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【報ステ解説】「安倍派交代も政権運営は一層不安定」“組織的な裏金作り”解明は?(2023年12月13日)

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国会が幕を閉じ、新たな局面を迎えます。政治資金パーティーをめぐる“裏金”をめぐり、岸田政権が揺らいでいます。

■捜査の最新情報を、社会部・西前信英記者に聞きます。

(Q.これからの捜査のポイントは)
西前信英記者:捜査のポイントとなってくるのは、組織的な裏金作りが行われていたのか。その具体的な証拠をどれだけ集められるかどうかにかかってきています。国会の会期中は、議員本人でなく、秘書や会計責任者らから事情を聴いてきたとみられるが、国会閉幕を受け、今後は、議員本人から直接、話を聴く可能性が高まっていると考えられます。関係者によりますと、安倍派の議員秘書は特捜部の聴取に対して「不記載は派閥の指示だった」と説明していることもわかっています。そうすると、派閥で組織的に裏金作りが行われていたのかどうか。実務を取り仕切る立場である事務総長経験者から話を聴くということも考えられます。

(Q.収支報告書の不記載をめぐっては、議員本人の立件となると、要件が厳しくなるということもありましたが、そのあたりはどうでしょうか)
西前信英記者:過去のケースになりますが、2004年に自民党の旧橋本派で、1億円の収支報告書への不記載が発覚したという事件がありました。このとき、派閥の幹部の国会議員も、会計責任者とともに特捜部に立件されました。最終的に裁判では有罪が確定しましたが、一審では、この議員に“共謀関係”が認められず、無罪判決が言い渡されています。今回、議員が立件されるかどうかは、現時点ではわかりませんが、議員側から会計責任者に具体的な指示があったのかどうかなどが焦点になります。ただ、来年1月には、通常国会が控えていますので、そこまで捜査が続くと、その運営に影響を与える恐れがあります。なので、この1カ月ほどが重要な局面と言ってもいいと思います。特捜部は、すでに応援検事数十人を集めていて、実態の解明に向けて、態勢を強化しているとみられます。

■政治部・官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。

(Q.会見をどう見ましたか)
千々岩森生記者:最前列で見ていましたが、岸田総理、13日は珍しく高ぶっていました。顔を赤くして言葉に詰まるような場面もあって、1年間、会見を見てきましたが、初めて見るような印象を持ちました。会見が終わった後に、岸田総理の側近と話したんですが、やはり驚いていて、毎日、見ている側近でも、「え、総理どうしたんだ」と思ったようです。もう一人、松野官房長官にも注目していましたが、席について、しばらく肩で息をするような、すぐ目の前で見てましたけど、岸田総理の発言している最中も、しばらく荒い息をしていました。ただ、岸田総理の会見ですが、危機感は伝わりましたが、実際の対応策という意味では、具体性はあまりなかった。これからという印象です。

(Q.新しい4閣僚が明らかになりました。すばやく動いた感じがありましたが、どうでしょうか)
とにかく岸田総理としては、早く動く必要があった、切迫感があったということだと思います。本来、事件の全容が見えて、白黒がわかった段階で黒の部分を切るというのが筋かも知れませんが、それを待たずに、人事を広めに網をかけて行ったということなんだと思います。

(Q.人事のポイントは)
最重要は官房長官です。検討段階では何人か遡上に上ったようですが、総理周辺は「最初から林さんに絞っていた、ほかの人には打診していない」と話しています。4人の顔ぶれを見ますと、林さんは政策通で安定している。齋藤さんは、もともと経産省の役人で、それが大臣になった。松本さんは、今年9月まで総務大臣をやっていました。前総務大臣が新しい総務大臣になるということで、基本的に、緊急事態で、急な起用に耐えうる人材をあてていった印象です。

■テレビ朝日・藤川みな代政治部長に聞きます。

(Q.岸田政権の支えてきた大きな柱とも言える安倍派が抜けることの政権への影響、どうでしょうか)
藤川みな代政治部長:非常に大きな影響が出ます。目の前の人事は乗り切れても、先々の政権運営は一層不安定さを増すことになります。リベラルな宏池会出身である岸田総理は、保守系を取り込むという意味で、『清和会』安倍派を重視。2つの大きな柱で、政権の安定を目指してきました。その大きな柱の一つを失うことになります。安倍派が政権と距離を置くということ。尚且つ、会長不在のままということで、コントロールがききにくいという状況のなか、99人という人数が残る。岸田総理にとっては、不気味な存在となります。

(Q.安倍派が、今回のことを契機にして、柱として抜けるだけでなく、反岸田という勢力に変わっていく可能性はありますか)
藤川みな代政治部長:今回の人事をめぐって、非常に反発が強く、個人の心の内では不満がくすぶっています。ただ、何か行動を起こすかどうかというと、行動を起こすには、誰か掛け声をかける人、統率する人が必要になります。“反岸田”“岸田おろし”のようなことを仕掛けられるかという局面でも会長が決まっていないということが影響するとみられます。

(Q.安倍派、派閥がバラバラになっていくことはありますか)
藤川みな代政治部長:主要なポストを失うということで、正念場を迎えていることは間違いありませんが、一気にバラバラにはなるということはないと思います。たしかに、来年秋の総裁選に、派閥として自前の候補者を出せない、いわゆる“1回休み”になります。また、パーティー自粛で、所属議員に対するお金の面倒もみられないということになると、派閥を抜けたいと思う人は、多少はいるかもしれません。一方で、“数は力”ですから、内閣改造や党役員人事の際にポストを要求するとか、総裁選でまとまって行動することによって、“ポスト岸田”に向けて、一定の影響力を残すということもあると思いますので、分裂するという動きが出てくるとしても、ある程度の数はまとまっていくと思います。

(Q.萩生田政調会長が辞任の意向を固めたことの意味は)
藤川みな代政治部長:会長が決められず、5人衆という形になっていた集団指導体制になっていた安倍派の中で、今回、真っ先に辞任の意向を固めるということは、岸田総理に対して「毅然とした対応をとった」と派閥の中では見られています。態度をはっきりさせたというのは、永田町の文化の中では評価された。派閥の中で株を上げて、今後、萩生田さんの求心力が増す可能性はあります。

(Q.岸田政権は低空飛行なうえに、さらに打撃を受けました。記者会見を聞いていて、再浮上できる要素はありましたか)
藤川みな代政治部長:記者会見で「火の玉になる」「先頭に立って戦う」という決意表明がありましたが、具体的に何をするのか。例えば、政治資金規正法を改正するのか、派閥のあり方を抜本的に見直すのか。方向性は示されませんでした。やはり、方向性を示すからこそ、反対する人が出てきて、その人たちと戦うという構図が生まれるわけですから、具体的な方向性を示せなかったということで、ピンチをチャンスにする機会をまた一つ失っている。総理が方向性をしっかり打ち出して、それを実行できるかどうかの戦いを始めるということが大事だと思います。

(Q.自民党が物事を明らかにし、説明責任を果たすことが、なぜできないのか。その点は、どうでしょうか)
藤川みな代政治部長:自分の派閥のことは、ある程度、わかるけど、隣の派閥で、どういう会計処理をしているかというのは、聞いたことはないし、聞いてはいけないことだと思っていたという話もあります。岸田総理としても自分の派閥のことは把握できても、安倍派内でどういう処理をしているかというところまでは踏み込めない。ここは、あえて、自分が派閥を出て、各派閥のお金の処理のあり方にも踏み込んでいくという姿勢が必要だと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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