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元管制官に聞く…滑走路上の海保機なぜ気付けず?夜は「見えづらい」【スーパーJチャンネル】(2024年1月5日) -芸能ニュース/炎上まとめ

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チャンネル:ANNnewsCH

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日本航空機が海上保安庁機と衝突し炎上した事故。なぜ、滑走路に進入した海保機に誰も気付くことができなかったのでしょうか。

 中部国際空港や那覇空港で管制官をしていた田中秀和さんに、管制官の目線から事故をひも解いていただきます。

■「ハリーアップ症候群」の可能性か?

 まずお聞きしたいのが、海保機が滑走路に進入した背景です。

 交信記録によりますと、管制は海保機に対して停止位置(C-5)までの移動を指示し、海保機もその指示を復唱していました。それにもかかわらず、海保機は停止線で止まることなく滑走路に進入してしまいました。

 背景は様々考えられますが、当時、この海保機の出発が遅れていたということで「ハリーアップ症候群」の可能性があるということですが、それはどういうことなのでしょうか。

田中さん:様々ある背景の中で一因として考えられているのが、「ハリーアップ症候群」です。急ぐがあまり通常の判断ができない、あるいは自分に都合の良い解釈をしてしまう衝動で、その可能性があると思います。

 今回、この海保機が滑走路に進入した状態のまま気付かれることなく、日航機が着陸してきて衝突事故になってしまいました。管制の仕事としては、本来どうあるべきだったのでしょうか?

田中さん:管制官としての業務を果たすのであれば、やはり誤進入に気が付いて着陸をやり直させる指示が必要だったと思います。

■夜は「見えづらい」…双眼鏡やレーダーを補助的に使用

 では、なぜ気付けなかったのでしょうか。当時の状況を整理します。

 事故が起きたのは1月2日です。まさに年始のタイミングで、フライトスケジュールも過密状態でした。さらに午後5時すぎということで辺りが暗かったということもあります。

 こうした状況が、滑走路の状況を見えにくくしてしまったと考えられますか?

田中さん:運輸安全委員会の事故調査を待たなければはっきりとはしませんが、気付けなかった一因として「暗かったこと」「海上保安庁機がやや小型で見付けられなかった」がある可能性は排除できないと思います。日航機が海保機を発見できなかったという理由にもつながってくると思います。

 実際に管制官として従事されていた時、夜だと「見えづらいな」と感じたことはありましたか?

田中さん:それは、しょっちゅうあります。見えづらいと思うからこそ、意識して注視することは日常です。夜間、本来滑走路上にいる飛行機を一時的に見失って、「あれっ」と思って双眼鏡を使うことや、レーダーなど補助的な機器を使うことは日常的にあると思います。

 見失ってしまった後に、双眼鏡やレーダーなどでカバーをしていくということですか?

田中さん:私の場合は「見失った」と自覚があったので「おかしいな」と思いますから、双眼鏡を使うとか、機体が最後にいた位置にレーダー上で確認できるかと、補助的に使ったことはあります。

■管制塔からC-5までは約1.5キロも…「さほど遠いという印象はない」

 そして、管制塔と事故が起きた滑走路の位置関係も見ていきます。

 今回、C-5のポイントと管制塔までは、約1.5キロの距離があります。管制塔から1.5キロほど離れたポイントを、管制官はどのように見ているのでしょうか?

田中さん:1.5キロ離れているというところに関しては、さほど遠いという印象は持っていません。空港の規模にもよりますが、滑走路まで2キロ、3キロは当たり前だと思っていますので。それぐらい離れることは、あり得るのかなと思っています。

 普段は、立った状態で滑走路の様子を見ていらっしゃるのですか?

田中さん:そうですね。

 管制塔の中では、どれくらいの人数で飛行機を監視しているのでしょうか。

田中さん:羽田空港の場合、国土交通省が14人~15人ぐらいと広報しているようなので、そのとおりだと思います。

  14人から15人いるということですけれども、やはり離着陸する時は、管制官も一番緊張するのかなと想像しますが…。多くの“目”があっても、異変を見逃してしまうことはあるのでしょうか?

田中さん:あり得ると思います。管制塔では14、15人が、同じところを見ているわけではありません。事故が起きた時、羽田空港は3本の滑走路を同時に運用していました。管制官の仕事は分業制です。同じ行為を複数人で行う場合もありますが、基本的にはそれぞれが各々の役目を果たすということになります。

■事故を起こさないため…今言えることは「基本の徹底」

 そして、再発防止策についてお聞きします。今回のような事故を起こさないため、どのようなことが管制として求められますか?

田中さん:今言えることは「基本の徹底」しかないと思います。原因が明らかになっていないので。今、現場は管制官もパイロットも本当に一生懸命、自分たちにできることを考えていると思います。原因が明らかになってから再発防止策を考えるべきであって、現状できることは基本の徹底としか言いようがないと。

 まずは原因の究明。そして、細かな対策が求められますね。

田中さん:そう考えています。

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年1月5日放送)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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