“3キロ3000円”物価高で「未利用魚」注目　“市場価値ゼロ”だった魚が…注文数3倍に【もっと知りたい！】【グッド！モーニング】(2024年2月28日) -芸能ニュース/炎上まとめ

■深海魚「どんこ」　市場価値ゼロでカモメの餌に

　岩手県大船渡市の沖合で行われているカニのカゴ漁。狙っているのは、旬を迎えた「毛ガニ」です。

　しかし…。

カゴ漁師　戸羽猛さん
「ちょっと、想像以上に不漁」

　潮の流れが早かったこの日、毛ガニを取るために仕掛けていたカゴにかかったのは、ぬるぬるとした体表の青白い魚ばかり。よく見ると、口から胃袋が飛び出しています。

　見た目もグロテスクなこの魚、「どんこ」と呼ばれる深海魚です。

　地元では商売繁盛や大漁を願う行事で祀（まつ）られる縁起物の魚ですが、鮮度が落ちるのが早く、身も崩れやすく調理しにくいことから市場価値はほとんどゼロ。そのため…。

戸羽さん
「（Q.すぐ放流する？）カモメに食べられて終わり」
「（Q.1匹、市場に出すといくら？）値段つかない」

　身はタラのようにホクホク、肝はアンコウのように濃厚といわれる“どんこ”は、海へリリースするとすぐにカモメたちに食べられてしまいます。

■“お得に魚介類を購入”　「未利用魚」が注目

　食べることができるのに、市場価値が低く一般に出回らない魚「未利用魚」。物価高の今、注目を浴びています。

「産地直送通販　食べチョク」ホームページ
「未利用魚　漁師直送！季節のおさかなセット　3キロ前後　税込み3000円」

　生鮮魚介の平均価格が、およそ1.5倍に上昇するなか、このサイトでは、未利用魚の注文数が3倍以上に増加。“お得に魚介類を購入したい”という消費者が増えています。

　相模湾に面する湘南漁協。人気の「未利用魚の詰め合わせ」を考えたのは、若い世代でした。

定置網漁の勘網　宇田川夏貴さん（28）
「背中に傷。網からとるときに傷ついた。“キズ”という分類、普通の魚より値が落ちる」

　水揚げされたばかりの魚の中から、未利用魚を集めているのは、宇田川さんです。

宇田川さん
「一匹しかいないので入れます。（市場に）出せるが、他の魚と“混じり”になる。“混じり”になると、ひとカゴいくらという扱いで、安くなる」

　宇田川さんは、傷がついてしまった魚だけでなく、数が半端で市場に出しても価格が安くなってしまう魚もまとめて「未利用魚」として格安で販売しています。

宇田川さん
「種類と食べ方、刺身や煮付けとか。魚によっては歯が鋭かったり、トゲがある魚もあったりするので、注意も書いている」

　一般には、あまり馴染みのない未利用魚。一つひとつの商品に対して、手書きでイラスト付きの説明書を用意しています。

宇田川さん
「魚を知ってもらいたいという気持ちもありますし、なるべく楽しんでいただけたら」

　今回は、チダイやアジ、太刀魚など11種類の未利用魚が3.5キロ詰まって税込3000円。未利用魚は、水揚げから数時間のうちに配送されました。味については…？

去年から4回購入　亀井佳すみさん（29）
「やっぱりおいしいです。すぐ氷でしめてくれて新鮮なので、塩焼きやアジフライなど味が全然違う。魚は結構高いですもんね今、価格が上がっていて。冷凍すれば全然長持ちするので、料理ごとに袋分けして保管すると、使う時も手間かからない」

■「クリガニ」「どんこ」の味は？

　注目が集まる未利用魚。都内の飲食店も目を付けました。

　宮城県気仙沼で水揚げされた、未利用魚“ピーチシャーク”。フカヒレで有名なヨシキリザメの切り身をスパイシーなナゲットに仕上げました。

　北海道と青森だけでしか獲れないクリガニの鍋。柔らかな身と濃厚な味噌が人気です。

　この日、店のイチ押しは深海の未利用魚“どんこ”の煮付けです。

客
「ふっくらしておいしい、最高です」

客
「肝がおいしい。酒には最高ですね」

　痛むのが早く、市場価値がゼロだとして、カモメの餌（えさ）になってしまっていた“どんこ”。しかし、店と漁師たちがタッグを組み、締め方や輸送方法を工夫したことで鮮度が長持ちし、東京でもおいしく食べられるようになりました。

四十八漁場　エー・ピーカンパニー　横澤将司代表取締役
「未利用魚はマイナーなので、おいしくないのではというイメージを持っている方も多くいる。よりおいしく、価値があるものに変えていける」

（「グッド！モーニング」2024年2月28日放送分より）
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