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日本に眠る資源をできるだけ安く、かつ短期間で活用する取り組みを追いました。
■“業務スーパー流”で挑む地熱発電電気代安くなる?“眠る資源”を活用
(山口豊アナウンサー)「上から蒸気出てきました。出てきました。すごい音ですね。蒸気が出てきました」
実は、世界3位という莫大な地熱資源を持つ、日本。それを最大限活用しようと立ち上がったのが沼田昭二さん。
全国で1000店舗以上を展開する「業務スーパー」の創業者です。
(「業務スーパー」創業者沼田昭二さん(69))「これは必ずやり遂げなければいけない」
「業務スーパー」流のアイデアでいま、日本の地熱発電が大きく変わろうとしています。
熊本県小国町。山の中腹に見えてきたのは、白く立ち上る蒸気。沼田さんが手がける地熱発電所がついに完成し、試運転の日を迎えました。
(沼田昭二さん)「きょうから初めてタービンに蒸気を入れて、タービンを回す初日ですね。一番重要な日になります」
沼田さんは、2016年に新会社を設立。およそ120億円の私財を投じて、地熱開発に邁進してきました。
(山口豊アナウンサー)「ここからすごい勢いで蒸気があがっています」
(沼田昭二さん)「地下660メートルから自噴と言いまして、自分の力で上がってきています」
地熱発電は、地下深くから、熱水と蒸気を取り出して分離。その蒸気の勢いでタービンを回して発電します。天候に左右されない、安定したクリーンエネルギーです。
(山口豊アナウンサー)「この辺もパイプが非常に複雑にめぐっています。ここはすごく大きいパイプがつながっているんですね」
(沼田昭二さん)「ここから蒸気が入りまして、ここでタービンが回ります」
(山口豊アナウンサー)「ここでタービンを回す」
こちらの建屋には、地熱発電所の心臓部と言えるタービンと発電機が設置されています。
(山口豊アナウンサー)「あの配管の中を蒸気が通って、この中に入っているタービンを回します。そしてこのタービンはシャフトで、こちらの発電機とつながっています。ここで発電が行われます」
試運転が成功すれば、このシャフトが高速で回転すると言います。
「では拝礼します。拝礼」
安全祈願の後、試運転を行うために監視棟へ。「業務スーパー」を成功させた経営者にも緊張の様子がうかがえます。
(山口豊アナウンサー)「これが回転(数)ですね。1分間に1800回転まで行けば、タービンが無事に起動したということになるそうです」
(沼田昭二さん)「ただいまより、タービンの試運転を行います。5,4,3,2,1,スタート」
(山口豊アナウンサー)「あっ、行ったかな。来ましたね。あっ、ここ動きましたね。回転速度がどんどん上がって、今タービンが正常に回ったようですね」
タービンと発電機をつなぐシャフトも。徐々に速度を増し。最終的には唸りをあげて、高速で回り始めました。
(山口豊アナウンサー)「1770(回転)を超えています。はい、1780(回転)を超えました。これで大体目標値に行った?」
「そうです」
「おめでとうございます!」
地熱発電所1号機は、来月1日から本格稼働し、一般家庭およそ8000世帯分の電力が生み出されます。
今、日本の地熱開発でハードルとなっているのが、通常10年以上と言われる長い開発期間と莫大な費用です。沼田さんはその壁を“業務スーパー流”の画期的なやり方で乗り越えようとしています。
(沼田昭二さん)「このアジフライも、白身フライも、うずら卵もすべて、自社開発商品になっております」
「業務スーパー」は、国内に25カ所の工場を持ち、自分たちで商品を製造してコストを削減。さらに売り場の冷凍ケースまで自分たちで設計。工場から出荷された商品がひと箱そのまま入り、何度も補充しなくて済むよう工夫しています。
(沼田昭二さん)「“無駄”・“ロス”・“非効率”をカットする。地熱もまったく一緒ですね。いま(地熱開発の)機械もすべて作らさせていただいて」
それが…。自社開発した、走る掘削機です。
(山口豊アナウンサー)「こちらが沼田さんたちが独自に設計した自走式の掘削機です。ご覧のようにキャタピラーがついていまして、どんな細い道でも自由に上がっていくことができます」
大型車が入れない山奥でも、道の整備をすることなく、いち早く現場へ。巨大なやぐらを組まずに、自らアームをあげて掘削することが可能で、調査費用をおよそ5分の1に減らせたと言います。
(沼田昭二さん)「地熱を掘削するんですけれども、外れる場合のほうが多いんですね。それに全部林道を修復しますと、非常に費用も期間もかかる。ないものは自社開発。この考え方は“業務スーパー”にも“地熱開発”にも絶対必要だと思います」
沼田さんは自走式の掘削機で、1号機よりも山の上に新たな熱源を発見。ここでの2号機の建設では、さらに“無駄”・“ロス”・“非効率”をカットする、新たな手法を取り入れると言います。
(山口豊アナウンサー)「こっちが1号機で、これが2号機?」
(沼田昭二さん)「2号機です。まったく同じ規模の同じものを第2発電所でも置きます。地熱発電も“パッケージ化”でかなり安く早くできます」
沼田さんの秘策は…“地熱開発のパッケージ化”。
一般的な地熱発電所は熱源の規模に合わせてサイズを変える、いわばオーダーメイドです。一方、沼田さんは、熱源の規模にかかわらず、同じ設計のタービンや発電機、冷却塔で、同じサイズの発電所を建てようとしています。大きな熱源の場合には、このパッケージをいくつも建てることで対応すると言います。
(沼田昭二さん)「設計料としましては最初1号機が2億5000万円ですけど、今回に対しては設計料はいりません。(1号機は)設計期間が/2年半近くかかっていますので、この発電所はだいたい1カ月ぐらいで済むと思います」
沼田さんのさらなる秘策は―。“地熱開発のフランチャイズ化”。
(沼田昭二さん)「来月オープンする「業務スーパー」の店舗になります」
全国に1051店舗ある「業務スーパー」。実は、別にオーナーがいるフランチャイズ店が1047店舗と大半で、急拡大の原動力は“フランチャイズ方式”の活用にあります。
(沼田昭二さん)「ドラッグストアさんがたまたま閉店されて、これはもう業務スーパーに絶好の場所だなと思って」
(フランチャイズ店のオーナー)「本当に大きい感謝しています」
(沼田昭二さん)「こちらこそ感謝です」
“地熱開発のフランチャイズ化”は、地下部分の掘削リスクを沼田さんらが負い、地上部分の巨額の建設費用を別の企業と折半するというもの。実際に2号機はこの“フランチャイズ方式”で進める予定です。
(沼田昭二さん)「これ募集しましたのは2週間だけなんですけど、上場企業だけで十数社が来られています。リスク分散しながら、“全国展開”も可能かなと」
“業務スーパー流”で挑む、地熱改革。すでに全国30カ所以上で掘削の許可を得ていると言います。
(沼田昭二さん)「数10年、数100年後のことを考えて、この(地熱)資源の開発はすべきと考えています。この1号機を成功させることによって、社会的な協力も得やすくなりますし、地熱発電が進む第一歩にも二歩にもなったと思います」
2月25日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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