3分の1に減ったといいます。
長崎大学病院心臓血管外科・三浦崇教授:「外科医がいきなり増えることは、今後なかなか考えづらい。診療看護師の存在が非常に重要。そうすると、全体的な労働環境が良くなるので、外科を目指す医師も増えてくると思う」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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