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大統領選を目前にプーチン氏は自信を見せています。
ロシア・プーチン大統領:「ウクライナは、昨年、掲げた目標を何一つ達成していない。いま主導権は完全にロシア軍に移ってきた。このことは誰もが認めている」
劣勢が伝えられるウクライナ。
ロシアが占領した東部・アウディイフカ周辺では、ウクライナの兵士たちが、いまも文字通り、命を懸けた戦いを続けています。ただ、西側諸国からの支援は細り、形勢は不利な状況です。
追加動員をめぐる法案が議会で審議されるなか、相次いでいるのが“徴兵逃れ”です。
隣国の中でも、国境線が長く、川やフェンスといった障害の少ないモルドバ。この2年で、少なくとも1万7000人のウクライナ人が密入国しているといいます。
先月下旬に渡ってきたITエンジニアの男性(31)。
亡命申請中の男性:「兄弟2人が戦死した。3人目の兄弟が行方不明になった知らせを受けたとき、この国に未来がないことをわかったので、荷物をまとめて、国境を越えました。(Q.いまは亡命申請中か)そうです。国境を渡った後、国境警備隊に捕まりました」
その国境警備隊のパトロールに同行しました。車の中では、隊員がモニターをのぞいて監視しています。車の上には、暗視カメラがついていて、10キロ先まで監視できるということです。天気が良い日には、ドローンでパトロールすることもできます。
密入国を手引きするブローカーがいます。料金は12万フリブニャ、日本円にして45万円ほどです。
400人ほどを手引きしたというブローカーに話を聞くことができました。
密入国ブローカー:「ウクライナ側では、国境警備隊が警備しているので、指定のルートを進んでもらう。守らずに、勝手なルートで進むと、(国境警備隊に)遭遇したり、拘束されたりするだろう」
国境さえ渡ってしまえば、仮にその先で拘束されたとしても、亡命申請をすることができます。ただ、家族が高齢だったり、亡くなったりして、帰国しなければならないケースも。そんな場合への備えも用意されているようです。
密入国ブローカー:「300ドルか500ドルを払えば、パスポートの“入国スタンプ”を過去の日付で作ってもらえる。戦争が始まる前からモルドバにいたことにするのです」
ただ、ウクライナ側で拘束されたら、罰金や最長5年の懲役刑という現実が待っています。
ウクライナでは、国境警備隊などがパトロールを強化しています。国外脱出を試みる人をつかまえるだけでなく、軍当局者が市民を拘束して、徴兵するケースもあるそうです。
亡命申請中の男性(31):「(招集されても)多くの人が行かないので、いまは拘束して戦地に送り込みます」
亡命申請中の男性(35):「電話で知り合いが『外出できない』と言っていました。彼は徴兵を恐れて外に出られず、妻が買い物をしています」
戦場で命を危険にさらすか、生まれ育った国を逃れるか。ロシアの侵略によって、ウクライナの人々は、究極の選択を迫られています。
亡命申請中の男性(31):「(Q.近く戦争は終わると思う)終わらないと思います。停戦の兆候はありません。ロシアは停戦せず、ウクライナは西側の支援がないと何もできません。いつ戦争が終わるかわかりませんが、数年以内とは思えません。私は99.9%、ウクライナに帰ることはないと思う」
◆徴兵逃れがこれだけあるなか、ウクライナ軍は50万人規模の追加動員を求めていますが、実行されるのでしょうか。
ウクライナを専門に研究している神戸学院大学の岡部芳彦教授は「追加動員はゼレンスキー大統領が本気で総力戦に入るか、守りに専念するかの分岐点だが、実行するのは非常に難しいだろう」とみています。その要因の一つに岡部教授が挙げるのが、ウクライナの人口分布。男性:女性=86:100と男性の割合が低く、40代以上で見ると「72:100」とさらに顕著になってきます。
岡部教授は、ゼレンスキー大統領が「今後も動員を拡大すると、将来的に男性の数が減少して、兵力や労働力の低下、さらに少子化につながるなど、“国力低下”を危惧している」といいます。
こうした背景もあってか、ウクライナ軍のシルスキー総司令官は、先月、「我々は攻撃的行動から防御的作戦に移行した。我々の技術的優位性を利用して敵を疲弊させ、最大限の損失を与える」と発言しています。
岡部教授は、「攻撃には守りの3倍の労力が必要とされており、“現状の戦力で乗り切れる”とウクライナ軍は判断したのでは。少なくとも今年は反転攻勢に出ず、“積極的防衛”に専念するだろう」とみています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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