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■「待ちに待った判決が出た」
控訴した1人
「本当に望んでいた、待ちに待った違憲判決が出て、今すごくうれしい気持ちです」
控訴した1人
「5年間やってきたんですけど、続けてきて本当によかった」
同性同士の結婚を認めない民法などの規定が憲法に違反しているとして、3組の同性カップルが国を訴えた裁判。1審の札幌地裁は2021年『法の下の平等』について、初めて憲法違反との判断を示していましたが、14日の札幌高裁判決は、さらに踏み込んだ形となりました。憲法が定める『婚姻の自由』についても、同性婚を認めない規定は「違憲」だとしたのです。
札幌高裁の判決
「異性間の婚姻のみならず、同性間の婚姻についても、異性間の場合と同じ程度に保障していると考えるのが相当。同性愛者はアイデンティティの喪失感を抱いたり、自身の存在の意義を感じることができなくなったりするなど、個人の尊厳を成す人格が損なわれる事態となってしまっている」
国に賠償を求める訴えは退けましたが、婚姻の自由に関して、違憲と判断したのは初めてです。
控訴人側 綱森史泰弁護士
「本日の札幌高裁の判決が画期的である点は、同性間の婚姻の自由も、異性間の婚姻の自由と同程度に保護しなければならないということを明確に言った点で、これまでの判決とは明らかに違う」
中谷衣里さん(32)は、10年前から30代の同性のパートナーと暮らしています。同性カップルとしての生活には様々な壁が…。マンションを購入する際も、ローンを組むことを諦めざるを得ませんでした。
中谷衣里さん
「同性のカップルで組めるペアローンを作っている銀行がなかった。片方の名義にすると、その人だけの“持ち物”になってしまう。万が一、名義を持っている方の身に何かあった時、相続権はスムーズに渡らない」
14日の判決には、背中を押された気持ちです。
中谷衣里さん
「同性カップルにも、異性カップルと全く変わらない当然の権利が与えられて、この国で家族として夫婦として生きていいんだ。私は私のままで、この国で胸を張って生きていいんだと思わせてもらった」
■判断分かれる判決 政府の対応は?
同様の裁判は、札幌のほか4つの都市で行われています。これまで名古屋では「違憲」、東京・福岡では違憲の手前の「違憲状態」、大阪では「合憲」と判断が分かれていました。
14日午前には、東京地裁でも別の判決が出されました。判決は、規定の一部を「違憲状態」と判断するにとどまりました。
原告 河智志乃さん(52)
「全国で訴えを重ねてきた総まとめともいえる地裁判決も、きっぱり明確な判断を下さなかった。正直まだここかと思っている」
こう話していた東京の原告団も、その後、札幌高裁の判決が出ると…。
「うれしい。おめでとう」
札幌高裁の判決は、海外でも関心を持って報じられています。
AP通信は「同性婚を認めるよう、政府に早急な対応を求めた」とし、イギリスBBCは「判決で同性婚の合法化を求める動きが強まった」としました。一方、日本政府は…。
林芳正官房長官
「同性婚制度の導入は国民生活の基本にかかわる問題であり、国民一人一人の家族観とも密接に関わるものと認識をしている」
林官房長官は、国民の意見や国会の議論などを、引き続き注視すると述べるにとどめました。
求めているのは、速やかな立法措置です。
中谷衣里さん
「きちんと議論をして法律を整えなさいとはっきり明言してもらえたのは、間違いなく立法府に大きなプレッシャーを与える判決内容」
控訴した1人
「あとは国会が動いてくれるだけなので、本当明日にでも結婚できるようになってくれたらいい」
■従来の判断から一転なぜ?
争点となった憲法の条文について見ていきます。
憲法第14条
すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
憲法第24条1項
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
憲法第24条2項
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
これまで各地の地裁では、このような判断が示されました。
【札幌地裁】
憲法第14条 :違憲
憲法第24条1項:合憲
憲法第24条2項:合憲
【大阪地裁】
憲法第14条 :合憲
憲法第24条1項:合憲
憲法第24条2項:合憲
【東京地裁一次】
憲法第14条 :合憲
憲法第24条1項:合憲
憲法第24条2項:違憲状態
【名古屋地裁】
憲法第14条 :違憲
憲法第24条1項:合憲
憲法第24条2項:違憲
【福岡地裁】
憲法第14条 :合憲
憲法第24条1項:合憲
憲法第24条2項:違憲状態
【東京地裁二次】
憲法第14条 :合憲
憲法第24条1項:合憲
憲法第24条2項:違憲状態
判断が分かれているものもありますが、憲法24条1項については、すべて合憲と判断されてきました。その理由は『両性』と『夫婦』という文言が入っていることから「異性の婚姻を想定しているもので、同性の婚姻を想定していないもの」と解釈されてきました。
そうしたなかで、14日の札幌高裁は3つ全てで違憲という判断を下しました。
■“違憲判断”社会情勢の変化が影響
(Q.札幌高裁が今回、憲法第24条1項を憲と判断した理由はなんですか)
札幌高裁は、『婚姻』の解釈は社会状況の変化により変動し得るもの。『両性』『夫婦』という文言や、制定時の理解にとらわれることはない。いつ誰と婚姻するかについての自由を認めた趣旨に立ち返れば、国民が同性パートナーを婚姻相手に選択する自由も保障ないし保護されるものとして、これまでの判断を覆して違憲としました。
今回の判断について、憲法学者で名古屋市立大学大学院の小林直三教授に話を聞きました。
小林直三教授
「札幌高裁はこれまでの様々な地裁判決時に比べ、社会の同性婚への理解がさらに高まったと判断。結果『違憲』という踏み込んだ決断を下したのだろう」
札幌高裁は判決のなかで、社会情勢の変化について具体的にこういったことを挙げています。
札幌高裁
「同性婚を認める国・地域は34に増加」
「パートナーシップ認定制度を導入した地方公共団体は264に増加」
「世論調査で、同性婚を認めるべきとする意見は5割以上」
色々な動きがあるなかで、国レベルでは動きはみえてきません。その点について、札幌高裁も指摘しています。
札幌高裁
「国会が依然として改正しないことから、地方公共団体において、法的効果は生じないパートナーシップ認定制度の導入が急速に広まっている」
つまり、パートナーシップ認定制度の急速な広まりは、皮肉にも国会が消極的な姿勢だからだと指摘しています。
小林直三教授
「政府および国会は、最終的な司法判断を待たずに、様々な法改正を進めるべき。海外で同性婚が認められていくなかで、日本では認めないというのは国際的な流れに背くことになる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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