アジアカップに旅立つ前のタケ・クボ(久保建英)のラストプレーは、ペナルティエリア手前から放ったクロスバー直撃の左足での強烈な一撃だった。もし入っていたら、アノエタは熱狂の渦に包まれていたことだろう。スタジアム中が試合に没頭していたため、アディショナルタイム中の交代がしばしの別れだと気づく者はほとんどいなかった。
とはいえ、これは極めて由々しき事態だ。年々、欧州のトップリーグでプレーするアジア人選手が増え、タケのように成功を収めている者もいる。そんななか、給料を払っているクラブが、シーズンの重要な時期に当たる4~5週間、戦力的なハンデを抱えて戦わなければならないというのは許されることではない。
もちろん、日本代表にとってアジアカップが重要な大会であることは理解しているが、それとこれとは別だ。本命視される日本が決勝まで勝ち進んだ場合、レアル・ソシエダはラ・リーガ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグの3つのコンペティションで、エース抜きで戦わなければならない。
しかもチームを離れるのはタケだけではない。アマリ・トラオレとウマル・サディクもアジアカップとほぼ同時期に開催されるアフリカネーションズカップに、それぞれマリ代表、ナイジェリア代表の一員として参加する。
「3人の幸運を祈っている。彼らは決勝に進みたいだろうが、私はできるだけ早く一緒にいられるよう早期敗退を望んでいる。こうなることはシーズン開幕時から分かっていた。言い訳を探すつもりはない。我々は手元にある戦力をやり繰りしていくだけだ」
アルグアシル監督はこの非常事態に冗談を交えながらも、本音をのぞかせた。
もちろん3人の中で最も痛手なのは、タケの不在だ。アラベス戦はその意味でも、彼の離脱がチームにいかに大きなマイナスダメージを与えるかを証明する試合となった。前半こそ、シュートをブロックされるなど対峙するハビ・ロペスの粘り強い守備に手を焼いたが、ハーフタイムを境に形勢は一気に逆転。サイドで突破口となり、攻撃を牽引し続けた。タケのキレキレのドリブルを前に、ハビ・ロペスはなされるがままだった。
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54分、タケのCKを起点にオヤルサバルがシュートを放つが、ラファ・マリンにゴールライン上でクリアされた。真骨頂のドリブル突破を見せたのは、57分。寄せてきた3人を置き去りにして中央にパスを送るも、マルティン・スビメンディのシュートは、相手GKシベラにキャッチされた。
83分にも自陣から一気にドリブルで運び、ブライス・メンデスのシュートをお膳立てした。そしてアディショナルタイムの92分、アンデル・バレネチェアの見事な個人技による突破を起点に、冒頭のクロスバー直撃のシュートシーンが生まれた。
【動画】久保建英のクロスバー直撃ミドル
試合終了後、「僕に危害を加えようとしている人たちがいる。もう少し守ってくれないといけないと思う。僕だけではない。何かをしようとしている選手はもう少し守られるべきだ」とラフプレーが放置さ続ける現状に声を上げた。この試合でも50分に背後からアブデ・レバシュの危険なタックルを受けていた。
この悲痛な叫びに対し、批判的な声が噴出したのは問題の根深さを物語っているが、ここのままでは取り返しのつかない事態を招きかねない。タケにはとにかく健康で無事に帰ってきてほしい。幸運を祈っている。
取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸
「強制的に行くしかない」「リーグ中の開催は残念」久保建英がアジアカップでの離脱に“本音”。一方で「母国を代表するのは素晴らしい」とも
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/sports/soccer/12289-2727414/