アイドル風のビジュアルと抜群の歌唱力、「自称34歳」という謎のキャラクターで注目を集める歌手の恵中瞳さん。
数年前、某テレビ番組の街頭インタビューに数秒出ただけで、「ブス」「化け物」などと誹謗中傷され、一時は声が出なくなってしまったという。挫折から立ち上がり、歌手やモデル、芸人、女優、ラジオのパーソナリティ、レースクイーンとして華々しく活躍の場を広げる彼女の魅力を取材した。
◆ネットで炎上、「歌手なのに歌えない」
――2015年に街頭インタビューでテレビに数秒間映っただけで、批判の的になったそうですね。何が起きたのでしょうか。
恵中瞳(以下、恵中):渋谷のハチ公前で仕事仲間と歩いていた時に、あるマニキュアについて「発がん性物質が入っていると疑われているが、使ったことありますか」と聞かれ、普通に答えただけなんです。当時、私は演歌歌手として活動しており、地下アイドルと名乗っていなかったのですが、テロップに「地下アイドル(26歳)」と出てしまい……。ネットやSNS上で「ブス」「お化け」「妖怪」「地底に潜れ」などと言われました。
1日5万件ぐらい誹謗中傷のコメントが届き、ずっと続けていたブログのサーバーがダウンして運営会社にご迷惑をかけてしまうぐらい。最初は何が起きているのかわからない状況でしたが、だんだん悲しくなって、声が全く出なくなってしまったんです。
ボイストレーナーに相談したら、「原因はストレスでしょう」と言われ、休養することに。人と会うと、「この人も私をお化けだと思って見ているんだろうな」って思い、恐くなる。なので、買い物に行く時も変装して目立たないようにしていました。
◆「あなたが歌に専念できるよう、僕がMCをやるよ」
――その後、どのように回復されたのですか。
恵中:1か月ぐらいお休みした後、少しずつ仕事に復帰しました。でも、最初のMCで話しただけで声がかすれてしまい、歌のパートまでもたない。一時はもう歌えないんじゃないかと思いました。
その様子を見た事務所の南雲(一範)社長が「あなたが歌に専念できるよう、僕がMCをやるよ。かすれてもいいから歌ってごらん」と言って、いつも舞台袖で見守っていてくださったんです。そのお陰で、徐々に歌えるようになりました。
◆何歳と言われても「年齢は気にしない」
――今はもう、誹謗中傷はなくなりましたか。
恵中:いまだにアンチコメントは届きます。私の偽のホームページが立ち上げられて、嘘の情報が書かれていたり。弁護士を通じて閉鎖してもらっても、また新しい偽サイトが立ち上がる、その繰り返しです……。
年齢についても、「60代」や「80代」とか言われますが、気にしないようにしていますね。
――どうやって心の平常心を保っているのですか。
恵中:心が折れるのは、自分の心の根が弱いからだと思うんです。なので、「自分は大地の木である」とイメージし、どんな激しい風が吹こうがブレないようにしています。
それでも腹が立つ時は、悔しい思いをノートに書いて投げ捨てたり、冷蔵庫を開けて「ワーッ」と叫んで、パタンと閉めたりしています(笑)。
◆芸能界入りのきっかけは「足専門」モデル
――そもそも芸能界に入ったきっかけは?
恵中:もともと私は、宮城県仙台の地元で、バスガイドやデパートガール、OLをやっていました。歌や芝居、ラジオに興味があり、機会があればチャレンジしたいと思っていたんですね。2010年に6歳下の弟が仕事で東京赴任になったので「これはチャンスだ」と思って、弟の転勤にくっついて上京しました。同居すれば生活費も節約できるので。
ある時、弟と原宿を歩いていた時にモデルにスカウトされて、この業界に入りました。でも、「きみは、足専門で」と言われて……。足のモデルとしてファッションショーに出たり、靴屋さんのチラシのモデルなどをやっていたりしました。
◆漫談家の松鶴家千とせ師匠に師事
――その後、どのような経緯で歌手になったのですか?
恵中:最初に入った事務所では、パワハラやセクハラがあり辛くて、辛くて……。「いつかは移籍するんだ」と思って、ひたすら耐えていました。
そんなある日、インターネット番組で演歌を歌った姿を今の事務所社長である南雲社長が見ていて。「歌手としてやってみないか」と誘ってくださり、事務所を移籍しました。「これで念願の歌手活動ができる!」と報われた思いで、とても嬉しかったですね。そして、「おとこはアリャリャ」というド演歌で、CDデビューしました。
――歌はどこで勉強されたのですか。
恵中:漫談家の松鶴家千とせ師匠にご指導いただきました。師匠と出会ったのは、私がネットで誹謗中傷されて精神的に不安定だった時期です。そんな私を励ましてくださった師匠とデュエットのシングルCDをリリースすることができ、非常に光栄でした。昨年、リリース直後に師匠が亡くなられて、私が“最後の弟子”となってしまい、とても残念です。
――ご自身で作詞作曲もされているのですか。
恵中:自分で作っている曲もあります。歌詞は、自分の実体験や感情を込めて作っています。曲は自宅にあるキーボードでメロディを作ったものを、曲のアレンジの先生に手直ししていただいています。
◆R1予選落ちで芸人諦め、腹話術にチャレンジ
――芸人として活動されたこともあるそうですね。
恵中:はい。「R1グランプリ」に2回出場しました。坂本冬美さんのモノマネをやったんですが全くウケなくて……。2回とも予選落ち。モノマネは諦めて、今は腹話術を勉強しています。腹話術師のスージィー先生にご指導いただき、人形を使ってボケとツッコミの掛け合いをネタでやっています。ライブで歌の合間に腹話術を取り入れると、お客さんに喜んでもらえるかなと思って。性格的に、人を笑かすのが好きなんです。
――これまでに芸能界の仕事を辞めようと思ったことはありますか。
恵中:あります。でも、私の歌を聞いて元気になったと言ってくださる方がいるので、続けることができました。その方が、私のCDを買ってTwitterに投稿してくださっていて。辛い時はそれを見て、逆風が吹いても「負けないぞ!」と思って自分を奮い立たせています。
◆美容のために…注射・点滴を打つワケ
――美容の秘訣を教えてください。
恵中:サプリメントの「NMN」と「テロメア」を飲んでいます。私は疲れると声が枯れるので、ニンニク注射、疲労回復点滴、美白点滴を打ってもらっています。
――どこで、そんな点滴や注射を打てるのですか?
恵中:病院の内科です。実は、過去に癌にかかり、内臓の一部を摘出しました。そのため、普通の人より吸収力が悪く、栄養が十分身体に行き渡らないので、点滴で補うようにしています。
――癌の手術をしたのはいつ頃ですか。
恵中:2011年、ちょうど出身地の仙台が東日本大震災で被災した時でした。当時、家族にも会えず、病室から何もできない自分が歯がゆかったです。
◆癌にかかって甘いものを控えた
――それは大変でしたね。その後、食生活など健康面で気をつけていることはありますか。
恵中:甘い物を控えています。1日あたり、ケーキは1個まで、チョコは3粒まで。癌にかかった時、医師から「甘い物は癌が好きだよ」と言われたんです。それを聞いてから、甘い物は摂取しないようにしていますね。
炭水化物もあまり取らないようにしています。なので、カツ丼を食べる時はご飯を残し、衣を取って肉だけ食べたり……。こんなことを言ったらカツ丼屋さんに出禁になるかもしれませんが(笑)。そのほか、健康のために三軒茶屋にある道場でテニスや野球、バレーボール、骨盤矯正をやっています。
――美脚は、骨盤矯正のおかげですか。
恵中:脚を鍛えるにはコツがあるんです。レコーディングの時や、横断歩道で信号待ちをしている時など、つま先立ちをしています。つま先立ちでレコーディングをすると声の出も良くなるような気がします。
◆美肌、小顔に見せるテクニック
――ファッションやメイクの秘訣を教えてください。
恵中:ちふれやCANMAKE(キャンメイク)、ニベアなどドラッグストアで手に入る化粧品を使って、30分でメイクしています。ドン・キホーテで売っている千円ぐらいのラメを頰に付けると肌がキラキラして見えるので、おすすめです。
衣装はいつも原宿の竹下通りにある「ブティック竹の子」で買っています。普段着は、大宮のお店やららぽーと新三郷で女の子っぽい服を買っていますね。
――SNSに投稿されているお写真がいつも素敵です。
恵中:「実物と違う」とよく言われるのですが(笑)。SNSに写真を投稿する時は美肌効果で可愛く加工してくれる「FiuFiu」というアプリを使っています。顔が大きいのがコンプレックスなので、見た目を自動で修正してくれるのはありがたいです。
◆将来の夢は紅白出場、結婚もしたい!
――公式サイトに「結婚した~い!」と書かれていますが、結婚願望があるのですか。
恵中:はい、いつかは結婚したいと思っています。過去にお付き合いしたこともありますが、相手の事情もあり、結婚には至らなかったんです……。
――将来の目標を教えてください。
恵中:倖田來未さんや安室奈美恵さん、浜崎あゆみさんのようなカッコいい歌手に憧れています。いつかは彼女たちのような歌姫になりたいですね。今はまだ程遠いですが(笑)。将来の夢は、紅白歌合戦に出場することです。まずは、自分のアーティストとしての価値を高めて、幅広い層の方々に支持していただき、大きな会場でライブができるように頑張っていこうと思います。
<取材・文/秋山志緒>
【恵中瞳】
1988年生まれ。宮城県出身。靴のモデルとして活動後、現在の事務所である株式会社南雲堂に移籍。2015年に「おとこはアリャリャ」でCDデビュー。これまでにシングル93曲、アルバム8枚をリリース。現在は、歌手、女優、モデル、ラジオのパーソナリティ、レースクイーンとして活躍を広げている。X(旧Twitter):@t75147828
【秋山志緒】
大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle
]...以下引用元参照
引用元:https://news.nifty.com//article/magazine/12193-2699685/