【独自】「パー券担当の社員が数百枚を…」安倍派“現職議員”の関係者が証言(2023年12月12日)

安倍派現職議員の関係会社元社員：「その議員からの指示で、どこに何枚どこに何枚という指示があって。パー券を担当している社員が1人おりまして、その社員から各部署・各社員に割り当てがありました」

その指示は、秘密裏に行われていたと証言します。

安倍派現職議員の関係する会社の元社員：「差配する時は別室なんですよ。議員と差配する社員との1対1なので、誰も聞いてないんです」

所属議員への1000万円以上のキックバック疑惑が、次々に浮上している安倍派。5年間のキックバックの総額が約5億円に上るとみられることが、関係者への取材で新たに分かりました。この人物が勤めていた会社でも、毎回数百枚をさばいていたといいます。

安倍派現職議員の関係する会社の元社員：「主には関係会社。下請けとか、関係している会社の方たちに、お願いに行ってました。もう押しつけですね。当然だろって感じで。お互い分かってますからね。買うのが当たり前でしょうと。買わないと仕事がもらえないというのがあるので、露骨に嫌な顔される時もありましたけども。その後に仕事をもらえなくなるとか、自分たちの生活に影響が出てくるので、やはり買わざるを得ないというような感じでした。とにかく私たちは、指示を受けたら、ノルマとして全うするしかないので。それだけだった」

パーティー券は1枚2万円。この会社がさばいた数百枚だけで、売り上げは1000万円を超えていた可能性もあります。議員から直接の指示もあったといいます。

安倍派現職議員の関係する会社の元社員：「かなりきつく、枚数と金額と期日のことについては、厳しく言われていたようですね。一覧表かなんかあったみたいですね。そこに枚数が書いてあって、振り込むと通帳に名前が入る。それで誰々が入ってないというチェックをしていたみたいですね。（Q.リストと振り込まれた名前を見比べて）そうです」

誰が買ったのか分からないよう、収支報告書に記載されないためのやり方も…。

安倍派現職議員の関係する会社の元社員：「関係子会社とかは、20万円以下で抑えるように。10枚でも20万円になってしまうので、9枚だけ引き受けるとか。そういったことはしていましたね。（Q.収支報告書に名前を載せないように）載せないように」

そして、もう1人。清和会の元議員の関係者も取材に応じました。自らの政治資金パーティーを開けない議員にとって、派閥のパーティーは資金集めのチャンスだといいます。

元清和会所属議員の事務所幹部：「派閥のパーティーは、会場費も食事代もお酒代も払う必要ないから。売る自信があれば、ノルマ分を売って、ノルマ以上に売れるなら、自分の収入になるから。売る自信があれば楽ですし、ありがたい」

ある安倍派の現職議員は、販売ノルマを超えた収入の不記載は、慣例だったと説明しました。

安倍派現職議員：「当選した最初のころ『収支報告書に記載しなくていい』と言われた。皆やっていたから、そのままにしておいた。ただ、どこかで『いいのかな』と思い、一銭も使わず金庫にしまっておいた」

◆岸田派にも“過少記載”が判明

新たに発覚したのは、安倍派に関することだけではありません。“裏金”には直結しませんが、岸田派が、政治資金パーティーの収入を、実際よりも少なく記載していたとみられることが分かりました。

岸田総理：「しっかりと調査をし、そして当局に対しても丁寧に説明を行い、そして修正すべき箇所があるならば適切に対応する。このように指示をしてきました。具体的なことについては確定した段階で、私の方に報告があるものだと思っております」

不記載の総額は、安倍派や二階派に比べて少ないということです。その岸田総理は、安倍派の政務三役を“一掃”したい考えです。安倍派の筆頭格で、官房長官を務める松野氏。12日、不信任案が審議されました。

立憲民主党　太栄志衆院議員：「ご自身のことすら真正面から説明できない官房長官の言葉を、誰が信じることができますか」

擁護する側の、自民党からも…。

自民党　井上信治衆院議員：「捜査に支障が出ない範囲の中で、国民の皆様への説明責任を果たしていただくことを、わが党からも強くお願いしたい」

結局、不信任案は与党の反対多数で否決。しかし、連立を組む公明党からも厳しい声が上がります。

公明党　山口代表：「否決したから即信任したと同じ評価をするべきではない」

当の本人は12日も相変わらず…。

安倍派　松野官房長官：「これまでも申し上げてきた通り、派閥において事実確認がされている最中であり」「引き続き、緊張感を持って、与えられた職務を果たしていきたい」

しかし、安倍派を“一掃”したい考えの岸田総理。「キックバックはない」と明言する人もいますが、14日にも、問答無用の“交代”となる見通しです。では、新たに問題が発覚した岸田派はどうするのでしょうか。

岸田総理：「（Q.今回のことが人事に影響を与える可能性は）適切なタイミングで対応したい。その考えは変わってはおりません」

安倍派幹部：「他の派閥に広がったら、それも全員更迭できるのか。やってもらおうじゃないか」

ちなみに、どの派閥にも属していない無派閥の大臣は、19人のうち、たった3人です。注目されるのは、無派閥で、役職についていない議員です。“ポスト岸田”として人気の高い、この人は…。

自民党『無派閥』小泉進次郎衆院議員：「無派閥か派閥の議員かという問題ではない。無派閥だろうと派閥の議員だろうと、自民党全体大きな問題」

要職への起用も取り沙汰される、前の防衛大臣に聞いてみると…。

自民党『無派閥』浜田前防衛大臣：「（Q.人事の話は）ないないない。（Q.要職起用の報道も）臆測でしょうね。選ばれることないと思います」

野党も対応が問われています。13日で会期末となる国会。立憲民主党は内閣不信任案を提出するかどうかを、泉代表に委ねました。

立憲民主党　泉代表：「すでに機能も停止している状況。岸田総理自ら辞職すべき。総辞職すべきだ。そういうなかだが、国会全体の状況を見て、会期末までギリギリの判断をしていきたい。（Q.決めかねている理由は）決めかねているのではありません。我々としては適切な時期に判断する。（Q.解散・総選挙の可能性も覚悟）常に我々が行動することにおいて、何かしらの作用は起きてくると思うが、そういうことは当然、全て頭の中に入っている」

◆“安倍派一掃”で後任候補は…

政治部・官邸キャップの、千々岩森生記者に聞きます。

（Q.事実上の内閣改造に等しい、人事の大幅入れ替えを、岸田総理は断行できますか）

千々岩記者：「注目されている、安倍派の政務三役ですが、岸田総理がこの15人の交代を検討している状況は変わらないようです。危機感は非常に強いままです。そして、具体的なスケジュールが固まってきました。国会閉会の翌日14日に、安倍派の閣僚4人を交代させる意向です。閣僚は、官房長官をはじめ記者会見の対応もあるので先に行い、党幹部の人事は、今、来年度の予算編成が大詰めですので、予算案が閣議決定される22日に行う予定だということです。問題は、閣僚以外の副大臣・政務官の11人で、安倍派からの強い反発もあります。やり切れるかは不透明で、大きな関門となっています」

（Q.岸田派の過少申告疑惑も出てきました。岸田総理にとって痛手ではないですか）

千々岩記者：「痛手なのは間違いないと思います。関係者によると、今回の岸田派の“不記載”と、安倍派のいわゆる組織的な“裏金疑惑”とは、同列には捉えていないようです。こうしたこともあって、岸田総理サイドは今のところ、影響は限定的とみているようです」

（Q.岸田派については“記載漏れ”であって、組織的に裏金を作っていたわけではなさそうだということですか）

千々岩記者：「関係者によると、2つは別。同列には考えていないと聞いています。実際の人事情報ですが、政権の要である官房長官、松野さんの後任には、岸田派の林前外務大臣や田村元厚労大臣、また、森山総務会長らの名前が挙がっています。どうやらこのあたりに絞られつつあるようです。また、国会対策委員長には、無派閥の浜田前防衛大臣らが検討されています。岸田総理は13日夕方に記者会見を開いて、人事の方針についても明らかにする予定で、13日以降もヤマ場が続くことになります」
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp