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元営業マンが「保育園」に再就職 未経験でも“即戦力”に 働くシニアの現場に密着【Jの追跡】(2023年11月26日)

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チャンネル:ANNnewsCH

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定年退職後の再就職を支援する東京都主催の就活イベントには、300人以上が参加しました。

 今、働きたいシニアが急増しています。面接の様子をのぞいてみると、独特なアピールをする人も見られました。

 また、未経験の職場で働くシニアを取材すると、それぞれ元職の知識や経験を生かしたスゴ技でピンチを乗り切っていました。

■シニアの就活イベント参加者300人 なぜ働く?

 定年退職後の就労を支援する東京都主催の就活イベント「シニアしごとEXPO」。働きたいシニア300人以上が集結しました。

 なぜ働くのか?話を聞いてみると、「生活費を稼ぎたい」「人とのつながりを求めて」など、働きたい理由は人それぞれでした。

 元エンジニア(61):「年金と貯蓄だけでは心もとない」

 現在は塾を経営(70):「週に3回でも4回でも外に出る機会でもあれば」

 元商社マンの男性は83歳です!

 元商社勤務(83):「自分が年をとらないためにも人との接点を大事にしている」

■送迎業務の面接 筋肉自慢で猛烈アピール!

 合同面接会には業種も多様な30社が参加。その場で面接を受けることができるのです。

 介護施設の送迎業務を行う会社の面接を受けている69歳の男性。25年間の外食コンサルティング業の経験が生きました。

 面接官:「ベッドまで迎えに上がったり、力仕事ではあります」
 元外食コンサルタント(69):「ジムに通っていまして、力自慢ではあるので」
 面接官:「ありがとうございます」

 筋肉自慢で猛烈アピール!果たして結果は?

 福祉移送サービス 採用担当者:「通過しました!ありがとうございます」

 見事に面接を通過!積極性が評価ポイントになりました。

■元塾の経営者 “逆面接”状態に…企業側の反応は?

 続いては、路上喫煙のパトロール隊を募集する警備会社の面接に来た83歳の男性。元塾の経営者です。

 元塾の経営者(83):「仕事なくて暇で暇で、体は健康だし」

 職場環境にはこだわりがあるそうです。面接では質問攻め、“逆面接”状態になっていました。

 元塾の経営者:「12時から20時で終わり?」
 担当者:「そうです」
 元塾の経営者:「途中に休憩はありますか?」
 担当者:「あります」
 元塾の経営者:「週何日って書いてない」
 担当者:「週5で基本水曜日と日曜日が休み」

 企業側の反応は…?

 警備会社「タイヨー」採用担当者:「非常に明るくて、健康そうだったので」

 企業側も好印象!後日改めて結果を連絡するということでした。

■“トーク技術”生かす 路上喫煙パトロール員(64)

 未経験のシニア人材が活躍しているという警備業界。今回、募集していた路上喫煙のパトロール隊にも多くのシニアが再就職しています。

 その一人に密着しました。

 路上喫煙パトロール員:「(Q.工夫はある?)笑顔ですね」

 活躍の裏側には“笑顔”があるようです。

 中村正孝さん(64)は今年4月からパトロール隊になりました。

 仕事は主に2つ。渋谷駅周辺のポイ捨て多発エリアで吸い殻を拾うこと。2つ目は路上喫煙者に注意を行うことです。

 パトロールに同行すると、喫煙所の外でたばこを吸う人がいます。すかさず中村さんが注意に行きます。

 中村さん:「たばこは中でお願いします」

 中村さんの声掛けで路上喫煙者たちがするすると中に入っていきます。

 中村さん:「怖いということはないですね」「(Q.工夫はある?)笑顔です」

 その「笑顔」を発揮した場面がありました。

 中村さん:「今、風下ですが、たばこを吸っていればにおいが来るでしょ」「(Q.においで分かる?)分かりますよ」

 風上の方でたばこのにおいがするという中村さん。向かってみると、冴わたる中村さんの嗅覚。自動販売機の間で喫煙する若者を発見します。

 中村さん:「ここでたばこ吸えないので吸えるところでお願いしますね」

 すると、若者が近づいてきます。なかには“逆ギレ”されることもあるといいます。

 中村さん:「(喫煙所は)宮下公園の真ん中の駐輪場の横にもあるし、それか3階にもありますので。そこから上がっていってトイレの横にたばこ吸えるところありますよ」
 若者:「ありがとうございます」

 若者から感謝の言葉が。注意するだけでなく喫煙所まで「笑顔」で教えてあげる中村さんの気配りがありました。

 中村さん:「同じ言葉を言っても受け取り方はすべて違う。その辺は気を付けて分かりやすく説明する」

 建築関係の営業マンだった中村さん。現役時代に培ったトーク技術がこの仕事に生きていたのです。

■働きぶりに…外国人観光客「写真を撮っても?」

 その後、駅周辺をパトロールしていると、道案内を求め次々と外国人観光客が中村さんのもとに来ます。

 外国人観光客:「(井の頭線渋谷駅)どこですか?」
 中村さん:「レフトエスカレーターアンドセカンドフロア」
 外国人観光客:「ありがとうございます!」

 さらに、転んでしまった人がいましたが、すかさず手を差し伸べます。その働きぶりに、中村さんを撮影したいという外国人観光客が声を掛けてきました。

 外国人観光客:「背中の写真を撮ってもいい?これよ」
 中村さん:「OK」
 外国人観光客:「彼の取り組みは素晴らしい!だから写真を撮ったのよ。日本では路上喫煙が多くて危険なのよ」

 中村さんは現在、週5日8時間のフルタイムで働き、警備会社からおよそ20万円の給料を得ています。

 中村さん:「僕の給料は食費と家賃と携帯代だけですよ。あとの年金は渡していて」

 月10万円の年金は、10年前に他界した妻の姉のために使っているとのことです。

■おむつ替え未経験の69歳男性 保育園に再就職

 続いて訪ねたのは、都内のとある保育園。ここにも未経験の“シニア人材”がいます。

 ソラスト前野町保育園 黒木博子園長:「保護者も子どもたちもおじいちゃん的な存在で接しています」

 早速、中にお邪魔してみるとシニアの姿がありました。相澤肯英さん(69)です。

 相澤さん:「保育補助というのがメインですね。自分ができることはすべてやります」

 現役時代は製薬会社の営業マンだったそう。しかし子育ては…。

 相澤さん:「ほとんど(自分の子どもの)子育てには関わってないんですね。おむつは替えたことないです」

 そんな相澤さんが保育園に再就職。その一日に密着しました。

 母:「相澤先生とおててつないでさ」
 園児:「いやだ~」

 泣き叫ぶ子をそのままに、相澤さんはなぜかその場を離れます。

 さらに、公園に行くと園児と一緒に遊びません。それでも即戦力として活躍。一体、何がすごいのでしょうか?

 ソラスト前野町保育園 崎原智子副主任:「本当に頼りになる存在」

■「押す」ばかりではなく「引く」ことも大事

 現在、保育園でシニアスタッフとして働く元営業マンの相澤さん。息子のおむつも替えたことがなかったといいますが、その1日に密着すると朝6時半。保育園に一番乗りで出勤します。

 相澤さん:「全部開けて電気つけたり、エアコンつけたり」

 自ら動いて仕事を探していきます。こちらの保育園で働くシニアは相澤さん1人。園児が登園してくると、まさに“おじいちゃん”のような存在で大人気です。

 園児:「全部!(好き)」「メガネのところかな」

 しかし、ここでアクシデントが発生します。

 母:「相澤先生とおててつないでさ」
 園児:「いやだ~」

 ママと別れるのが嫌で号泣しています。すると相澤さん、すぐその場から離れます。慰めなくていいんですか?

 相澤さん:「しばらくたったら落ち着くので、あとは大丈夫です。あの子ももうすぐ大丈夫です」

 そして、2分後すかさずフォローに行きます。

 あえて時間をおくことで予言通り女の子は泣きやみました。押してばかりではなく「引く」ことも大切なんだとか。

■新たな生きがいに「成長は素晴らしい!」

 お昼のお散歩は公園へ。園児たちが駆け回ります。しかし相澤さんはポツンと一人。全く遊ぼうとしない相澤さん。実は、あえて遊ばない事情があったんです。

 相澤さん:「保育士さんたちは子どもと遊ぶので、そこは任せて、何となく全体を見ています」

 保育士が子どもにかかりきりになる一方で、公園の外に出るなどのトラブルが起きないよう安全面の確保に目を光らせていたのです。

 「全体像を把握する」営業マン時代の経験が生きていました。

 保育士:「人数確認お願いします!」
 相澤さん:「はい!おいで!おいで」

 40歳近く年下の保育士たちの指示にも嫌な顔せず答えていきます。

 崎原副主任:「当初はやはり年齢差を感じて、こんなことお願いしていいのかなはあったが、何でもやってくれるので、すごく頼りになる存在」

 未経験にもかかわらず保育園で大活躍している相澤さん。新たな生きがいを見つけていました。

 相澤さん:「6カ月ぐらいの子は寝ているか泣いているか。そういう子が1年経つと走り出すんですよ。卒園する時は、生意気なことを言って出ていく。この成長は素晴らしい!」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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