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■計画から半世紀…経済効果588億円試算も
サタデーステーションが東京駅を訪ねると…
「午前11時すぎの東京駅です。北陸新幹線の駅のホームですが、かなり多くの人がいます。そして、こちら皆さん写真を撮っているんですけども、新幹線の行先には『敦賀行き』と表示されています」（報告・富樫知之ディレクター）
夫婦で加賀温泉に行く人は…
「我々年寄りにできるのは（被災した石川に）観光に行くのが一番いいだろうと思って、観光に行くことにしました」
16日、北陸新幹線は、整備計画から実に半世紀を経て福井県敦賀市まで延伸。新たに6つの駅が開業しました。東京駅での出発式には石川県出身の俳優・浜辺美波さんが登場し、セレモニーに華を添えました。
北陸新幹線の延伸により東京から敦賀までは、50分短縮され最速3時間8分に。沿線の経済効果は、石川県と福井県合わせて588億円との推計もあります。午後には、沿線上空をブルーインパルスが飛行し桜の花びらを描くなど祝賀ムードを盛り上げました。
■「北陸応援割」もスタート 観光地に戻る賑わい
新たな新幹線の停車駅となった石川県加賀市の「加賀温泉駅」を訪ねてみました。
神奈川から来た人は…
「奥さんの実家がこの辺で。ずっと新幹線が繋がるのが悲願かなと。ようやく繋がったので、せっかくなので初日に参った」
大阪から来た親子は…
母「乗ったら中がとてもきれいで」
娘「きれいでした」
母「広くて快適でこれもありなのかなあと思いました」
歓迎ムード一色に染まる中、この賑わいを、さらに後押ししていたのが、新幹線延伸とともに始まった「北陸応援割」です。能登半島地震からの復興支援を目的として、2万円を上限に宿泊費などが半額となる国の事業です。
加賀温泉で出会ったのは中国地方からやってきた女性2人。予約した露天風呂付きの客室に大喜びです。
加賀温泉を旅先に決めた理由は、やはり「北陸応援割」でした。
中国地方から訪れた女性
「テレビで見て、安く行けたらなと思って探しました」
「自分たちももちろん観光とかは楽しみたいですけど、しっかりお金を、楽しみながら石川県の経済とかも回して復興につながったらいいなと思います」
取材した2人が宿泊したお宿での「北陸応援割」プランは…
みやびの宿 加賀百万石 吉田久彦社長
「こちらが当館の別邸『奏』の客室。露天風呂付きのデラックスの客室になります」
源泉かけ流しの露天風呂に、広々とした客室。さらに豪華な食事も付いて、通常一人あたり4万4000円が2万4000円となるお得なプラン。（大人1人1泊）
加賀温泉郷は「応援割」が観光回復への起爆剤になるとして大きな期待を寄せています。
しかし、この「北陸応援割」予約が殺到し、売り切れが続出しているといいます。こちらの旅館ではスタッフが電話対応に追われていました。
「お客様大変申し訳ございません。北陸応援割ですけども、ご予算の方が尽きてしまいまして、新しいご予約の方がお受け出来ないような形となっております」（電話対応する旅館スタッフ）
この旅館では、4月の大型連休前までの期間、500件を超える予約を受け付け、完売しました。
加賀温泉郷は、地震による被害は少なかったものの、風評被害などの影響を受けていました。
みやびの宿 加賀百万石 吉田久彦社長
「1月2月のキャンセルは本当にすさまじかったので、北陸応援割と北陸新幹線延伸に大きな期待をしながら待っていたというところではあります」
■恩恵届かぬ場所も 観光地で“明暗”
「和倉温泉の温泉街に来ています。地面のタイルがめくれ上がってしまい、奥を見ますと車止めでしょうか、完全に横倒しになってしまっています」（報告・四宮謙太郎ディレクター）
和倉温泉では地震から2か月半が経った今も、断水が続き、22の旅館すべてが休業中です。当然、応援割の恩恵はありません。毎年恒例だった春の花火大会も今年は中止が決まりました
海沿いに立つ温泉旅館を訪ねると…
ゆけむりの宿 美湾荘 若女将・多田直未さん
「上層階は片づけてないので。結局水がないと掃除も出来ないんですよ」
1月1日、地震当日の防犯カメラは激しい揺れの瞬間をとらえていました。震度は6強。フロントのパソコンは倒れて床へ落下し、そして宿泊客が避難した直後、館内には砂煙が…。当時200人以上が館内にいましたが、全員無事でした。しかし建物の被害は大きく復旧までには数年がかかるといいます。
ゆけむりの宿 美湾荘 若女将・多田直未さん
「建物に危険が及ぶのではないかと思って、寝られない。夢にも出てきてしまうみたいな感じ」
（Q復旧の見込みは？）「全然まだ何も聞いてないですね」
飲食店もほとんどが休業する中、昼間の3時間だけ営業を再開した店があります。和倉温泉にあるうどん店です。断水が続く中、給水車などから水を確保し、調理しています。客は主に地元の人や工事関係者です。
本さぬきうどん海よ友よ 赤石友樹店長
「今は全く観光客が来てない状況ですね。なんとか食事提供できるようにして、和倉の火を消さないようにという形ですかね」
復興半ばで始まった応援割について取材した旅館の若女将は…
ゆけむりの宿 美湾荘 若女将・多田直未さん
「能登半島は、今は厳しい状態なんですけれども、心も一つになって北陸で頑張るっていう、そういった機運が高まっていて、そういうところに関してはすごくうれしいです」
■観光と避難者支援の両立へ 応援割ではトラブルも
高島彩キャスター
「北陸新幹線の延伸に伴い、きょう（16日）から始まった北陸応援割ですが、復興が進んでいない被災地を観光してもよいのかどうか悩んでる方も多いのではないかと思います。そのあたりはどうなんでしょうか」
板倉朋希アナウンサー
「例えば石川県加賀市にある旅館では、2次避難所として現在もおよそ240人の方が避難しているんですが、今後も観光と避難者支援を両立していくということで、観光客が増えたからといって避難所のエリアを小さくするといったことはしないということです。また地震への備えとして、今回の地震を教訓に防災管理者の資格を持つ従業員を増やすなどして、いざという時の迅速な避難誘導ができるように備えているということです」
高島彩キャスター
「地震を経験しているからこそできる備えというのもありますもんね。そして一方、北陸応援割ですけれども、予約が殺到しているようですね」
板倉朋希アナウンサー
「番組が取材した石川県にある旅館の関係者によりますと、北陸応援割の問い合わせ電話がなかなか鳴りやまず、従業員総出で対応に追われているということなんですが、ネット上の掲示板には旅館の対応が悪いといった投稿がされるケースもあるそうなんですね。旅館側としましては、応援割の期間や条件注意事項などを確認したうえでぜひ予約をしていただきたいというふうにおっしゃっていました」
高島彩キャスター
「利用する方は事前にそれぞれが確認するというのが大前提かなと思いますけれども、柳澤さん、被災者を支援するはずの北陸応援割でもこのような事態になってしまっている、この辺りは少し悲しいですよね」
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏
「GoToトラベルとか過去の観光支援キャンペーンとはちょっと今回は違うということは、我々もしっかりと理解したうえで対応する必要があると思うんです。それともう1つ、北陸応援割とは言ってますけれども、VTRにあったとおり能登半島被害の大きいところとそうでないところでやっぱり違いがあるわけですよね。ですから応援割の恩恵にあずかれるところと、そうではないところ、そこの間の違いがあるということは我々も理解しなければいけないんですし、その地域の隙間風だとか、あるいは分断につながってほしくないなと思うので、そういうことに対するわれわれの心遣いや配慮というものも必要になるのかなと思いますね」
高島彩キャスター
「『北陸』『石川』と、ひとくくりにできないわけですからね。その地域の皆さんそれぞれの生活をおもんぱかって私たちも行動する必要がありますね。そして被災地の復興にも引き続き関心を持って、それぞれができることをしていきたいと思います」
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp
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